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『共同住宅』の東京都建築安全条例の解説【全25の条例を解説】

私は、指定確認検査機関として5000件以上の建築物の審査を行ってきました。

その経験をもとに、住宅(一戸建て住宅・長屋・共同住宅・寄宿舎)の建築法規の解説をした書籍を発売。おかげさまで、たくさん増刷しまして、累計発行部数1万3000部となりました(自分の本がこんなに売れているなんて、不思議な気持ちです…)。

そんな私が、どの規定から審査していたかと言うと…だいたい、『地方公共団体の条例』からです。なぜなら、一番見落としが多く、適合していないことが多いからです。

建築基準法と異なり、地方公共団体の条例は、申請地によって規制が異なります。毎回、条例の読み直しが必要となるのですが…条例もそんなに簡単ではないので、必然的に読み落としが増えてしまうんですよね。

そこで、今回の記事では、東京都建築安全条例の『共同住宅』の規制について徹底解説します。東京都建築安全条例の『共同住宅』の規制って、実は25条もあるんですよね。一つ一つ確認するのはとても大変です。この記事では、規制を読み落とさない工夫がされているため、短時間で必要な情報を取得することができます。
ただ、全部説明すると長すぎて話が脱線するので、最低限知っておいてほしい大事な内容に絞ってご説明しています。根拠の条例はキッチリ載せているので、合わせて確認してください。


3つの区分に沿って、確認をしましょう

この記事では、下記の3つに分類をして解説をしていきます。

①共同住宅の『敷地』についての規定
②共同住宅の『建築物』についての規定
③『所定の条件』に該当する場合の規定

まず、①は敷地を選ぶ上で重要となる規定です。なぜなら、共同住宅は、条例の規制により、敷地によっては建てられないことがあります。正直、建築物が建つか建たないかと分つ規定なので、最重要な規定と言っても過言ではありません。

②は一般的な共同住宅が適合すべき規定をまとめています。東京都建築安全条例で最もメジャーとなる、窓先空地についてもこちらで解説しています。

③については、所定の条件に該当した場合に適用される規定をまとめています。例えば、規模が大きい建築物だったり、異種用途が混ざった建築物などが該当します。

確認方法としては、すべての方が①②は必ず一読していただきたいです。そして、③については、所定の条件に該当した場合に一読をお願いします。③の所定の条件については、冒頭で解説してわかりやすくしておきますので、そちらで確認をしてください。

①共同住宅の『敷地』についての規定

まずは最重要である、共同住宅の『敷地』に関する規定から確認していきましょう。敷地の条件によっては、共同住宅を建てられないこともあるので、しっかりと確認をしていきましょう。

規制内容としては、『敷地の形』と『道路の条件』の2点に関するものです。あとは、共同住宅に限らず、すべての建築物に適合が必要な規定も併せてご紹介します。


(1)路地状敷地に関する規定

根拠法文:東京都建築安全条例3条、3条の2、10条

原則として、共同住宅は路地状敷地には建てることができません(都10条)。路地状敷地の定義については、下記のブログ記事で解説していますが、基本的には、『道路から見渡せない死角がある敷地』です。ただし、申請先によって定義が異なるため、その都度確認する必要があります。

ただし、原則があるところに例外あり。下記2点のいずれかに該当した場合には、路地状敷地であっても、共同住宅を建てることができます。

①下記2つどちらにも当てはまる建築物(都10条一号)
・路地状部分の幅員が10m以上
・敷地面積が1000㎡未満である建築物

②下記4つすべてに当てはまる建築物(都10条二号)
・階数が3以下
・延べ面積が200㎡以下
・住戸の数が12以下
・路地状部分の長さが20m以下

共同住宅でよく該当するのは、②です。小規模な共同住宅の場合には、路地状敷地にも建てることができます。
一方、①については、『路地状部分の幅員が10m以上』というのが、条件としては厳しいですが、ちょっと大きめの敷地だと結構該当したりします。イメージとしては、下記のような感じです。

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なお、①の条件を満たした場合でも、路地状部分の幅員が4m未満だったら注意が必要です。なぜなら、原則として、路地状部分の幅員が4m未満の敷地には、階数が3以上の建築物を作ることができないからです(都3条の2)。ただし、建築物を耐火建築物、準耐火建築物だったら建築が可能です。
つまり、路地状部分の幅員が4m未満の敷地で、かつ、階数が3以上の建築物を作るなら、建築物を『耐火建築物または準耐火建築物』としてください。


