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「私はもう必要ない?」59歳女性総合職が職場で覚えた孤独感

井寄奈美・特定社会保険労務士
=Getty Images
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 A子さん(59)は従業員500人ほどの食品メーカーで営業の仕事をしています。新卒で同社の女性総合職1期生として入社し、勤続38年目に入りました。秋に定年を迎え、その後は再雇用で65歳まで働く予定ですが、最近、職場で孤独感を覚えることがあります。

 A子さんは昨年の人事異動で課長職を外れて営業の現場に戻り、下の年代の社員と一緒に仕事をしています。久しぶりに現場に戻ると、わからないことも多く、彼らに教えを請いながら業務をしています。A子さんは年齢やキャリアの差を気にしていませんが、最近、周りに気を使われていると感じるようになりました。

 たとえば、部署でイベントの手伝いなどが必要な時、以前であればA子さんは必ずサポートの役割を与えられていました。入社時から営業部では女性社員が少なかったこともあり、買い出し、会場の予約、参加者の出欠確認など、いわば便利屋扱いでした。管理職として部下を持つ立場になっても、その役割が変わることはありませんでした。

 ところが最近、そうしたイベントの企画が上がっても、A子さんに役割は回ってきません。こちらから「何か手伝うことありますか?」と伝えても、「いえいえ、参加してもらえるだけで大丈夫です」と言われます。

ふと職場を見渡すと

 A子さんがふと職場を見渡すと、これまでA子さんを便利屋扱いにして、いろいろな手伝いや雑用を依頼してきた先輩社員や同期の社員は、もう職場にいません。定年後再雇用の期間を終えて退職したり、役職定年を機に出向になったりしています。

 A子さんは彼らの異動や退職のたびに送別会に参加してきました。会社から1人ずついなくなっていることは認識していましたが、ふと気がつくと、周りは若いメンバーばかりで、自分だけ取り残されたような気持ちになりました。

 日ごろの業務に問題はなく、職場の人間関係にも不満はありません。周囲から叱られることも、無理を言われることもありません。しかし…

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特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/