ARMORED CORE:Re.life in Kivotos 作:トリミングチキン
まあた新しい一日が始まる。
目が覚め昨日渡された風紀委員の制服に着替える。
「おおぴったりだ。体のサイズは教えていないはずだが」
今日はこれからヒナについて回って仕事を手伝うらしい。
これは勘だが今日の仕事ぶりでこれからが大きく変わる気がする。
カードで
連射もできないわけではない。
昨日出したコキュレットとハリスを持ってヒナの執務室に向かう。
3回ノックして部屋に入る。
「あら、早かったわね」
相変わらず山のような書類の相手をしている。
「これからお昼まで巡回よ。ゲヘナはとにかく治安が悪いから戦闘がない日はないから」
「しっかりついてきてね」
ヒナとゲヘナの町中を歩いて少しすると近くに煙が見えた。
「ヒナ!」
「わかってる。いくよ」
ヒナと共に煙が出ていた地点に向かう。
岩を削るような音とともに笑い声が聞こえた。
「さあみんな温泉開発の時間だよ!掘って掘って掘りまくろー」
『『『おぉー!』』』
赤髪の少女が先導して大勢が地面を掘っていた。
オンセン?とは何だろうか。
赤髪の少女の目線がこちらに向き無線で通話している。
「カスミ部長。ヒナ委員長が来たよ」
「どうやらカスミは別の個所で温泉を掘ってるようね」
「それであいつらはどうする」
「当然。このまま全員拘束する」
ヒナが前に突っ込み弾丸をぶちまける。久方ぶりの協働だ。
ヒナが撃ち漏らした奴らの脳天を一人ずつ打ち抜く。
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数分のうちに百人弱が倒れていた。赤髪の少女も今にも倒れそうだ。
やはりヒナはキヴォトスでも最上位なのだろう。
赤髪の少女を投げ捨ててヒナがこちらに来る。
「応援を呼んだ。彼女たちはこれからすぐに拘束されるから問題ない」
「どうやらほかにも3か所で暴れているようね。」
「一か所はイオリに任せるけど。一か所担当できる?」
最初からそうだがヒナは俺を子供扱いをしている。
このまま舐められっぱなしは性に合わん。ウォルターも俺が舐められていると怒っていた。
「やって見せよう」
「そう。ここから北西の公園でも騒ぎが起こってるから急いでね」
「了解」
返事をするや否や北西に駆け出した。ヒナはほんのり笑顔だった気がする。
五分ほど走ると破砕音がした。すぐに公園も見えた。
すると無線がつながった。どうやら制服の襟についていたらしい。
『行政官の天雨アコです。烏羽さん、その先に100人ほどの温泉開発部がいます。5分後に応援部隊が来ます。それまで時間を稼いでください。』
ブツッ。無線は切れた。
こちらから連絡はできないようだ。普通だったら無理がある要請なのだろう。
普通だったらな。
大人のカードで大型ショットガン
物陰に隠れながらハリスで指揮をしている奴の頭を打ち抜く。
「指揮官が垂れた」
「もう風紀委員が来たのか」
「いたぞあいつが狙撃したんだ」
もう場所がばれた。素人ではないらしい。
向かってくる奴らの脳天を打ち抜く。
「クッ。なんだこいつ、風紀委員にこんなのがいたのか
仲間が倒れてひるんでいるようだ。
ここからはジマーマンの射程だ。
奴らの懐に滑り込み首根っこをつかみそのまま地面にたたきつける。
こいつら程度なら一撃で倒せるだろう。
倒れたやつを盾にして銃撃を防ぎそのまま奴らに投げつける。
胸ポケットに煙幕を生成し大量に投げつける。
周囲は煙で包まれている。俺は手術で煙幕はでもある程度は見えるが奴らはそうはいかない。
煙幕に紛れ音でばれないように一人ずつストックで殴りつける。
五分後その場に立っているのは俺だけだった。
応援に来た部隊に後を任せ。ヒナのほうに走った。
到着するともう戦闘は終了していた。俺が相手した数の倍はいた。
「あら、ずいぶん早く終わったのね。どうだった?」
膝をついて大泣きしている茶髪の少女を押さえつけながら話しかけてきた。
彼女がこの件の首謀者だろうか。
「ヒナ。ゲヘナはこれが日常なのか」
「そこまで多くはないけど一週間に一度はあるわね」
そう言ったヒナは巡回に戻り俺もついて行った。
その後もスケバンやヘルメット団?なるやつらを片っ端から拘束した
目の前で大規模なヘルメット団2組が抗争を起こしていた。
