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第10話

上手な甘え方
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2025/08/13 05:31 更新
※この前のとは繋がっておりませぬ、ごめんね…
書くのまだ時間かかりそうなので…
ちょっとした違和感あるかもしれませぬが
スルーしていただけると幸いです…ごめんね…
シュヤ
シュヤ
……ちょっと、つかれたな
特段何かあった訳でもない。
ただ、ほんの少しだけ忙しく感じたり
怒られることが多かったり、そういうのが家であった。
だから少し、色々なことに疲れただけだ。
人の顔色を見ることも、声色から探るのも
「色」を感じるのも。
シュヤ
シュヤ
……
そのせいもあって、今日はまだ
ろくに人と話していない。
……皆、心配してないといいけど…
優しい子達だから、気にしてしまうだろうか。
シュヤ
シュヤ
…気にしないでいてくれるといいな
誰のせいでもない、どうしようもないことだ。
僕が僕である以上、避けられないことだ。
治しようもない。言葉にすることもない。
そんなどうしようもない痛みは、背負ってほしくない。
多分、気にしたって苦しいだけだ。
だから、こうしてすみっこでうずくまっている僕のことは
気にしないでいてくれたらいいなと思う。
シュヤ
シュヤ
…つかれたなぁ
膝を抱えて、視界に何も映らないように目を閉じた。
痛みから目を逸らして
呼吸のしづらさには気付かないふりをして
割れていく心の音を聞きながら
痛む心臓を押さえつけるように息をする。
シュヤ
シュヤ
…大丈夫、大丈夫だ
僕はそんなに辛くない。
僕より頑張っている人がいることなど、明白なのだ。
シュヤ
シュヤ
でも…
だから僕のことを、褒めてはくれないのだろうか。
どこまでやったら「頑張った」になるんだろう
痛いのは、苦しいのは、全部僕が悪いんだろうか
そもそもの話、どこまでが「痛い」で
どこまでが「苦しい」んだろう
シュヤ
シュヤ
……どこからだったら、言えるんだろう
ゾーヤ
ゾーヤ
…シュヤ
目を開けて上を見ると、前の方にゾーヤが座っている。
いつの間にか来ていたらしい。
いつも思うけど静かだな……
シュヤ
シュヤ
やぁ、ゾーヤ
勝手に閉まりそうになった喉を無理に開けたからか
声が少しだけ掠れて聞こえた。
なんとか作った口元の笑みも、多分あまり上手くはない。
ゾーヤの心配そうな目が、それを物語っていた。
ゾーヤ
ゾーヤ
…なにか悩み事?
雨で濡れたこねこみたいになってるよ
シュヤ
シュヤ
…言い得て妙かもしれないね
返答にいつものような明るさがない。
自分でも驚くほどだ。
濡れて落ち込んでいるこねこのように見えるのは
多分こういう所だろう。
もう少しくらい明るく振る舞いたいところだが
そんな体力などなかった。
とんでもない意気消沈具合である。
ゾーヤ
ゾーヤ
……
シュヤ
シュヤ
…?
ゾーヤは右手を口元に当てて、しばらく考え込んでいた。
絵になるな…なんて思いながら眺めていたら
考え事が一区切りついたのか、ゾーヤは僕の方に目を向けて
優しく微笑みながら腕を広げた。
ゾーヤ
ゾーヤ
おいで、シュヤ
シュヤ
シュヤ
……
なにか言おうかとも思ったが、疲れているせいか何も思いつかなかったので、やめた。
ただ静かに、惹かれるように
ゾーヤの腕の中に収まった。
…月に帰るうさぎも、こんな気分なのかもしれないな。
シュヤ
シュヤ
…つかれた
ゾーヤ
ゾーヤ
お疲れ様。
シュヤは頑張り屋さんだね
シュヤ
シュヤ
……ぼく、がんばれてる?
ぜんぜん、上手にできないけど…
ゾーヤ
ゾーヤ
…うん。
少なくとも、ボクから見たシュヤは
とっても頑張り屋さんだよ。
ホールケーキ作るこびとさんみたいで
ちょっと心配だけど…
そっと触れるように、優しく頭を撫でられる。
心がふわふわして、なんとなく息がしやすくなった気がした。
…そういえば、こんな風に撫でてくれるのゾーヤくらいだな。
他の人に撫でてもらったこと無いし…
シュヤ
シュヤ
えへへ……あったかい…
ゾーヤ
ゾーヤ
ふふふ…シュヤは頭を撫でてもらうの
結構好きだよね。
クッキーでできた犬みたい
シュヤ
シュヤ
…ゾーヤの手が好き
やさしくて、あったかいから…
できたてのチョコマシュマロみたい
ゾーヤ
ゾーヤ
…そう?よかった
ふわりふわりと頭を撫でながら
ゾーヤは優しい声でそう言った。
その後ほんのちょっとだけ、お互い何も話さないで
ただ静かに過ごして。
少しだけ間が空いたあと、ゾーヤが言葉を口にした。
ゾーヤ
ゾーヤ
…シュヤはもう少し、甘えてもいいんだよ
シュヤ
シュヤ
…今でも甘えてるよ?
ゾーヤ
ゾーヤ
それはそうかもしれないけど…
……今のシュヤって
ライオンのふりをするこねこみたいな感じだから
もうこれ以上、無理しないでほしいなって
シュヤ
シュヤ
……
ゾーヤ
ゾーヤ
ボクの前でも時々無理してるし…
なんて言ったらいいのかな…
…せめてボクと話す時だけでも
お昼寝してるシフォンケーキみたいな感じでもいいと思うんだ
……どうやら
ゾーヤから見た僕は、だいぶ張り詰めていたらしい。
まぁ確かに、リラックスやら安心やらというものは
僕から縁遠くはあるのだが…
そこまで足りていないとも思っていなかったな…
シュヤ
シュヤ
…そうだね。ありがとう、ゾーヤ
お言葉に甘えようかな…
そうは言っても、難しいけれどね
ゾーヤ
ゾーヤ
…うん。
ゆっくりでいいよ
いつか、上手になれるといいね。
シュヤはいつも自分のこと後回しだから
シュヤ
シュヤ
あはは……頑張るよ…
ゾーヤ
ゾーヤ
……あんまり無理しないでね
ボロボロのショコラタルトになっちゃうよ
シュヤ
シュヤ
……そうだね…気を付けるよ…
ゾーヤ
ゾーヤ
(…シュヤって、割れかけのステンドグラスみたい)
ゾーヤ
ゾーヤ
…シュヤ
シュヤ
シュヤ
ん?はぁい、ゾーヤ
どうかしたかい?
ゾーヤ
ゾーヤ
ボクはここに居るからね
…置いていかないから、大丈夫だよ
シュヤ
シュヤ
…あぁ。
うん…そっか、そうだね……
…よかった……
壊れないように必死で繋ぎ止めて。
細くて小さい、その手のぬくもりを
なくしてしまうのが、ただ怖くて
でも、いつか
その怖ささえ乗り越えて
上手な甘え方も分かるようになったら
ゾーヤ
ゾーヤ
(君が心から、笑って話せますように)
シュヤ
シュヤ
(きみの側にいられますように)

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