goo blog サービス終了のお知らせ 

うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

ダブル・ジョーカー  柳広司

2017年08月21日 | 読書感想
太平洋戦争を間近に控える日本帝国軍において「殺すな、死ぬな」を標榜する諜報機関――D機関。彼等の様々な暗躍を描く短編集第二弾。

 基本的にこのシリーズは、D機関なるスパイ組織を作り上げた結城中佐というキャラが、「色々あったけど全部計画通り!」という風にオチで全部もっていく作風で、その深淵策謀というかチートというか、わけわからんアクシデントに対しても備えているインチキぶりは完全にギャグの域に入っている。前の巻を読んだだけでは思わなかったのだが、アニメ版を数話見たところ、展開が早いのと原作まんまの糞長いナレーションで過剰に状況説明をする映像作品らしからぬ言葉のゴリ押しの果てに「はい、予定通り」と結城中佐があらわれる展開は完全に笑いをとりにいっているとしか思えず、もはやこの二作目を読み始めた時点で結城中佐が「計画通り!」してくれてYYS!するのが楽しみになってしまっていた。

 そして実際、表題作にもなっている一話目、D機関をライバル視し、日本帝国軍に別のスパイ機関を立ち上げる男の話は、見事なまでのYYS!YYS!という話であり、こりゃ今後もYYS!が捗るでえ……!と期待させてくれる。
 ところがそこから先は「きた!YYS!……と思ったらちがった……!」「これだ!このキャラが結城中佐の変装だ!YYS!……じゃないだと!?」「実はYYS小説ではないのか……と思ったらYYS!YYS大正義!」「よし、次もYY……なにぃ!?」とこちらを惑わせてくれる展開ばかりであり、何でもアリのジョーカーキャラでこちらを惑わせてくる作者の手腕に翻弄されるはかりだ。くそう、YYSしてえよ……俺にもっとYYSさせてくれよ……!

 そういうところは抜きにしても、毎回ご丁寧にどんでん返してくれるし、戦争前後の陸軍と海軍のくだらない対立ぶりとかドイツと日本の微妙な関係とか、そういうあれこれが平易な短文で見事に描かれており、普通に完成度の高い小説だと思いました。

 でもやっぱりYYS!が一番大事だと思います。