FRaU
photo by iStock

健康のために摂るべき「脂肪酸」があった

増えたのは植物油だけでない。
「小麦とトウモロコシを大量に備蓄していたアメリカ農務省にとっては好都合だった」ようだが、実際に1980年から2000年にかけて、西洋の人々の小麦の消費量は、一人当たり年間45キロから54キロに増加した。
実は精製した小麦はインスリン値に大きな影響を与え、そのインスリン値は体重のセットポイント決定に重要な役割を担っていた

つまり1980年代に始まった肥満急伸直前に見られたのは、

・植物油の増加
・穀物の増加
・加工食品の増加

では、代わりに私たちの食事から何が失われたのか。

本書ではここで改めて、脂肪の役割について言及している。脂肪にはエネルギーの貯蔵以外の、重要な機能がたくさんあり、読めば、脂肪を排除すれば生きていけないことがよくわかる。
脂肪は忌むべき存在ではなく、選んで取り入れるものだったのだ。

-AD-

「選ぶ」と書いたのは、脂肪にはいくつかの種類があるからだ。
バター、ラード、チーズ、肉や魚の脂など、コレステロールを含み、1980年代に「心臓に危険を及ぼす」と食卓から排除された「飽和脂肪酸」、オリーブオイルのように室温では液体、冷蔵すると凝固する「一価不飽和脂肪酸」、室温でも冷蔵庫でも液体の「多価不飽和脂肪酸」。そして「多価不飽和脂肪酸」には「オメガ脂肪酸」と呼ばれる2つの特殊な脂肪酸がある。

イメージギャラリーで見る

ひとつは葉緑体を持つ緑色植物、それを食む草食動物、捕食する肉食動物による食物連載から摂取できるオメガ3
もうひとつは葉の代わりに種子を食す動物や、種子そのものに含まれるオメガ6
オメガ3と6は、他の脂肪酸とは違って、人間の体内で生成することはできないが、健康には不可欠なため、「必須脂肪酸」と呼ばれている。

SHARE

  • Facebook

  • X

  • URLコピー

HERALBONY Art Prize 2025が広げる未来