「ん?ヘルメットをかぶってないやつがいるな。ヒナヘルメット団ってヘルメットかぶらなくてもいいのか」
「たぶんあれは傭兵ね。お金で人を雇ってるの。大きい組織だと緊急の戦力として雇うことも多いわよ」
あんな雑兵でも仕事があるのか。俺も独立傭兵でやっていけるのかもしれないな。
...俺が独立傭兵をまた始めたらウォルターはどう思うだろうか。
だが今はこの仕事を全うすることが最優先だ。
10時間後
日も落ち暗くなってきた。
働きづめだったからか。きつかった。
「もう暗くなってきたわね。あとはほかの子に任せましょう」
「私は執務室に戻るから戻ってていいわよ。お疲れ様」
「あとこれ」
ヒナがスマホを差し出した。キヴォトスはモモトークというアプリで連絡をとるらしい。
スマホにダウンロードしてモモトークを交換した。
ヒナはまだ仕事があるようだ。
これを風紀委員は毎日やっているのかここでやっていけるのか不安になってきた。
寮まで歩いているはずが全く知らない道に来てしまった。
迷子になってしまった。とりあえず近くの人に道を聞こう。
さまよっていると食堂が目についた。ちょうど腹もすいている飯にしよう。
強化人間はエネルギー効率がいいとはいえ、ここに来てからろくに食べれていない。
「誰かいないか?」
厨房からエプロン姿の少女が歩いてきた。
「あなた初めて見る顔ね。転入生?」
「そうだけど。何か食べれない」
「ごめんね。ゲヘナは基本給食だから食べ物がもうなくて」
風紀委員の活動中にそんなもの食べた記憶はないがそういうものなのだろうか。
「あなたその制服風紀委員でしょ。風紀委員は配給があるはずだけど」
「そうなのか。すまなかったもう帰ることにする」
「あっちょっと。少し待ってくれたら何か作るけど食べていかない」
「お願いできるか」
「うん。あり合わせで適当に作っちゃうから。私は給食部部長の愛清フウカ。よろしくね」
「ああ、よろしく」
「そこの椅子に座って待ってて。アレルギーはある?」
「特にない」
ゲヘナは給食制なのか、なぜヒナは教えてくれなかったのか。
それにしてもゲヘナは生徒数が多いと聞いていたがこの食堂だけで回せるものなのだろうか。
席に座り銃の整備をして待つ。
「ジュリ!何かあり合わせを作るからその人の近くに座ってて」
「はいフウカ先輩」
厨房から出てきたピンク髪の少女が対面の席に座った。
どうやら彼女達も一緒に食べるつもりらしい。
「初めまして、給食部の牛牧ジュリです。これからよろしくお願いしますね」
「はじめまして。風紀委員の烏羽シオンだ。こちらこそよろしく」
これからは俺もここで給食を食べるのだろう。仲良くなって損はないと思う。
握手をしようと手を差し出す。
ジュリも笑顔で握り返してきた。
そんなこんなで7分ほど待っていると、フウカがワゴンに3食分入れて持ってくる。
皿を配りながら話しかけてきた。
「二人ともお待たせ、簡単なものでごめんね」
味噌汁と白米、それに野菜炒めが配膳された。
「「「いただきます」」」
「う、うまい」
あり合わせとは思えないほどの味だ。
これだけで味覚を復活させて良かったと思えるほどだ。
フウカが嬉しそうな顔を浮かべた。
これが彼女の生きがいなのだろうか。
「やっぱりフウカ先輩の料理はおいしいですよね!」
机をたたきながら立ち上がった。ずいぶんと興奮しているようだ。
「こらジュリ。行儀悪いわよ」
ジュリが申し訳なさそうな顔をしながらそっと座る。
「なぜそんなことを聞くんだ?」
「実は。給食部は年中人手不足で私の実力不足もあって。フウカ先輩の負担が大きくなってしまっているんです」
「そのせいで4000人分の給食を作るときどうしても妥協する必要があって。そのせいで給食の味が悪いと文句を言われてしまっていて」
「ちょっとジュリ」
やはりこの人数で全員分の給食は無理があるようだ。頑張っているだろうに文句を言われるとは。
不憫に思ってしまう。
「フウカ先輩。おいしかった。ご馳走様」
「あ、うん。お粗末様でした」
二人に礼を言い寮に戻った。ヒナに給食部の体制について申し出を出してみようと思う。
フウカ先輩はいい人だった。つい先輩と呼んでしまった。
風呂に入ってから布団にもぐりこんだ。
働く喜びとはこういった幸せのことなのだろう。
ルビコンでは感じれなかった感動だ。
給食部のくだりが書いてて一番楽しかったです。
もしかしたら私はフウカのことが好きなのかもしれない。