ガノタがニケになっちゃった   作:砂岩改(やや復活)

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出会い

 

「美しい、美しいわ」

 

「…あはは」

 

 エリシオン第3ニケ研究所に出向してきたソーンは自分の周りをクルクル回りながら独り言を話す少女を見て流石に愛想笑いを浮かべる。

 前々から第2世代フェアリーテイルモデルの技術アドバイザーとして打診されていた彼女はリリーバイスと指揮官からメンタルケアを兼ねた出向を命ぜられたのだ。

 

「シンデレラ…」

 

「……」

 

「シンデレラ、お前は部屋に居ろと言っただろう」

 

 眼鏡をかけたプロダクト23は「美しい」を連呼する彼女を引きずって行く。

 

ーー

 

 シンデレラを部屋に戻したエイブは軽く挨拶をソーンと交わすとお互いに向かい合う形で椅子に座る。

 

「全く…遠くからすまないな。打診はしていたがまさか本当に来てくれるとは思わなかった」

 

「技術協力は嫌じゃない。少し休めと言われたしな」

 

「そうか」

 

 出されたコーヒーを飲みながらエイブは資料を広げる。

 

「ソーン、フェアリーテイルモデルNo.6。人類連合技術部が設計、開発した初のニケ。高い戦闘能力と技術力を誇り、単機での長期運用すら可能。現在はゴッデスに所属しながら研究開発に勤しんでいるっと言うシナリオだ」

 

「初めて聞く話ばかりだな」

 

 そもそもの話、リリーバイスから聞いた話によると自分は製造元が不明でデータにない完全に未知のニケだった筈だったのに何故か人類連合技術部が造ったことになってるのがらしいなと笑う。

 

「だろうな。君が手を貸してくれている大まかな経緯は知っているつもりだ。上層部がどれだけ恥知らずなのもな」

 

「俺はリリスと対等な契約を交わしたつもりだ。実際にゴッデスでは好きにやらせてもらってる。アイツらに免じてこの事は許してやるよ」

 

 それにしても少し気になることを聞いた気がする自分がフェアリーテイルモデルNo.6?

 リリーバイスはフェアリーテイルモデルではないのは知っているがそれを除けば、ドロシー、ラプンツェル、スノーホワイト、レッドフードの4人だから順当に行けば自分はNo.5の筈だが。

 

「フェアリーテイルモデルには欠番が居るのか?」

 

「知らなかったのか?」

 

 フェアリーテイルモデルNo.1《ロストナンバー》最強のニケ《リリーバイス》を完全再現するために産み出されたが能力を制御できずに自壊、その結果を元にドロシーを初めとするフェアリーテイルモデルが再設計されたと言う。

 

「リリスの完全再現か…」

 

 確かにあの圧倒的な戦闘能力を量産しようとする気持ちは分かる。その結果が自壊か…なるほど。

 

「話が逸れたな。早速本題に入ろう」

 

 エイブが出してたのは《ガラスの靴》のデータだ。それを見たソーンは楽しそうに呟く。

 

「リフレクター系…複合兵装。現時点でも充分な性能を持っていると思うが」

 

 相手のアウトレンジから一方的に攻撃する姿はイメージとして爆撃機に近い。

 

「これでは他のニケとの連携が難しいな」

 

 滞空能力を持ち、単機での行動を想定した設計。そしてなによりカタログスペック上はゴッデスを上回る性能。

 第2世代フェアリーテイルモデル、予想以上すぎる。

 

「他のフェアリーテイルモデルとの連携は想定しているがシンデレラは抜きん出ている。単独運用の方が扱いやすいのは事実だろう」

 

「近距離戦闘でも対応できるようにガラスの靴との連携速度を上げる必要があるな。俺の阿頼耶識システムを使ってみよう。それと靴を集めて収束ビームを出せるようにすれば大型相手でも問題なく運用できるだろう」

 

 研究所に着いてからすぐ行ったエイブとの話し合いは長時間におよび。

 半日ほどの間、二人は意見を交換し合いやっと部屋から出てきたのだった。

 

「……」

 

「じー」

 

「………」

 

「じー」

 

「えっと、シンデレラ。お茶でもどうかな?」

 

「いただくわ」

 

 食堂でお茶を飲んでいたソーンを見つめるシンデレラは通路の奥の角から光の速さで席に着き眼を輝かせながらお茶を受けとる。

 

「エイブから聞いたよ。ゴッデスのファンだって」

 

「えぇ。貴方の美しい姿は何度も見たわ」

 

 身を乗り出して話すシンデレラに驚きながらも眼をキラキラさせる彼女の話を聞く。

 

「ゴッデスの歩く工房、常識にとらわれない発想で様々な新兵器を開発、製造してニケの中で唯一、空を駆ける王者、ストームブリンガーを真っ二つにした映像は何度も見たわ。トルラルトの作戦のスノーホワイトとの連携は凄かったわ。お互いの武器を入れ換えながら戦うなんて、武器特性を細かく知っていなきゃ出来ない芸当よ。メールウェルの戦いとのレッドフードとの空中連携、ソーンを足場にしながらレッドフードが空中戦闘を繰り広げたのは美しかったわ。…あつ!」

 

 慌てて飲んだのは熱い紅茶に驚いたシンデレラはハッと気付くと気まずそうな顔をする。

 

「ごめんなさい。私ばかり話してしまって」

 

「いや、ゴッデスを客観的に見る機会なんてないから新鮮だったよ。まるでヒーローのようだな」

 

「ヒーローよ。正に勝利の女神、人類の希望。私はゴッデスに憧れてニケになったもの」

 

「……そうか」

 

 シンデレラを見ていると一瞬だけトウカの姿が重なってしまう。

 

「でもなんで貴女がここに?」

 

「シンデレラのガラスの靴についてエイブと色々話してたんだ」

 

「私の武装に」

 

「あ…あう。ゴッデス…」

 

 感動を隠せないと言った感じでシンデレラは眼を瞑ると後ろから震えながらこちらを指さすリトルマーメイドの姿が。

 

「本物よ、ヘンゼル」

 

「本当に居たわ、グレーテル」

 

「エイブから話はありましたが今日だったのですね」

 

 続いて姿を表したのはヘンゼルとグレーテル、レッドシューズ。

 

「君がレッドシューズか。ラプンツェルから話は聞いていたよ」

 

「あら、そうでしたね」

 

(なんだコイツは…)

 

 レッドシューズではなくビックマウンテンではないかと思わず驚くソーン。彼女の精神は男であるが女体を得て女性の体に対する反応は薄くなっていたがレッドシューズは規格外だ。

 ヘンゼルとグレーテルなんて、これ大丈夫なのだろうか。違法ロリでは?胸でかすぎたろ。

 オールド・テイルズ、なんて規格外な連中だ。

 

「短い間だが君たちの武装の改良を手伝うことになった。ソーンだ、よろしく頼む」

 

 声が震えていないか心配になったが努めて平静に努めるソーンであった。

 

 

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