「どうしよう…」
下水やらなんやらを通って目覚めた街とは違うところへたどり着いた俺は悩んでいた。
工房と言う道具があるが材料がない。拠点にしている施設から使えそうなものはこっそりと回収してきたが廃材から失敗なしでリビルドできる程、天才ではない。
「無限に沸いてくる電子部品とかないかな…」
拠点がバレないように違う街までやって来たが弾丸と食料ぐらいしかなくて悩んでいるとのんきに歩いている機械生物を見つめる。
「……あ。居るじゃん」
そして機械生物狩りが始まる。
敵を知り己を知れば百戦危うからずと言うどこかの言葉を頭に浮かべながら弱そうな機械生物のコアらしき物を一撃で粉砕。
予測通り、あっけなく沈黙するが破壊した音で敵が寄ってくるので一時退避。様子を見ていればしばらくして機械生物たちはなんでもなかったかのように歩き始める。
そしてバレないように少しずつ、少しずつ移動させ山奥に持ってくると解体開始。
原始的な方法だが紙とペンを持って構造研究を始める。
構造研究は楽しかった。小型の基本的な構造はほぼ変わらないが武装がかなり豊富でかなり参考になった。
そして、気が進まないが自分を知るためにアンドロイドの研究を開始した。
「マジかよ!」
この世界に来てから二度目のゲロ。
今日は御馳走だと食べていたミートスパゲッティを戻してしまう。
体は良かった、だが頭の中に人間の脳が入ってるなんて誰が予想したよ。
つまり、自分達は元人間のロボット人間だと言うことか。
「なにこれ?」
なんか名前のようなものが刻まれているのを見て読む。
「ナイキ?」
なんか大手スポーツメーカの名前が書いてあるが。え。あのナイキが使ってるの?ロボット?
「いや、アルファベットだし…。ニケか?」
nikeと書かれているからまだ違うかもしれない。近くに有名なロゴも入って無いし。
おそらくこのロボット人間の総称だろう。これからニケと呼ぶことにする。
「出来た!」
そんなこんなもありながら試作品が完成。
「ヒートホーク!」
ガンダムの武器と言えば?と問われれば誰かは答えてくれるだろうヒートホーク。
本当はビームサーベルとかライフルとか造りたかったんだけどエネルギー兵器の研究はまだ進んでいない。
なので実弾、実刃兵器を作った。
「やっぱジオンだよな!」
自分はバリバリのジオニスト、ザクとかグフとかグフカスタムとか死ぬほど好き。
やはり物資が限られてくる現状、射撃武器だけでなく近接武器は欲しいところだ。ヒートホークもサーベルも灼熱化しなくても運用できる。
その他、様々な試作品を造りだしやるのは…。
「実験だぁ!」
地下を通って少し離れた街にたどり着くと索敵する。
敵の数は拠点の街よりやや多めと言ったところか。
「実験と素材回収を兼ねて暴れさせてもらおう!」
一番こだわったのは左腕。グフカスタムが装備していたガトリングシールド、ヒートサーベルに内側に三連装ガトリングまで装備した自慢の逸品だ。
腰にはヒートホーク、右手にはザクマシンガン。
「え~と」
懐にしまっていた欲しい物リストを見る。敵が持っている小型のエネルギー貯蔵装置が今回の目的だ。
「出るまで殺す。モンハンしてるみたいだ」
全部、人間相手なら一発で粉微塵レベルだ。
機械生物相手でも十分に通用する事が分かり大満足。
楽しくなって弾倉が空になった頃には機械生物の死骸の山が出来上がっていた。
最後の機械生物のコアにサーベルを突き立てると使えそうなものを吟味して下水道に置いていた鋼鉄のリアカーに乗せる。
「なんか…結構居たな」
3桁は軽く越える数を相手に一日中戦っていた。中盤はほとんどサーベルしか使っていなかったが。
