政治

2025.10.28 08:00

「ビリオネアは存在すべきでない」と主張のNY市長選候補、マムダニ阻止に巨額を投じる富豪26人

ゾーラン・マムダニ(Photo by Stephani Spindel/VIEWpress)

1500万円以上を寄付した、主なビリオネア一覧

1.マイケル・ブルームバーグ:830万ドル(約13億円)

マイケル・ブルームバーグ(Photo by Patrick van Katwijk/Getty Images)
マイケル・ブルームバーグ(Photo by Patrick van Katwijk/Getty Images)

支援団体:フィックス・ザ・シティ
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:1100億ドル(約16.7兆円)、ブルームバーグLP)

長年の民主党員だったブルームバーグは、2001年に共和党にくら替えして、同年秋のNY市長選で勝利し、3期にわたって同市長を務めていた。彼は、2020年の大統領選では民主党候補として出馬し、自身の選挙運動に史上最多の11億ドル(約1672億円)近くを費やしていた。

2.ジョセフ・ゲビア:300万ドル(約4億6000万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ、ディフェンドNYC、プットNYCファースト
居住地:テキサス州オースティン
純資産と資産源:79億ドル(約1.2兆円)、エアビーアンドビー

トランプ政権で「チーフ・デザイン・オフィサー」を務めるゲビアは、Xでクオモ支持を表明し、スリワに撤退を求め、マムダニを「テロリスト」と呼ぶ他ユーザーの投稿をリポストした。

3.ローダー一族:260万ドル(約4億円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ、センシブル・シティ
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:259億ドル(約3.9兆円)、エスティローダー

創業者エスティ・ローダーの孫であるウィリアムとゲイリーは、反マムダニ派「フィックス・ザ・シティ」にそれぞれ100万ドル(約1億5000万円)と2万5000ドル(約380万円)を寄付した。その息子のロナルド・ローダーは75万ドル(約1億1000万円)を、妻のジョ・キャロルは25万ドル(約3800万円)を拠出している。ロナルドの孫ジャック・ツィンターホーファーは合計50万ドル(約7600万円)の小切手を切り、別の団体「センシブル・シティ」にも5万ドル(約760万円)を寄付している。

4.ビル・アックマン:175万ドル(約2億7000万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ、ディフェンドNYC
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:92億ドル(約1.4兆円)、ヘッジファンド

アックマンは数カ月にわたり、Xでクオモを支持し反マムダニの動きを主導してきた。最近ではスリワに撤退を求め、「スリワが出馬を取りやめたら、タイムズスクエアに彼の金の像を建てる」とCNBCの番組で発言した。

5.ティッシュ家:120万ドル(約1億8000万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:101億ドル(約1.5兆円)、ロウズ・コーポレーション、ニューヨーク・ジャイアンツ

兄弟のボブとラリー・ティッシュは2000年代初頭に他界したが、その子孫たちは現在も企業経営や地元政治に関わっている。ボブの息子ジョナサン・ティッシュと妻エリザベスは、6月に寄付した20万ドル(約3000万円)を含む計25万ドル(約3800万円)をフィックス・ザ・シティに拠出。ジョナサンの妹ローリーは15万ドル(約2300万円)を送っている。ラリーの息子アンドリュー・ティッシュと妻アンもそれぞれ5万ドル(約760万円)を寄付し、アンドリューの義姉アリスは10月16日に50万ドル(約760万円)を寄付した。ラリーの孫娘アビゲイルとモードも、10月20日にそれぞれ10万ドル(約1500万円)を拠出している。一方、ラリーのもう1人の孫娘でニューヨーク市警察の本部長を務めるジェシカ・ティッシュについてマムダニは、自身が当選した場合も続投させる意向を示していると報じられている。

6.ジョン・ヘスとその一族:100万ドル(約1億5000万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:24億ドル(約3648億円)、石油・ガス事業

7.ダニエル・ローブ:77万5000ドル(約1億2000万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ、ニューヨーカーズ・フォー・ア・ベター・フューチャー・メイヤー25、ディフェンドNYC
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:38億ドル(約3648億円)、ヘッジファンド

8.バリー・ディラー:50万ドル(約7600万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:51億ドル(約7752億円)、オンラインメディア

ディラーは4月に25万ドル(約3800万円)を寄付したほか、最近になって同団体に追加で25万ドル(約3800万円)の小切手を切ったことを代理人が明らかにしている。この追加分は、まだ公開資料には反映されていない。

