うちの妹は 作:k.a
十 分 後
「ええと、ごめん、ユウカ...」
せ、生徒に見られた...ほんっとに恥ずかしいし、良くない...
「いや、頭下げなくて大丈夫ですから!別に悪いわけじゃありませんし...」
慌てて私の頭をあげさせようとするユウカ。ちなみに來はその隣で気まずそうな顔をして立っている。自分も当事者なんだからさ、少しずつ下がって逃げようとしないでよ。何さそのスーツは。...いやほんとに何でスーツなの?しかもそれ私のとおんなじ会社のやつじゃん、ペア的なあれですか?そうだよね??
「...せんせ?先生〜?」
あ、危ない。気まずいせいで違うこと考えてた。ほんとごめんねユウカ...
「う、うん。そういえば、ユウカはなんで戻ってきたの?」
と、話を逸らしてみる。
「あ、そうでした。先生に渡し忘れてた書類があったんです。...それはそれとして、先生のお兄さん、もしかして方向音痴、ですか?案内したのはいいんですけど、行こうとする道全部間違えてて...」
「ユウカちゃん、それは言わないでくれないか!?」
「あ〜...」
なぁるほど、だからユウカに心配そうな目で見られてたのか。來、逆にここまでこれたのが不思議でしょうがない。まぁ恥ずかしそうだし言わないであげよ。
そんなことを私が考えている間にユウカは書類を出してくれていた。こころなしか真面目な顔をしている。
「うわ、すごい。ちゃんとした書類だ...そういえば今日は当番じゃないのに来てくれて不思議だったんだけど、これ持ってきてくれたんだ。すぐ渡してくれたら良かったのに。」
「そっ、それは...来てすぐに先生が膝枕頼んできたからじゃないですか!変な人だと思われますよ!?...私だから良かったですけど...」
しまった、反論ができない。私は素直に読むことにした。ええと...
「カイザーコーポレーションが...民間軍事会社を買収?これがどうしたの?」
カイザーコーポレーションというととても大きい会社だ、買収とかもよくある話じゃ?
「それだけなら別にいいんですけど、その数が問題で...150社ですよ?」
150社!?そもそもそんなに軍事会社があるのかと思うけれど、それは流石に多すぎる。何かあるような気がする。
「うーん、不思議だけれど...言いに来るってことは、もしかして」
「よくわかりましたね...ここに書いてあるんですけど───」
「勧誘にかけられた生徒が行方不明に、か。」
うわびっくりした、來か...さっきまでとは打って変わって真剣に資料を睨んでいる。
「...はい、先月、それもミレニアムだけでも5人が。私に知れる範囲だとどうやら他の学園でも同じくらいの生徒の行方がわからなくなってるんです。」
「それは...偶然とかでもない、か。事件だね、そうなると。」
ユウカは心配そうな顔である。もちろん私もそうなると巫山戯てはいられない。...でも、ひとつだけ気になることがある。
「...兄さん、なんでこれに興味が?」
「そういや、
「えっ、先生って唯阿っていうんですか?」
そういえば私も思い出した。兄さんは話を脱線させるのが凄く上手だった。
「う、うん。永宮唯阿。兄さん、恥ずかしいから名前呼びやめて...」
「ごめん唯阿。ああそうだ、なんで興味があるか、だっけ?」
兄さんはそう言うとスマホを取り出し、ある画像を私に見せた。
「俺がキヴォトスに来た理由は唯阿に会うのと、もう一つあるんだ。───外でも同じように行方不明者が出ている。」
画像を見てみるとそれは行方不明者リストで、なるほど、キヴォトスに近い地域に多い。
「どうやらキヴォトスに近づいた人間がかったぱしからいなくなっているらしい。...そうだ、唯阿も気をつけたほうがいいんじゃないかな。何に、かはわからないけれど。」
私はそれを聞いて身を固くする。自分の身を守るのはもちろんだけれど...
「───兄さんは?大丈夫なの?」
と、勿論「大丈夫」と言われると思ってそう質問をする。
「いや?」
「え?」
だが、そうは帰ってこなかった。
「間違いなく襲われるさ。そのために来たんだから。」
キヴォトスの近くの街に、人が倒れている。彼は近づいてくる
「あ、あんたは誰なんだ!私はあんたに何も───」
「そのとおり。何もしていない。それは関係ない。」
近づいてくる何かは名乗る。
「名前はないが、あえて名乗るなら...」
「そうだな、チャールズとでも呼んでくれ。」
そういうと男と何かは消えた。
静寂を残して。