(2)『道路に接する長さ』に関する規定

根拠法文:東京都建築安全条例4条、10条の3

建築基準法43条の規定により、敷地は道路に『2m以上』接しなければなりません。建築基準法ではこれ以外の規制はなく、どんなに大規模な建築物であっても、2mだけ接してれば適合となります。

しかし、東京都建築安全条例では、共同住宅を建てる敷地が道路に接する長さは最低4m。さらに、建築物が大規模になった場合には、より長く『道路と接する長さ』を求められることとなります(都10条の3第1項)。

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しかし、敷地が道路に接する長さが最低4m以上必要、というのは厳しい場合もありますよね。そこで、下記の条件を満たした共同住宅に限り、4m未満でも認められることとなっています(都10条の3第2項)。

下記4つすべてにも当てはまる建築物
・階数が3以下
・延べ面積が200㎡以下
・住戸の数が12以下
・路地状部分の長さが20m以下であるもの

これは、すでに解説しました、路地状敷地であっても建てられる共同住宅の条件とまったく一緒です。この条件に当てはまらない場合、『道路と接する長さ』は4m以上必要なので、必ず確認するようにしましょう。


(3)『前面道路の幅員』に関する規定

根拠法文:東京都建築安全条例10条の2、都4条2項

建築基準法では、前面道路の幅員は特に定めはありません。建築基準法上の道路だったらなんでもOKです。しかし、東京都建築安全条例の場合には、所定の条件を満たした場合、前面道路の幅員にも制限が出てきます。

共同住宅の場合には、『①自動車車庫が付属する場合』と『②規模が高層&床面積大な共同住宅の場合』には制限が追加されます。

まず、『①自動車車庫が付属する場合』について解説します。原則として、共同住宅の敷地に自動車車庫が付属する場合、前面道路の幅員は『6m』以上必要です(都10条の2第1項)。

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規定が厳しくて驚いた方も多いかと思います。でも安心してください、緩和規定があります。下記の条件を満たした場合、前面道路の幅員は6m未満でもOKです(都10条の2第2項)。

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(※共同住宅の場合には、都10条の2第3項の緩和規定が使えますので、その数値で記載しています。他の用途でこの表を見ると、不適合になってしまうのでご注意ください)

一番多くの方が該当するであろう、自動車車庫の床面積が300㎡以下の場合の扱いだけ、補足させていただきます。引用の文章により、道路は法42条2項道路ではNGであること、交通の安全上支障がないときは申請先の判断に委ねられることが記載されています。参考にしてください。

「幅員4m以上の道路」とは、法第42条第1項に規定する道路をいい、幅員4m未満の法第42条第2項等の道路は該当しない。

『東京都建築安全条例とその解説』より引用

「交通の安全上支障がないとき」の判断は、第1項と同様に警視庁交通部交通規制課又は所轄警察署の意見を参考にして、建築主事等が判断することとなる。

『東京都建築安全条例とその解説』より引用

前面道路の幅員が6m以上あれば何の心配もありませんが、もし6m未満で付属の自動車車庫を計画する場合、注意するようにしましょう。

続けて、『②規模が高層&床面積大な共同住宅の場合』について解説します。こちらはシンプルで、延べ面積が3000㎡を超え、かつ、建築物の高さが15mを超える場合、前面道路の幅員は6m以上必要です(都4条第2項)。

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ちなみに、この幅員6m以上の道路に、10m以上の長さ接しなけれなりません(都4条1項)。
これだけ大規模になってくると、それなりに広い道路に接すると思うので、そこまで適合が難しいとは思いませんが、併せてご確認ください。


(4)その他の『敷地』に関する規定

続けてご紹介するのは、共同住宅に限らずすべての用途の制限です。数は3つだけです。そこまで詳しい内容はしませんが、併せて確認をしておきましょう。

其の1〜角敷地の建築制限〜(根拠法文:東京都建築安全条例2条)
幅員が6m未満の道路が交わる角敷地は、隅切りを設けなければならないという規定です。隅切り部分は原則として、建築物を突き出して計画できないなどの制限がありますので、角敷地を計画する場合には注意しておきましょう。