「接近戦に弱い…っと」
隊列を組んで射撃してきた時は厄介だったが接近すればただのデカイ獲物でしかなく簡単に狩れた。
「装備を中、近距離戦闘主眼にして遠距離にも対応できるようにするか」
グフカスタム装備、一式を揃えればヒートロッドを着けたくなるのが人情と言うものだろう。
「埋めるか、腕に」
外付けだと相手に察知される可能性がある。ならロングコートの袖からヒートロッドが飛び出れば相手の虚を突くことも可能だ。
「ベルトにドムの目眩ましも着けてみるか!」
開発、実験、改良このサイクルをかなりの速度で回し、尋常ではないスピードで開発を加速させた。
実戦に耐えられない、扱いづらい装備も多数あったがそれも礎と言うものだ。拠点からかなり距離があるところまで足を伸ばしていた頃、事件が起きた。
「ふん~ふふん~」
いつも通り、実験のために足を運んでいた。
今回は今までとは違う実験のために機械生物がかなりの数が居る場所までやって来た。
度重なる開発により、全身をくまなく改造すると残るはブラックボックスである頭部、その改造のための第一歩だ。
頭部にジム・ドミナンスに似たバイザーを着け、それを降ろし目を保護すると後頭部に付けられた機械を起動させる。
「よし!」
巨大都市と言っても過言ではない場所に向けて背中のランドセルのスラスターが火を吹く。高く飛び上がり、降りると同時に脚部追加装甲に付けられたホバー機能をオン。
高速移動しながら機械生物たちを蹴散らしていく。
昔は苦労したが装備が充実した今、小型の機械生物相手なら5桁ぐらいでも楽勝になってきていた。
「やっぱり居るなデカイの!」
小型の2.3倍ほどはあるだろう機械生物もガトリングで牽制しつつ接近、ヒートサーベルで頭部を破壊するとヒートロッドでコアを破壊、一瞬で沈黙する。
《キアァァァァァ!》
「は?」
姿を表したのは先程倒したのと同じ似た大きさの機械生物が数えるのがめんどくさくなる数はいた。
それがこちらに向けて飛んできたり、走ってきたりしてくるわけで溜め息が出る。
「糞が、調子に乗りすぎたか。あんまり使いたくないけど」
後頭部の機械のスイッチを押すとバイザーが赤く光だし自分の目も赤く輝いているのが分かる。
《EXAM システム…スタンバイ!》
「かかってこいや。雑魚どもがぁ!」
先程の動きから明らかに鋭さを増した攻撃が機械生物たちに襲いかかり蹂躙されていくのだった。
ーー
「ふぅ…」
目の前で動くもの全てを破壊し尽くすと大きく息を吐く。排熱のせいで口からも蒸気を出しながら陽が傾く太陽を見つめてると自分の目の前に手のひらを向ける。
元々赤目だったがシステムの名残か、まだ目が赤く輝いている。
ニケの残骸を使って実験した結果、脳にダメージを極力与えないように設計されたシステムだ。しばらくすれば治るだろう。
「帰って、飯食って寝よ」
心底疲れたように独り言を呟きながら地下に潜る。
ーー
その様子を偵察に来ていた量産型ニケたちが目撃する。
「居たぞ、目標だ」
「消えちゃった…」
彼女たちはこの地域で放浪しているニケが居るらしいとの情報を得て近辺のラプチャーを偵察しながら捜索していた部隊だった。
「おい、都市のラプチャー。全滅してるぞ」
「たった一人で?」
「え、ちょっと、これ見てよ」
偵察用のカメラを操作していた量産型ニケの一人が慌ててその画面を他のニケたちに見せる。
そこには瞳が赤く輝く銀髪のニケが映っていた。
「これって最近発見された侵食ってやつ?」
「あの化物が敵になるってこと?」
「と、とにかく指揮官に報告を」
装備を整えて指揮官が待つポイントへと帰投するニケたちであった。