うちの妹は 作:k.a
どうも、永宮來だ。キヴォトスにきてからなんやかんやで3日が経った。
俺はあのあと真面目モードが切れた唯阿にすがられて暫くの間シャーレの勤務室と同じ階にある部屋に住ませてもらうことになった。唯阿が何かと勝手に入ってくるのを除けば──いや、別に嫌なわけじゃないんだが──かなり過ごしやすい。関係ないはずにも関わらずその日のうちに色々手配を済ませてくれた、リンちゃんこと七神リン会長代行には全く頭が上がらない。
今は朝だ。俺は朝に強いわけではないので、毎朝必ずコーヒーで体を起こしている。ケトルはこの部屋にはないから、そういうときは勤務室にあるのを借りることにした。
勤務室に入ると、徹夜していたのだろうか、ぐっすりと寝ている唯阿と...
「おはようございます、ライさん。」
噂をすればなんとやら、というものか、会長代行その人の姿があった。
「あぁ、おはよう、ございますリンちゃ...七神さん」
「いまリンちゃんって言いました?」
「いってないです」
そんな会話をしながらコーヒーを淹れる準備をする。
「もしかして、挽いてるんですか?」
「そ、よく飲むからこだわりたいなと。...いるか?七神さんも。敬語外したけどまぁイッカ」
「多分そんな敬語の崩し方するのあなただけですよ。...ほしいです」
お湯を沸かしながら、豆を挽き、フィルターをセットしておく、っと。
「...質問、いいでしょうか?」
と、リンちゃん*1から予想外の言葉が飛んでくる。
「俺にか?いいけど...」
「ライさんは昨日も今日も一昨日も、襲われるかもしれない中で過ごしているんですよね?」
「ま、仕事だからな。はい、コーヒーどうぞ。」
リンちゃんはありがとうございますと言ってコーヒーを受取り、続きを話す。
「それです。先生もですけれど、銃弾一発が致命傷になるのに、どうしてそういうところへいけるんですか?怖くはないんですか?...あっ、美味しい...」
あぁ、と、僕は自然に苦笑いをすると、答える。
「俺はともかく唯...先生はちょっとは怖がってると思うぞ?」
「そうなんですか?」
「あの子なんならトラウマがあるんだ。今は忘れてるみたいだけれども。俺は普通に大丈夫だ。」
「そうだったんですか...」
リンちゃんの表情が曇る。俺は慌ててフォローする。
「直接銃を向けられない限りは大丈夫だと思うぞ。...ごめん、出てくるから先生に言っといてくれないか?」
「...わ、かりました。大丈夫ですか?」
「いっただろ、大丈夫だよ。
今日はブラックマーケットに来てみた。と、入って五分もしないうちに不良に絡まれた。
「オニーサン、キヴォトスのヤツじゃねーよな?金出せよ、ほら。」
といってカバンを漁られる。妹の顔に免じてゆるしてや...ゆる...うーん、やっぱ懲らしめよ。
「...ほら、こんだけやるから。帰れよ。」
といって紙幣を何枚かだけやると、やはり殴ろうとしてくる。相手は二人だったのでそのパンチがもう一人に当たるように拳を弾く。
「いった!!!」
「やぁりやがったなてめぇ!!!」
...思ったより成功したので路地に避難。落ち着く...いや?
「...なんか、
路地の奥のほうが少しずつ黒い煙のようなものに覆われていく。
更に黒く。黒く。黒く。黒く。
漆黒とも言えるような色になったとき、一つの人影が現れる。
「...誰だ?」
「名はない。が、あえて名乗るならばチャールズだ。来てもらおうか、先生の兄よ。」
それの顔はおぞましかった。目や鼻や耳のない顔が溶けた、といえばわかりやすいだろうか、その顔に唯一口だけが残っている、というような有り様だ。
「俺のことを知っているのは嬉しいが、それは無理な相談だな...」
「そうか。」
そういうとそれは煙を細く伸ばしてこちらに迫ってきた。
俺は狭い路地の中でなんとかそれを避けた...が、次も避けれるような気がしない。もう諦めてあれを使うか。
「さあ!!来てもらおう───」
「3譌・豸郁イサ──」
俺はポケットのカードを取り出し...その言葉を唱える。
「!?」
「爆破しろ。」
その瞬間、俺とそれとの間に亀裂が走り、そこが爆発する。
それを煙幕代わりにし、俺はなんとか難を逃れた。
しかし、あいつは...さっぱり何なのかがわからない。
少し背筋が寒くなった。