其の2〜がけ〜(根拠法文:東京都建築安全条例6条)
周辺敷地と高低差が2mを超える場合などの『がけ』が生ずる場合、擁壁の計画や離隔距離などの制限が出てきます。見落とすと、下手をしたら建築物を建てることができなくなりますから、注意が必要です。

其の3〜新たな防火規制の指定〜(根拠法文:東京都建築安全条例7条の3)
東京都の場合、建築地によって『新たな防火規制』というものが指定されていることがあります。簡単に言うと、準防火地域のちょっと厳しいver.です。詳しい内容は条例等を確認してください。


②共同住宅の『建築物』についての規定

続いては、敷地ではなく『建築物』についての規定です。ここでは、すべての共同住宅が適用されそうな規定を集めました。敷地ほど重要ではありませんが、必ずチェックしていただきたい内容です。


(1)敷地内通路に関する規定

根拠法文:東京都建築安全条例17条

建築基準法では、敷地内通路を原則として1.5m以上確保することを求める規定があります(令128条の2)。東京都建築安全条例でも、これと同じような規定があります。


まず、共同住宅の主要な出入口は、原則として、道路に面して設ける必要があります。

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しかし、なかなか道路に面して設けることが困難な場合もあります。その場合、下記に定める『所定の幅以上』と『所定の長さ以内』を有する敷地内通路を設ければOKです。

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敷地内通路の長さが20mを超えることってあまりないかと思いますが、万が一20mを超えると、どんな規模でも、敷地内通路が4m以上必要になります。かなり確保が難しい寸法になるかと思いますので、注意が必要です。

この敷地内通路は、実際に検討を行うと、判断に難しく悩ましいことが出てきます。だから、申請先によって取り扱いなどが出ていることが多いです。合わせて確認をするようにしましょう(ちなみに、このnoteが好評だった場合、さらに詳しい記事の作成を予定しています)。


(2)窓先空地

根拠法文:東京都建築安全条例19条

東京都建築安全条例の共同住宅といったら、『これ!』というほど、有名な規定です。それもそのはず、この窓先空地は共同住宅の計画にとても大きな影響を及ぼします。だからこそ、しっかりと確認をしましょう。

まず、共同住宅の住戸の居室(1室以上)は、下記3つすべてを満たす必要があります。
①床面積が7㎡以上
②下記2ついずれかに面する部分に、窓を設けること
・道路
・窓先空地
③窓には『避難器具』又は『避難上有効なバルコニー』を設けること

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①③については読んでそのままなので、割愛します。②について補足していきます。

②について。共同住宅の住戸の居室は、最低でも1室以上、『道路』又は『窓先空地』に面している必要があります。道路はわかるとして、窓先空地とはどのようなものでしょうか?

窓先空地とは、『所定のスペース』を確保し、『所定の寸法の通路』を道路等まで避難上有効に連絡させる必要があります。

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なお、『住戸等の床面積の合計』については、道路に面している住戸は除くことができます(図解でもわかりようにしたので、参考にしてください)。意外とこの扱いが効いてくるので、しっかりと確認しましょう。

概要としてはざっとこんな感じです。ただ、窓先空地は令和7年に改正され、もっとかなり複雑になってしまいました。この記事が好評だった場合、もっと詳しく解説をする予定です。


(3)その他の『建築物』に関する規定

続けてご紹介するのは、共同住宅に限らない制限です。数は2つだけです。そこまで詳しい内容はしませんが、共同住宅も守る必要があるので、併せて確認をしておきましょう。

其の1〜らせん階段の禁止〜(根拠法文:東京都建築安全条例10条の7)
共同住宅の階段は、原則として、らせん階段禁止です。一応、例外として避難階とその直上階のもの、踏面の寸法が令23条1項に適合すればOKとなっています。あまり共同住宅でらせん階段が作られることはないと思いますが、念の為ご確認ください。

其の2〜階段下の火を使用する室の禁止〜(根拠法文:東京都建築安全条例11条の3)
原則として、階段の直下には、調理室などの火を使用する室を設けられません。ただ、内装を不燃材料にするなどの措置をすることで、例外として認められたりします。共同住宅の用途だと、階段の直下に調理室がある計画ってなさそうですが、念の為把握しておきましょう。


