イスラエル兵がパレスチナ人収監者を虐待したとされる映像の流出をめぐり、イスラエル軍の主席検察官ら法務部門トップが11月3日に逮捕された。タイムズ・オブ・イスラエルなどが報じた。
逮捕されたうちの一人、元軍法務総監のイファト・トメル=イェルシャルミ少将は10月31日に、「映像の流出を認めたのは自分であり責任を取る」として辞任していた。
トメル=イェルシャルミ少将は、背任や司法妨害などの疑いで拘束されているという。
虐待と映像の流出
虐待は2024年7月に南部のスデ・テイマン基地で行われたもので、この時の映像が8月に流出した。
映像には、複数人の兵士が地面にうつ伏せ状態の収監者の中から一人を選び出し、周囲を暴動鎮圧用のシールドで囲んで見えないようにした上で暴行を加える様子が映っている。
虐待には性的暴行も含まれていたと考えられており、被害者を治療した医師は、肛門や直腸の激しい損傷や、肋骨の骨折などの重傷を負っていたと証言した。
一方、イスラエル国内では、兵士の拘束に極右の市民らが激しく抗議してきた。2024年7月に9人が拘束された際には、市民らがスデ・テイマン基地に押し寄せて兵士への支持を表明し、一部が侵入を試みる事態に発展した。
今回、映像流出を認めたトメル=イェルシャルミ少将に対しても、国家反逆にあたるのではなど、批判の声が上がっている。
イスラエルのカッツ国防相は、「イスラエル軍に対する『血の中傷』を広めて兵士を誹謗した」とトメル=イェルシャルミ少将を非難し、階級を剥奪する意向を示している。
ネタニヤフ首相も、映像流出は「イスラエルと軍、兵士のイメージに甚大な損害を与えた」「建国以来、イスラエル国家が経験した最も深刻な広報上の打撃かもしれない」と述べて調査を求めた。
一方、トメル=イェルシャルミ少将は「流出はイスラエル軍のためだった」と説明しており、辞表で次のように述べている。
「IDF(イスラエル国防軍)は道徳的で法を順守する軍であり、長く苦しい戦争の中でも、不法行為の疑いを調査する義務があります。これは私たちの法的、倫理的な責任です。IDFを弱めるものではなく、むしろ強さの源です。軍の回復力を保証し、その構成員を内外から守るためのものです」
「私は軍の捜査当局に対する虚偽のプロパガンダに対抗するため、メディアへの資料公開を承認しました。提供されたすべての資料について、私が全面的な責任を負います」
イスラエル軍のパレスチナ人の収監者に対する虐待は国際的に批判されてきた。国連は2025年9月に、ハマスとイスラエルの軍事衝突が2023年10月に始まって以来、少なくとも75人の収監者の死亡が確認されたと報告している。