駅前の”一等地”が空白に 地方の”老舗”スーパー閉店、地元に衝撃 「市全体が廃れた印象になる」住民も経済界も地域の衰退に危機感
長野県駒ヶ根市の「マルトシ」閉店
長野県駒ケ根市のJR駒ケ根駅前ビル「アルパ」1階のスーパー「マルトシ駒ケ根駅前店」が10月31日、閉店した。市の駅前再整備事業でオープンした同ビルの中核テナントとして四半世紀余り営業し、買い物客からは惜しむ声が聞かれる。一方、地元商店街では集客力の低下を懸念する声が出ており、市が今後進める後利用の検討に関心が高まっている。 【写真】「わが家の冷蔵庫だった」と市民に惜しまれ閉店したスーパーが入っていた駅前ビル
「わが家の冷蔵庫」「週2日は通っていたのに…」
30日昼過ぎ、商品棚の空きが目立つ店内には、いつも通りに訪れる買い物客の姿があった。近くに住む70代女性は「毎日のおかずを徒歩で買いに来られて、わが家の冷蔵庫のような存在だった。すごく寂しい」。40代の男性会社員は「地元の店の素朴な雰囲気が好きで、週2日は通ってきたのに」と惜しんだ。
大手スーパーのビルを改装
アルパは1999年11月にオープン。96年5月まで営業した大手スーパー「ユニー」の店舗ビルを市が取得して改装した。200メートルほど離れた銀座商店街に店を構えていたマルトシも、オープンと同時に入居した。
郊外へのスーパー進出で収益減少
市やマルトシによると、20年ほど前から国道153号伊南バイパス沿いにスーパーの進出が続き、買い物客の動きが変わって収益が減少。新型コロナ禍による需要低下や、電気料など固定経費の増加が追い打ちとなり、営業継続が難しくなった。
町内会長「閉店は残念」
マルトシは49(昭和24)年の設立。アルパへの入居前から中心市街地の生鮮食料品店として親しまれ、現在は同市東伊那や中川村、大桑村にも店舗がある。当時を知る「銀座町内会」の吉瀬俊明会長(72)は「地元で名が知れた老舗。時代の流れで仕方ないが、(駒ケ根駅前店の)閉店は残念」と話す。
「駅前のにぎわいには痛手」
アルパに近い商店街では、買い物客が日常的に訪れるスーパーがなくなる影響を懸念する声が聞かれる。駒ケ根駅前周辺の約40店でつくる広小路商店街振興組合の桐生肇理事長(63)は「マルトシでの買い物のついでに商店街へ立ち寄る人の流れがあった。駅前のにぎわいには痛手になる」と危機感を募らせる。