③『所定の条件』に該当する場合の規定

最後に、『所定の条件』に該当した場合に適用となる規定です。まずは、所定の条件がどんなものなのか一覧にしておきます。該当するものがあった場合には、そちらを確認するようにしてください。

(1)木造建築物で耐火建築物・準耐火建築物になっていない場合
(2)『3階以上』又は『2階の床面積が300㎡以上』に該当する場合
(3)2階の床面積が200㎡を超える場合
(4)高さ31mを超える場合
(5)階の居室の床面積が100㎡を超える場合
(6)エレベーターがある場合
(7)異種用途がある場合
(8)耐火構造・準耐火構造の壁・床を建築設備が貫通する場合
(9)安全条例により、内装制限を受ける場合


(1)木造建築物等で準耐火建築物になっていない場合

東京都で共同住宅を建てるとなったら、法27条や法61条の規定により
、嫌でも準耐火建築物で計画することが多いのではないでしょうか。

でも、もしこれらの規定をかいくぐり、木造建築物等で、かつ、準耐火建築物ではない建築物を計画する場合…実は、東京都安全条例で3つの規定が適用されるんです。この内容を確認してみましょう。

(念押ししますが、木造建築物等の規定です。鉄骨造とか関係ありません。木造建築物等の定義は、建築基準法23条と同じでOKです。)

其の1〜3階以上の居室制限〜(根拠法文:東京都建築安全条例7条)
建築地が法22条区域内だった場合、3階以上の階に居室を有する建築物が作れません。東京都なんて、防火地域・準防火地域以外はほぼ法22条区域に指定されているんで、高確率で対象になります。一応、緩和規定として、延べ面積が500㎡未満で知事が定めた構造方法だった場合は、3階以上でも居室が作れます(都7条二号)。

其の2〜外壁等の防火構造〜(根拠法文:東京都建築安全条例11条の2)
建築地が法22条区域内だった場合、階数が2以上、かつ、床面積が200㎡を超えるものは、外壁・軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とする必要があります。似たような規定である建築基準法23条では、外壁しか規定されていませんが、条例では軒裏も規制対象としています。大丈夫だとは思いますが、念の為に確認しておきましょう。

其の3〜2以上の直通階段の設置〜(根拠法文:東京都建築安全条例18条)
避難階以外の階で、住戸が6を超える場合、直通階段が2つ必要になります。そして、その直通階段は蹴上20㎝以下、踏面24㎝以上、階段の幅は1.2m以上(屋外なら90㎝以上)必要になります。
わかると思いますが、階段が2つなるって、計画に大きな影響を与えます。さらに、階段の寸法もそれなりに厳しくなります。
だから、もし住戸が6を超える場合においては、要注意です。


(2)『3階以上』又は『2階の床面積が300㎡以上』に該当する場合

根拠法文:東京都建築安全条例8条、10条の4の2

共同住宅で3階以上、又は2階の床面積が300㎡を超える建築物とは、いわゆる『建築基準法27条』に該当する建築物です。これらの建築物は、避難階に所定の区画が必要になります(都8条)。実務では『8条区画』と呼ばれています。

(ちなみに、3階建て200㎡未満の共同住宅で、警報器を設けた場合、法27条には該当しません。この場合、8条区画が適用されるかどうか悩ましいですが…都10条の4の2により、8条区画を準用することが明記されています。だから、3階建ての共同住宅だったら絶対に8条区画必要です)

区画する箇所は、『直通階段から屋外への出口までの経路』と『その他の屋内部分』です。
区画する方法は、『耐火建築物の壁』と『防火設備(常時閉鎖or煙感知随時閉鎖するもの)』です。

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場合によっては、避難階に多くの区画が発生してしまうため、要注意な規定です。8条区画も、かなり細かい内容があるので、できれば別で記事を書こうと思っています。


(3)2階の床面積が200㎡を超える場合

根拠法文:東京都建築安全条例16条2項

2階における共同住宅の床面積の合計が200㎡を超える場合、下記いずれかとしなくてはなりません。
・2階の床を準耐火構造
・1階の室の壁・天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、下地を不燃材料とすること

基本的には、2階の床面積が200㎡を超える場合、主要構造部を準耐火構造にしている可能性が高いです。その場合、2階の床を準耐火構造になっているので特に問題ありません。
念の為、確認しておきましょう。


