ヤーナムの狩人、透き通った夜空の下で目覚める 作:まさたろう
血に酔い、狩りに酔い、上位者となった狩人の瞳
狩人の夢の大樹の麓に転がっていた
血に酔った瞳は瞳孔が崩れ、いずれ蕩ける
しかしこの瞳は驚くほど澄んでいる
まるで夜空と見間違えるほどに
私は狩りをした
罹患者を狩り
獣を狩り
眷属を狩り
時には人を、狩人を狩り
そして上位者を狩った
狩人の夢の大樹の麓
かつての助言人、ゲールマンを狩り
そして現れた月の魔物を狩った
…
そして私は幼少期を迎えた
上位者としてのだ
人間の姿が恋しいと思うことはあったがもう狩りをする事は無いだろうし
私は狩人の夢で人形と共に私が成体になるのを待とう
…よし、まぁそれで良いだろう、人形からも同意は取れた
後の事はその時考えよう
今日は疲れた、乳母を狩り、ゲールマンを狩り、そして月の魔物を狩った
今はとりあえず寝てしまおう…
目が覚めた、いい夜だ
「…どこだここ、一面砂漠だぞ」
起きたら知らぬ場所にいた
そんな経験は…ヤーナムに来た直後のことだろうか
記憶がなくて直後かは分からんが
そもそもここはヤーナムなのか
ただヤーナムに砂漠とは聞いたことすら無い
…てゆうか何もないな
見えるのはちらほらある廃墟のみ
これはひたすら歩く必要がありそうだ
「あれ、そうだ、なぜ私は人間なのだ」
そうだった、私は上位者だろう
手足もある、頭も、いつもの狩装束まで着ている
仕掛け武器は無いが狩人の時の私そのまんまじゃないか
…ここに来てから疑問ばっかりだ
とりあえず人を見つけたいな
…どこに居るだろうか
適当に進んでも野垂れ死ぬだけだろう
どうにか人の手がかりは無いものか…
大分進んだ
しかし人の痕跡は未だにゼロ
今のところ疲労が溜まっただけだ
しかし確かな発見があった
灯りを見つけた
廃墟の中で痕跡を探している途中で見つけたのだ
一度狩人の夢に帰ることにした
狩人の夢に帰ってきた
「ただいま」
「おや?…狩人様…そちらの姿は大変お久しぶりですね、それに…随分と可愛らしくなりましたね、天使様見たいですよ」
「え?どゆこと?」
理解するのに数秒かかった
いつもより人形が大きい…周りもだ
つまり私が小さくなったわけだ
それに天使様?と思い、人形に手鏡を貸してもらった
…ほんとに天使様みたいだった、頭の上に輪がある、そしてその中にカレル文字の狩りが書いてある、なんだこれ
「ほんとに天使様みたいだな」
「フフッ、可愛らしいですね」
ちょっと恥ずかしくてそっぽを向いたら…なんかすごいのがいた
「ねぇ…あれってもしかして私?」
「えぇ、狩人様ですよ、上位者の狩人様はもうあんなに大きく立派になりましたよ」
人形が手を向ける方向には手…と言うか触手で手を振る者がいた
月の魔物の様な…ただよく見ると腕が多くアメンドーズの様だ
そして星の娘の様な羽根が生えている
それと所々ロマの顔のように隕石?が付いている
それにたまに消えたり出てきたり、多分乳母の様に透明になっているのだろう
…今まで狩ってきた上位者の特徴を見事に反映していた
おそらくリゲインで一番血を吸った月の魔物が体のベースになっているのであろう
「何と言うか…凄いな…圧巻だ」
「フフッ、狩人様、凄い上位者になってしまいましたね」
「そうだった…あれ私か…まぁ、悪くない」
てゆうか幼少期だった私が成体になるぐらいに時間は経っているのか
「あぁそれと、何かもう一つ、お墓が出来たのです」
人形が指を指したそこには
『透き通った墓石』
があった
おそらくこれに手をかざせばさっきの場所に行けるだろう
「そうだ、人形、仕掛け武器は残ってるか?」
「えぇ、工房に保管しておりますよ」
私は工房からいくつかの仕掛け武器を取り出した
…うーむ、どれを持っていこうか
〜数十分後〜
駄目だ決まらん
もう人形に決めてもらうか
「ねぇ、私が一番使ってた武器ってなんだろう」
「一番使ってた武器…ですか…よく見たのは獣狩りの曲刀ですかね」
「あぁー確かによく使ったわ」と思いつつ工房に足を運ばせ
曲刀、そして短銃を手にし砂漠へ戻った
砂漠に戻った瞬間、人の気配がした
それに上位者と同じ何かを感じる
この場所はまだ未知数なことが多い、相手も何をしてくるか分からない
今はとりあえず身を隠そう
すると脇道から一人の桃色の髪をした少女が出てきた
「うーん?ここらへんに何か動いてるのが見えたんだけどな〜聞こえてるなら出てきてもいいよ〜」
持ち物は銃…しかしヤーナムにあったものとは似ても似つかない
それに見慣れない服、そして何より…頭の上に天使の様な輪がある
さっき私の上にもあった物だ
