特集

真相・ニュースの現場から

さまざまな事件や出来事の裏に隠された秘話、ヒューマンストーリーに迫ります。

特集一覧

「銀行に預けるより…」願い一転 400万円出資、妻に言えない不安

「みんなで大家さん」の運営会社が7月末に出資者に送ったメール。「分配金のお支払いを遅延せざるを得ない事態となり、深くお詫(わ)び申し上げます」と記されている=東京都千代田区で2025年11月4日午後2時36分、洪玟香撮影
「みんなで大家さん」の運営会社が7月末に出資者に送ったメール。「分配金のお支払いを遅延せざるを得ない事態となり、深くお詫(わ)び申し上げます」と記されている=東京都千代田区で2025年11月4日午後2時36分、洪玟香撮影

 老後の安心を買ったはずだった。少しでも日々の暮らしの足しになればと願った。だが、古希を過ぎた男性は「ばかだったんでしょうか、私は」と力なく笑う。

 不動産投資商品「みんなで大家さん」を巡り、1191人の出資者が解約や返金を求めて集団提訴に近く踏み切る。

 関東地方に暮らす70代の男性は、今回の集団提訴に先んじて9月に訴訟を起こした。つぎ込んだ老後資金は返ってくるのか、心配ばかりが心を覆う。

 「生活のためにと思って投資をしたが、結果的にだまされた形になっている」

 募る不安と憤りを抱え、司法に望みを託している。

 一部で分配金の支払いが滞っている不動産投資商品「みんなで大家さん」。
 どういった計画を掲げているのでしょうか
 ファンドがうたった未来と特異な収益構造とは

突然届いた1通のメール

 「分配金のお支払いを遅延せざるを得ない事態となり……」

 男性のもとに7月末、「大家さん」の運営会社から、そう書かれたメールが届いた。背筋が凍り付いた。

 「話が違う」

 その日のうちに運営会社の専用フォームで契約解除を申し込んだが、返ってきたメッセージには「6~12カ月かかると想定している」とあった。電話は何度かけてもつながらない。

 今も返金のめどは立たず、男性は「詐欺同然」と憤る。

「老後」考え400万円出資

 「大家さん」に投資をしたのは2024年1月。テレビCMやインターネット広告で知り、「資産運用という手もあるのか」と興味を持ったのがきっかけだった。

 60歳で電機メーカーを定年退職し、やがて妻と2人、年金生活者になった。月々の収入は専業主婦だった妻と合わせて20万円ほど。子どもは成人して親元を離れているとはいえ、見るたびに減っていく通帳の残高は、悩みの種だった。

 そんな折に取り寄せた「大家さん」のパンフレットは、魅力的に映った。1口100万円から出資でき、年7%の想定利回りで2カ月に1回配当が出るという。「年金+分配金で将来の不安を軽減」という宣伝文句にも目を引かれた。

 「銀行に預けておくよりよっぽどいいじゃないか」

 主力商品「シリーズ成田」が対象にする大規模開発計画は、自治体が開発許可を出しているという。そんな「安心感」に背を押され、預金の3分の1に当たる400万円を出資した。

 「4カ月後から、毎回3万…

この記事は有料記事です。

残り729文字(全文1685文字)

全ての記事が読み放題

秋得最初の2カ月無料

まもなく締切!締切まで残り6日!登録はお早めに

有料会員登録して続きを読む

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月