どこもかしこも、エーテリアスばかりだ……(涙目)   作:bbbーb・bーbb

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偽フカのところへ行こうと毒沼を走っている時にデータが消えました。
我らと共に哭いておくれ…


ドゥーン…(新エリー都)

 狩人は、困惑していた。

 

 あの狩人が、だ。エイリアンの臍の緒を貪り、巨大な脳みその前で突然1分間逆L字ポーズを決める、今や人間すら超越した狩人が、なんと困惑する側にまわっていた。

 

「どこだ、ここは」

 

 もっとも、それも当然の事であろう。目の前の景色が、突如として”切り替わった”のだ。禁域の森を走っていた彼が数秒前まで見ていた薄暗い毒沼は、今や見たこともない長方形の建物や、緑と黒に彩られた突起物などがでたらめに建ち並ぶ奇妙な場所に姿を変えていた。凄まじい勢いで増えていく啓蒙に頭を抱える。

 

 いつの間にかアメンドーズにでも掴まれたのだろうか、などと考えていた狩人だが、ふと、見知らぬものだらけの光景の中でも一際強い違和感を感じ、空を見上げた。

 青い。あちらで「青ざめた」と形容されるあの冒涜的な青ではない。それはどこまでも明るく、ヤーナムでは遂に拝むことのできなかった真っ白な本物の太陽が燦々と輝き、優雅に漂う雲を焼いていた。

 

「まさか。まさか、夜明けか。夜が、明けたのか」

 

 狩人は驚きと、切実な希望、そして何故か湧いて出た、ほんの少しの絶望を乗せて呟いた。ヤーナムから、あの地獄から解放されるのか。もう、血と臓物に塗れたあの狩りを全うする必要もないのか、と。つまらない、という言葉が一瞬脳裏をよぎったのは聞かなかった事にしておこう。

 

 その瞼は目玉を眼孔から飛び出させようとするかの如く見開かれ、宇宙色の瞳を震わせていた。

 数秒後に下げた視線に、ランタンに群がる小人達を映すまでの話だが。

 

 ランタンに手をかざし、指を鳴らした。ほぼ本能レベルの動きであった。

 

 ──────────────────────

 

「これでひとまずは死んでも大丈夫、か」

 

 つい先程自分がまだ繰り返される夢の中に居ると確信し肩を落としていた狩人は、しかしもうすっかりこの未知の宝庫を探索する気で満々であった。結局のところ、どう取り繕おうとも彼はやはり狩人。未知の探索と臓物(モツ)抜きと血晶マラソンが何より大好きなヤーナム野郎なのだ。

 

 血晶マラソンはやっぱり嫌いかもしれない。

 

 狩人は服装と武器を変えていた。エヴェリンと葬送の刃をしまい、古狩人衣装を脱ぐ。代わりに取り出したのは、マントを取り払った狩人装束に、獣狩りの散弾銃とノコギリ鉈。オーソドックスで強力、というやつだ。いくら死んでも蘇る不死の身体と言えども、死なないに越した事はない。故に、最も馴染んだ、扱いに手慣れた装備に変えたのだ。

 

 人っ子一人居ないのかと思っていたが、どうも生命の無い場所では無い様だ。ランタンから少し歩けばすぐに出会った。絶対に人では無いが。

 

 緑と黒の、パーツの欠けた人型が一つ。頭がある筈の場所には宇宙を思わせる真っ黒な球体が浮いており、元がどうあれ、それが既に人、ましてや獣ですら無い事をこれでもかと示していた。そもそも、導きの光(ターゲットマーカー)が見えたのだ。万が一仮に人だとしても、敵である事は間違いない。

 

 狩る。狩人の脳内は、その言葉で一杯であった。未知の場所での、未知の怪物との戦い。見た目からして強くは無いだろうが、油断は禁物だ。が、すっかり気分の高揚していた狩人は、何も考えずにノコギリ鉈を展開した。

 

「なあに、ノコ鉈があるんだ、どうとでもなろうさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 囲まれた。たすけて。

 

