日本にはBMI35以上の調査記録がない
ところで、アンドリュー医師は、実は減量手術の名医である。
これまでに胃と腸の手術によって、多くの重篤な肥満患者を救ってきた。
昔からある胃バンドや胃内バルーン、顎間固定、腸を半分にするなどの方法とは異なり、アンドリュー医師が施すのは、「スリープ状胃切除術」と「胃バイパス術」。どちらも食欲増進ホルモンのグレリンや満腹感をコントロールするPYYホルモンの存在を考慮したものだ。
ただ胃を小さくしたり、食べにくくしたりするものではなく、食欲を司るホルモンをよく知る医師だからこそ、手術後の患者は「セットポイント」の上昇や猛烈な「食欲」に悩まされることなく、効果を上げている。
一方で医師は、これらの手術は本格的な肥満症やレプチン抵抗性が見られる場合や、Ⅱ型糖尿病患者には有効でも、過体重や初期の肥満には勧めないと断言する。特に日本は、アメリカで重篤な肥満症とされるBMI35以上の人がどれくらいいるかの調査すらしていない(*1)。これは、重篤な肥満患者がほとんどいないからと考えられる。
つまり日本に住む「太っていることに困っている」人のほとんどは、本書にある「ライフスタイルのリセットで、セットポイントは改善できる」、手術を受けることなしに理想の体重が目指せるといえるのではないだろうか。
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