捕鯨文化の未来考える 石巻で4年ぶり「全国フォーラム」 食の継承、期待

鯨食文化の継承などについて意見が交わされたパネルディスカッション
カレー、カツ、炊き込みご飯といった鯨料理を受け取る来場者

 捕鯨産業や鯨食について考える「全国鯨フォーラム2025石巻」が1日、石巻市開成のマルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)で開かれた。石巻での開催は2021年以来4年ぶり。捕鯨や食育の関係者らによるパネルディスカッションや鯨料理の振る舞いなどがあった。

 市内の飲食店などが鯨肉を使ったカレーや炊き込みご飯などを提供。宮城水産高は鯨肉をしゃぶしゃぶにし、クリームチーズなどを巻いた料理を考案、市桜坂高は鯨のグラタンを来場者に振る舞った。

 家族や友人と訪れた仙台市片平小2年の楊力穏(やなぎりおん)さん(8)は「カツやカレーがおいしかった。肉が大きかったけれど、固くなくて食べやすかった」と喜んだ。

 パネルディスカッションには外房捕鯨鮎川事業所(石巻市鮎川浜)の大壁孝之所長や鮎川捕鯨(同)の伊藤信之社長、市食育推進会議の須能邦雄会長らが登壇した。

 大壁所長は「近年、仙台湾では海洋環境の変化でミンククジラが減り、ザトウクジラやマッコウクジラが見られる。ミンクを狙う場合は遠方に行かざるを得ない状況だ」と話した。

 食の継承について、伊藤社長は「幼少期はおやつ感覚で鯨を食べるほど地域に根付いていた」と振り返り、須能会長は「食の好みは10歳ごろまでに決まるといわれているので、学校給食で提供する頻度を増やし、子どもになじみのある食材にしたい」と述べた。

 石巻市、石巻くじら振興協議会、日本鯨類研究所の主催。2、3日は関連行事として鮎川浜の観光物産交流施設「cottu(コッツ)」で、捕鯨の町として知られる和歌山県太地町などの特産品が販売される。

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