 一体だけだと思って殴りかかって見れば、怪物たちはオブジェや建物の陰からぞろぞろと現れ、あっという間に狩人を取り囲んだのだ。こうなってはかなり厳しい。いくら彼が明けない夜を何度も繰り返した上位者といえども、集団に囲まれて尚相手を圧倒できる程熟練した狩人では無い。装備どうこうでなんとかなる問題では無いのだ。

 

 

 

         YOU DIED

 

 

 

 化物共に距離を詰められ、走り抜けようと構えながらその言葉を脳内で呟いていると、突然、化物共が消えた。吹き飛んだ、と言う方が適切だろうか。振り返れば、人。まず二人と、一匹だろうか。ピンク髪のやけに露出の多い女と、銀髪のこれまたやけに露出の多い女は一目で人だと分かったが、問題は残りだ。どう見ても人の肌では無いメタリックなそれは、しかし鎧というにはあまりにも動きが滑らか過ぎる。

 

 だが、導きの光は見えない。それに安心して二人と一匹に一歩近づくと、同時に一歩分距離をとられた。狩人は困惑した。何故だ。見るに、何やらコソコソと話し合っている。

 

 

「襲われてたから咄嗟に助けたは良いものの、なんなのアイツ……いくらなんでも怪しすぎるでしょ、あの見た目!」

 

「右手に持ってるのは、ありゃ……武器なのか? あんなおっかないモン、一体どこで用意できるんだよ!」

 

「どうする、ニコ。戦うならそう言って。アレ、間違いなく普通の人間じゃない」

 

 

 ……何やら良くない事を言われている気がする。

 

 とりあえず、話せるのならば話して見るべきだ。仮に碌でもないやつだったとしても、そうと分かってから殺せば良いだけなのだから。できるだけフレンドリーに、彼は声をかけた。

 

「Pardon my intrusion, esteemed ladies and...gentleman? I extend my deepest gratitude for the gift of life you have bestowed upon me. I hesitate to trouble you, yet I find myself compelled to inquire: might you be aware of my current location? Regrettably, I am at a loss as to where I am and how I arrived here」

 

「「「……は?」」」

 

 どうやらコミュニケーション失敗のようである。

 彼はちゃんと人間らしい会話をしようとした。啓蒙99の頭を絞ってできるだけ丁寧な言葉遣いをしたのがその証拠である。だがどうやら、そもそも話す言語が違ったようだ。

 通常の人間なら無力感に打ちひしがれるところであろうが、彼はこれでも上位者、言語を操る等お茶の子さいさいなのだ。今度こそ大丈夫だろう。これでやっとまともに話ができる。 なんかみんな顔青くしてるけど。心做しか金属男も。

 

「貴公らのおかげで助かった。感謝する。これ以上迷惑をかけるのは心が痛むが、ここがどこなのか教えてはくれないだろうか? 気づけば、この場所にいたのだ」

 

「や、やっと理解できる言葉を喋ったわね……」

 

「ニコ、この人やっぱりおかしい。多分、関わるべきじゃない」

 

「おいおい、そりゃ流石に無いだろ、アンビー! 確かにいきなり良くわかんねえ言葉を喋るし、おっかないなんてもんじゃないモン持ってるけどよ、このままホロウに置き去りなんてあんまりだぜ! 親分、アンタもそう思うだろ!?」

 

「……」

 

「……んも~っ! 分かったわよ! ここを出てからでも、話はできるわ! 着いてきなさい! ただし、くれぐれも変な気は起こさない事ね!」

 

「了解した。重ね重ね、感謝する」

 

 どうやら今度は上手く話せた様だ。

 話を聞くに、ここに長く留まるのはあまり良い考えでは無さそうだと判断した狩人はニコとアンビー、特に後者に強く警戒されながらも着いて行った。

 

「まったく、一時はどうなる事かと思ったよ……」

 

 なんかいた。人語を解す二足歩行の兎だ。先程まで彼らの身体に隠れて見えなかったのだ。

 結構かわいいな、と、狩人は珍しく心を癒されていた。




狩人ちゅのスペック(うろ覚え)
体力:73
持久力:42
筋力:99
技術:99
血質:68
神秘:50
カレル:爪痕×3

次周回で千景使おうとしてたら消えました(憤死)
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