これ…何なんだろう…
考えてるだけ無駄だろう
そう考えているとその少女はどこかへ行ってしまった
足跡はまだ残っている
追跡してみようか
…しばらく追跡しただろうか
しかし侮れぬものだな
小童かと思っていたが中々…かなりの強者だな
手を出したら無事ではすまないだろう
一度手合わせをしてみtッッ…(ドサーー)
やべー…転んじゃったよ…誰だよこんなとこに街頭倒したやつ…
「…誰?」
さっきから少し違和感があった
結構警戒してた、しかし違和感を感じる程度だった
相当に実力があるだろう、もし敵意を持っていれば…
私でも勝てるかわからない
「武器を捨てて、後ろを「まて」」
「余計な誤解をさせてしまっているかもな、敵意はない」
「それなら銃を置いて、あと持ってるなら爆弾も」
指示どおり銃を地面に置いた
…あ、そうだ曲刀も
「用がないならそのまま帰って」
「生憎帰る場所が無くてな、泊まる場所が欲しいんだ」
「…じゃあついてきて」
言われる通りその少女についていくことにした
少し歩くと大きな建物があった
さっきの廃墟もだがレンガ造りの建物が無い、知らない素材だ
ここはヤーナムでは無い、そう決めつけても良いだろう
その建物の中に入ると…
廃墟…では無いがあまり整備されていない、砂が積もっている
「ふむ…まぁ住処にはなるか」
「でしょ?ここはアビドス高等学校、昔はもっと大きかったんだけどね、今使われてるのはここだけ、あ、ところで君名前は?」
「名乗る時は自分からだろう」
「……小鳥遊ホシノ、アビドス高校の3年生」
「小鳥遊ホシノか、よし、覚えておこう、私のことは狩人と呼ぶといい」
さんねんせい?とやらは分からん…が置いておこう
「…自分だけ偽名?まぁ…いいや、あ、それと寝泊まるだけならこの部屋に泊まっていって、他は…屋上ぐらいなら行っていいよ」
「分かった、厳守しよう」
「それじゃ、私は帰るから変な事しないでね」
小鳥遊ホシノと別れを告げ、一旦ここを探索してみる事にした
…しかしどこもかしこも砂まみれだ…この部屋もいずれ…そうなるのだろうか
屋上に行ってみようか…何かあるかな
屋上に出た、見渡した限り特に何もなかった
しかし綺麗な夜空だ、ヤーナムの薄汚れた夜空とは別物だ
少し肌寒くカラッとしている空気、こうゆう感じ好きだ
ヤーナムとは違う空気に浸っていると後ろに何か…ホシノと合った時とはまた別の悪寒がした、後ろを振り返るとそこには…
黒いスーツをビシッと決めた顔には亀裂のような目と口
「探してましたよ、しかしまだお名前を聞いていませんでしたね、あ、失礼、『黒服』と申します、以後お見知り置きを」
「随分と丁寧だな、狩人と呼べ」
「なるほど、狩人さん、単刀直入に言います、貴方本当に人間ですか?理由を後回しをするのは誤解が生まれるかもしれないので言います、貴方の持つ神秘、それが通常の生徒の持つ何十倍とあるのです、才能、と言えるかもしれませんが今の貴方は私の知る最高の神秘、その三から五倍ほどの神秘を秘めています、ただの人間とは到底考えにくい」
「褒め言葉として受け取っておこうか、私の神秘が高い理由は知らんが私はもちろん人間だぞ?まぁ"今の私は"が一番正しいだろう」
「なるほど…今の私ですか、つまり元々人間では無い…何か神秘を多く宿した、ある意味人間より上位の存在であった…または接触により何か変わった…と言うことですか」
「まぁそんな物だ、所で何の用なのだ、それを聞きに来ただけではないだろう」
「察しがいいですね…そうですね、貴方の神秘を調べたい…でしょうか、簡単に言えば貴方の頭上の輪の事です、それに欲を言えば我々の仲間になってもらいたい所です」
「なるほど?…多分理解できた、それと…仲間になり貴公、または貴公の仲間から何か恩恵を受けられるのであれば入ろう、私に危害を加えた瞬間、敵になるがな」
「なんと!仲間にまでなってくれるとは、危害を加えるなど真っ平御免ですよ、是非とも歓迎しますよ、我々ゲマトリアに」
後に聞いた話ではゲマトリアはこの地に蔓延る神秘を研究しているらしい
大体メンシス学派とか聖歌隊の奴らと一緒だな
そしてここはキヴォトスと言うらしい
あのでっかい塔がサンクトゥムタワー、連邦生徒会とか言う奴らの本拠地らしい
黒服にキヴォトスでの一般常識を教えてもらい
砂のかぶった部屋で就寝した
「ふあぁ…」
目が覚めた
いい夜だ
…朝だ
夜明けだ
そうだ
キヴォトスには元々獣など存在しないらしいし
そりゃあ獣狩りの夜もない
初めて…見たな…朝日ってやつ
気づけば膝をつき、涙を流していた
夜明けって素晴らしい