(4)高さ31mを超える場合

根拠法文:東京都建築安全条例11条

建築物の高さが31mを超える部分に共同住宅がある場合、その建築物の『1以上の直通階段を特別避難階段』とし、『その他の階段を屋外避難階段』としなくてはなりません。

建築基準法にも、令122条に避難階段の定めがありますが、それの上位互換になります。建築基準法では階数15で特別避難階段とする必要がありますが、条例ではその規模が引き下げされているというイメージです。

ただし、共同住宅だったら比較的簡単に使える緩和があります。
下記3つをすべて満たすことで、この規定が適用されなくなります。
・特定主要構造部が耐火構造である建築物
・床面積100㎡以内(共同住宅の住戸の場合には200㎡以内)ごとに耐火構造の床・壁・特定防火設備で区画
・すべての直通階段が屋内避難階段又は屋外避難階段

2つ目の要件である、区画の制限が共同住宅だったら成立しやすいので、かなり使いやすい緩和となっています。もし、特別避難階段の計画が難しい場合、この緩和を検討してみましょう。


(5)階の居室の床面積が100㎡を超える場合

根拠法文:東京都建築安全条例20条

階の居室の床面積が100㎡を超える場合、共用の廊下についての規制が追加されます。具体的には、共用の廊下は、両側に居室がある廊下を禁止されます。

建築基準法にも廊下の幅員の規定(建築基準法施行令119条)はありますが、両側に居室がある廊下の禁止は、東京都建築安全条例ならではの規制です。

ただし、下記のいずれかに該当する場合には適用除外されます。
・建築物の特定主要構造部が耐火構造
・建築物の主要構造部が1時間準耐火構造
・階における住戸の数が6以下であること

大規模な共同住宅の場合、主要構造部等を耐火構造等としているので、問題ないかと思います。これらの適用除外に該当しない場合には、要注意です。


(6)エレベーターがある場合

根拠法文:東京都建築安全条例78条

エレベーターのかごと登降路の出入り口の戸は、かごの中を見渡すことができる窓を設ける必要があります。
これは、共同住宅の防犯上を考慮しての規定です。

かごの中を見渡すことができるような窓があれば適合します。一見、簡単な規定にも見えますが、そうとも言い切れません。
例えば、防火区画などで特定防火設備が必要になる場合です。窓を設けてしまうと特定防火設備にならないので、この規定への適合が難しいのです。

ただし、安全上支障がない場合が、除かれます。例えば、防犯上有効にかご内を見渡すことができるカメラやブザーの設置などをすることです。この内容については、申請先との協議が必要になるかと思います。念の為、注意ください。


(7)異種用途がある場合

根拠法文:東京都建築安全条例16条1項

所定の異種用途が、所定の床面積を超えるの場合、主要構造部を準耐火構造としなくてはなりません。
所定の異種用途とは、『飲食店、キャバレー、ナイトクラブ、料理店、バー、カラオケボックス(他にも、アルコールを提供するお店を含む)』のことです。
所定の床面積は、『200㎡を超える』場合です。

そんなに多くの建築物が該当するわけではありませんが、注意するようにしましょう。


(8)耐火構造・準耐火構造の壁・床を建築設備が貫通する場合

根拠法文:東京都建築安全条例74条

条例によって耐火構造・準耐火構造としたしなければならない壁・床に対して、建築設備が貫通する場合、建築基準法施行令112条20項、21項に定める貫通処理が必要です。当然守るつもりの方が多いかもしれませんが、一応条例でも明記されている内容なので、確認しておきましょう。


(9)安全条例により、内装制限を受ける場合

根拠法文:東京都建築安全条例75条

今までご説明した安全条例により内装制限をする場合、換気、暖房又は冷房の設備の風道は、室内に面する部分を不燃材料で造る必要があります。これも大丈夫かと思いますが、念の為に確認をしておきましょう。


さいごに

以上、共同住宅だった場合に適用される東京都建築安全条例の一覧でした。
普段、東京都で共同住宅の設計をやっている方であっても、『知らなかった!』という内容がとても多かったのではないでしょうか。

冒頭にもお話したように、地方公共団体の条例は、最も違反が多いです。
それほど落とし穴が多いということですので、慎重に確認しましょう。

この記事内の規制を確認すれば、東京都の共同住宅の計画はバッチリのはずです。ぜひ参考にしてみてください!


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