強力なホルモンが私たちを「過食脳」に
「なぜ私たちは食べ過ぎてしまうのか」と聞かれたら、なんと答えるだろう。
食べ過ぎないようにすればいいことはわかっているし、コンビニに寄らなければ余計なスイーツやホットフードを買わずにすむこともわかっている。
なのに、やめられないのは、なぜなのか。
15年で2000人の肥満患者を治療してきた『食欲の攻略書 なぜ私たちは食べ過ぎてしまうのか』(ダイヤモンド社)の著者のアンドリュー・ジェンキンソン医師(Dr. Andrew Jenkinson)は、食欲に負けて食べてしまうのは、意志が弱いからでも、自制心がないからでもないという。
食欲が止められない、スイーツや揚げ物を食べたくなるのは、強力なホルモンが脳に働きかけて、私たちを「過食脳」にしているからなのだ。
名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科の現役外科医でコンサルタント。イギリスのホーマートン大学病院で、ロンドン一予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献し、現在はNHS(国民保健サービス)に従事、同時にロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者も兼任するアンドリュー医師が「肥満科学(メタボロジー)」と「減量の秘訣」を綴った本書は、米英Amazonで1400件の★5評価を得て、世界的ベストセラーとなった。
短期連載のこれまでの記事では、
・なぜ人は太るのか(同じように食べても、太らない人もいるのに)
・なぜダイエットすると、リバウンドしてしまうのか(しかも元の体重より増えやすい)
・どうしたら食欲を抑えられるのか(ダイエット中に食べ物のことばかり考えてしまう)
などについてお伝えしてきた。
これまでの記事はこちらから
記事その1「『”食べた分だけ脂肪がつく”は科学的に間違っています』肥満外科医が伝えるダイエットの新常識」を読む。
記事その2「『ダイエットに成功したはずが…』減量成功後に襲ってくるリバウンドよりも恐ろしいこと」を読む。
記事その3「『いくら食べても満足できない』ダイエット減量後にダイエット前よりリバウンドしてしまう理由」を読む。
だがそこでわかったのは、カロリー制限などのダイエットで脂肪を減らすと、食欲がいっそう増し、代謝率が落ちて、痩せにくい体になってしまうということ。しかも体はダイエット前の適切な体重の設定値(セットポイント)を上げ、ダイエットする前よりも太りやすくなるという事実だった。
だが、アンドリュー医師は、多くの肥満患者を治療してきた実績がある。悪夢のようなスパイラルから、どうやって救い出したのか。
連載最終話となる本記事では、どうしたら痩せられるのか、結局何を食べればいいのかにフォーカスしたい。
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