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冬眠前に蓄える「オメガ6」

よく似たふたつの脂肪酸、けれども私たちはふたつを一緒くたにしてはいけなかったのだと思う。

本書に書かれた多くの大切なことを割愛して結論を急げば、このふたつの摂取割合の変化が、80年代以降の肥満増加の原因ではないかと、現代病のリスクを上げ、食欲と体重調節システムを体重増加に向かわせるのは、オメガ6の比率が上がったせいであろうと言っているからだ!!

この説が正しいと思われる有力な事例を、本書から一部抜粋して紹介したい。

「食べ物から摂取できるオメガ3と6の量は季節ごとに大きく変化する。芽吹きの春、食事で増えるのはオメガ3だ。秋になると葉が落ち始め、種子やナッツ類が豊富になる。するとオメガ6が一気に増える。(中略)

動物の行動や生態は、冬が近づいてくると、それに備えて変化する。秋になると日差しも次第に弱まってくるので、環境内の食物エネルギーの量も減少してくる。寒い冬の環境下で生きていくには、より多くの熱エネルギーが必要だが、食物エネルギーの供給量は減ってくる。そんな状況に、動物は順応していかなければならない。(中略)

晩夏から秋にかけて、まだ食物エネルギーが入手可能な間に、ヒグマはお腹に餌を貯めこみ、『燃料タンク』を満杯にする。それは、体重のセットポイントが、冬を生き延びるために最適と算出した量だ。
また、冬になればヒグマは生き延びるためにさらに別の手段も講じる。冬眠することで体温を下げ、それに伴って代謝率も下げるのだ。(中略)

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環境シグナルに応じて行動を変えるもう一つの例はシマリスだ。秋が近づいてくると、手に入る餌が変わってくる(ベリー類は減り、ナッツ類が増える)。するとシマリスの細胞膜におけるオメガ脂肪酸の比率が変わり、それが食欲を刺激し、体重増加を告げるシグナルの一つとなる。」

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