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うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

よいこの君主論  架神恭介+辰巳一世

2017年09月11日 | 読書感想
目立小学校五年三組の覇権を狙うひろしくん。彼の前に立ちはだかるのは、女帝りょうこちゃん、学級代表まなぶくんをはじめとするそれぞれの仲良しグループを率いる小君主たち。果たしてひろしくんは君主論を武器に五年三組を統一できるのか……?
群雄割拠の中世イタリアを現代日本の小学生に置き換え、笑いながらマキャベリの『君主論』を学ぶ奇書。


マキャベリズムを粉々に噛み砕いて、中二病アニメ風キャラクターに置き換えられた小学生たちによって、君主の在り方や、君主のしてはならない失敗などを解説していく変な本。人民の心を高所から値踏みして操ろうとする非常に感じの悪いマキャベリの思想が、プリンの前では理性を失ったり、わんぱくだから遊ばずにはいられなかったり、学級委員を聖職になぞらえたり、中世のあれこれがスケールを小学生レベルにまで落とすことによって絶妙な笑いになっているし、非常にわかりやすくなっている。完全に呂布そのものの裏切りまくりの運動自慢りょうくんが良い。
ストーリーは小説ではなく、歴史書のようにクラス全体の動きをざっくりとまとめたものとなっていて、そこがサクサクと進んで面白みとなっている一方、いささか盛り上がりに欠けている側面も否めない。が、一冊でまとまっているのが良いところなので、やはりこの書き方が正解か。
コミカライズもしたらしいが、この史書のような書き方は漫画ではできずに普通のストーリー漫画の様式でやったようで、見事に打ち切られたらしい。まあそうだろうね……。

君主論が笑えるということをみんなに知ってほしかったというのが執筆動機の一つだというが、なるほど、この身も蓋もない物の見方は確かに笑える。解説が「地獄にいるマキャベリ本人が書いている」というていを取りつつ、マキャベリの半生がわかる心配りも憎い。
作者の片割れである架神恭介は尖ったクソマニュアルと尖ったラノベを書いていることで一部で有名だったのではじめて読んでみたのだが、思ったより面白かったので機会があれば他のも読んでみようと思う。