【田矢 信二】もはやローソンのお荷物「100円ローソン」の閉店ラッシュが止まらない…ピーク期から半減、客足も遠のく

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コンビニエンスストア全国チェーン「ローソン」の業績が好調だ。今年10月15日に発表した2025年3~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比10%増の383億円と、過去最高を更新。主に国内コンビニ事業が堅調に伸長した形となった。

ただ、そんなローソングループの中で苦戦を強いられている業態がある。それが店舗の“大量閉店”に追い込まれているという「ローソンストア100」、通称100円ローソンだ。

100円ローソンといえば、従来のコンビニの機能に加えて、肉や野菜などの生鮮食品や生活用品を充実。さらに100円ショップの要素を融合させた業態として、展開当初はその独自性から大きな支持を受けていた。また、おかずを1種類だけに絞ったお弁当「だけ弁当」など、同チェーンならではのヒット商品にも恵まれていた。

ところが、直営店・フランチャイズ合わせて1200店舗以上あった最盛期から一転、年々その数を減らしていき、今や621店舗(’25年9月末日)と半分になっている。なぜ100円ローソンは閉店ラッシュに追い込まれたのか――。

ローソン、ナチュラルは好調なのに

100円ローソンの現状を探るべく、グループ全体の直近の月次推移を見てみたい。

株式会社ローソン発表の2026年2月期の月次情報によれば、まずメインブランドの「ローソン」および健康志向の商品に特化したセカンドブランド「ナチュラルローソン」を合わせたローソン事業は、今年3月から9月にかけて、売上高・客数・客単価いずれも前年同月比を上回る数字で推移しており、その好調ぶりがうかがえる。

一方、件のローソンストア100事業はと言えば、客単価こそ前年同月比100%超えを維持している(後述するが、商品の値上げによる要因が大きい)ものの、売上高・客数年は前年割れが続いている。直近の9月にしても、売上高95.5%、客数92.3%と、深刻な客離れの様相を呈している。

それに比例して、店舗の閉店も相次いでいる。3月末日時点では637店舗あったのに対して、9月末日時点で621店舗と、半年で16店舗減。つまり毎月少なくとも2~3店舗の100円ローソンが街から姿を消している計算だ。

なぜ、ローソンの中で100円ローソンだけが苦境に陥っているのか。業界歴25年のコンビニ研究家、田矢信二氏はこう語る。

「100円ローソンの業態自体に『魅力』があることは間違いありません。しかし、結論から言えば、いまの経済状況などを鑑みると、ローソンとしては拡大路線を考えてはいないはず。店舗数を減らすことはあっても、今後しばらく増やすことはないでしょう」

リーマンショックを機に急成長したが…

100円ローソンという業態の「魅力」とは何か。それを理解するには、同店の成り立ちを知る必要がある。

そもそも100円ローソンのルーツは、主に東京都西部でスーパーマーケットを運営していた株式会社ベストの新規事業として1996年にオープンした「99エンオンリーストア」に端を発する。この業態はその後、株式会社九九プラスの運営店舗として独立し、2001年には「SHOP99」へと名前を変える。

同社は2007年にローソンと業務・資本提携を行い、翌2008年には連結子会社に。同じくローソンの子会社が営業していたローソンストア100と合体する形で、2011年には運営する全店がローソンストア100という名前となり、今の体制に至ったわけだ。

前出の田矢氏が続ける。

「当時、100円ローソンの何が良かったかと言えば、コンビニとスーパーマーケット、そして100円ショップと、3つの業態の《良いとこどり》だった点です。生鮮食品や日用雑貨を取り揃えていたことは、今でこそコンビニ業界でも普通になっていますが、当時としては画期的でした。

また、2008年に起こったリーマンショックを受けて、不況となった国内で節約ブームの波が押し寄せる中、100円ショップという業態は高く注目されました。その影響も追い風となって、約1200店舗にまで一気に店舗数を増やしたわけです」

コンビニ業界において時代を先取りし、かつ時代の波に乗って急成長を遂げた100円ローソン。だが、好調だったのはここまで。「『ある店』の登場で、ここから業績は右肩下がりになっていきます」と、田矢氏は指摘する。

100円ローソンを閉店ラッシュに追い込んだ“元凶”とは――。つづく【後編記事】『まいばすに敗北→大量閉店「100円ローソン」…それでもローソンが絶対に手放さない理由』で詳しく解説していく。

【つづきを読む】まいばすに敗北→大量閉店「100円ローソン」…それでもローソンが絶対に手放さない理由