「全裸で土下座」いじめ認定 熊本・大津高サッカー部 強豪校「いじめリスク高い集団」 指導者の認識、相談体制不十分 第三者委が報告書
強豪の大津高サッカー部で2022年1月、部員だった当時1年生の男性が上級生に全裸で土下座を強要されるなどした問題で、熊本県教育委員会が設置した第三者委員会は31日、「いじめに該当する」とする調査報告書を同校や男性側に提出した。サッカー部や同校について、強豪校で活躍できず悩みを抱えた生徒が多数存在する「いじめが発生するリスクが高い集団」と指摘。指導者がいじめに対して認識不足で、相談体制も不十分だったとした。
報告書によると、いじめは全国高校サッカー選手権に出場した同校の応援のため滞在した東京都の宿泊先で起きた。男性は上級生から「あだ名を付けた」などと疑われ、否定したが、複数の生徒の前で土下座や全裸になることを求められた。第三者委は、男性が直後に泣いていることや、通常同意するはずのない行為であることなどから、いじめに当たると結論づけた。
報告書は、学校側の対応について「いじめに対する部員への教育・指導が不十分。指導者も知識や対応技能を習得する機会が十分でなかった」と指摘。部内では容姿に由来するあだ名を付けたり、一発芸を求めたりする「いじり」が日常的にあったが、指導者が問題視した様子はうかがわれず、いじめの相談体制も不十分だったとした。
200人近い部員がいる中、活躍する夢をかなえられず、「いじめなどに走る生徒が現れることも容易に予想できる」とした。再発防止策として指導者への研修やいじめを早期に把握する体制構築などを求めた。
記者会見した第三者委委員長の原村憲司弁護士は「大津高サッカー部はいじめのリスクが高い集団と言える。部や高校の特色を認識し、対策を講じてほしい」と述べた。浦本清隆校長は「当該生徒と家族に心よりおわびする。いじめのない学校づくりを進める」と話した。県教委の越猪浩樹教育長は「いじめ問題に学校が適切に対処できるよう指導の徹底を図り、未然防止と早期解消に取り組む」とコメントを出した。
第三者委は弁護士と社会福祉士、公認心理師の4人で構成。24年3~11月、教職員や生徒ら計20人に聞き取り調査した。大津高サッカー部はJリーガーや日本代表を多数輩出している。(上野史央里、後藤幸樹)
民事・刑事で裁判続く 上級生側、無罪主張
大津高サッカー部のいじめ問題を巡っては、上級生2人から全裸で土下座するよう強要されて精神的損害を被ったなどとして、当時1年生だった男性が昨年10月、2人に計440万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴。2人は昨年8月、強要罪で熊本地検に起訴され、民事・刑事ともに裁判が続いている。
刑事裁判で2人は、昨年11月の初公判から一貫して無罪を主張。今月22日にあった被告人質問では、「じゃれ合いの一環でパンツの脱がせ合いをして全裸になった。土下座はさせていない」と述べた。(丁将広)
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