8. スティーブ・ウィン:50万ドル(約7600万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ
居住地:フロリダ州パームビーチ
純資産と資産源:39億ドル(約5928億円)、カジノ・ホテル事業

10.マルセラ・グアリーノ・ハイモウィッツ(富豪グレッグ・ハイモウィッツの妻):40万ドル(約6100万円)

支援団体:フィックス・ザ・シティ、プットNYCファースト
居住地:ニューヨーク
純資産と資産源:20億ドル(約3040億円)、資産運用業

自身の寄付について問われた際、ハイモウィッツはクオモとの長年の関係を強調した。「私が銃暴力に反対する抗議活動を企画した際に、アンドリューは参加してくれた。彼は、同性婚を望んでいた私の友人たちを支援してくれた。そしてユダヤ人が毎日のように反ユダヤ主義に直面するニューヨークで、アンドリューは私たちの味方であり続けている。だから私はこれからも、そしていつまでも、彼を支援し続ける」

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翻訳=上田裕資

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北米

2025.07.02 09:00

「億万長者はいらない」次期NY市長候補の「民主社会主義者」にビリオネアが反発

ゾーラン・マムダニ(Michael M. Santiago/Getty Images)

ゾーラン・マムダニ(Michael M. Santiago/Getty Images)

11月のニューヨーク市長選挙に向けた民主党の候補者選びで指名を確実にしたゾーラン・マムダニ(33)が、NBCニュースのインタビューで「私は、ビリオネアが存在すべきだとは思わない」と語ったことを受け、複数のビリオネアや政治家が、SNS上で彼を批判した。

クラフト・ベンチャーズの共同創業者デービット・サックスは、6月30日のX(旧ツイッター)の投稿で、「君たちには基本的に2つの選択肢がある。MAGA(Make America Great Again)に賛同するか、マムダニがやることの犠牲者になる覚悟をするかだ」と警告した。

マムダニは、年間収入が100万ドル(約1億4300万円)を超える上位1%の富裕層のニューヨーカーらに対して、一律2%の増税を提案している。彼は、29日のNBCのインタビューでニューヨークの固定資産税制度は不公平であり、このように格差が深刻な都市にビリオネアがいるべきではないと述べていた。

トランプ大統領の暗号資産担当官でもあるサックスは、マムダニのインタビュー映像をXでシェアした上で、「共産主義がリベラリズムを打ち負かした」と述べて、シリコンバレーがトランプ政権と歩調を合わせるべきだと警告した。

一方、著名なヘッジファンド運用者のビル・アックマンは30日、マムダニが「米国はより多くの社会主義者を当選させるべきだ」と語る映像を再投稿し、「マムダニが自らを社会主義者と名乗っているのは、冗談でも単なる理想でもない」と述べた。また、「今のところ彼は勝っている」とも指摘した。

ユタ州選出の共和党のマイク・リー上院議員も、同じ映像を背景にソ連の国旗が映るように加工してリポストし、「彼は、少なくとも自分の立場を明らかにしている」と揶揄した。

マムダニはこれまでビリオネアについて何を語ってきたか?

24日の民主党予備選で勝利したマムダニは、キャンペーンを通じてニューヨークの物価高を非難し、家賃の値上げの凍結やバスの無料化、公営の食料品店の開設、無料の育児支援などを訴えてきた。また、26日のCNNのインタビューで彼は、富裕層への増税を主張し、「資本主義には多くの問題がある」と語った。

アックマンは、ニューヨーク州選出の下院議員マイク・ロイヤーがマムダニを批判した投稿をXでシェアし、「ニューヨーク市は大変なことになる」とコメントした。さらに別の投稿でアックマンは、マムダニが主張する「貧困層へのサービスの提供」という目標の達成が、「ニューヨーク市がビジネスに優しい環境であることに全面的に依存している」と指摘した。

一方、マムダニは以前、アックマンがクオモ前ニューヨーク州知事のスーパーPACに50万ドル(約7150万円)を献金したことを非難していたが、自身がもし新たな市長に就任すれば、政府の資金をすべてのニューヨーカーの暮らしの改善のために使うつもりで、そこにはビリオネアも含まれていると語った。

トランプは、民主党予備選でマムダニが勝利した翌日のSNSの投稿で、「民主党は一線を越えた」と述べて、マムダニを「完全なる共産主義の狂人」と呼んだ。さらに「見た目がとても酷く、あまり賢くもない」と罵倒した。

CNNのインタビューで、民主社会主義をどう定義するかを問われたマムダニは、マーティン・ルーサー・キングの言葉を引用し、「この国のすべての神の子どもたちに、より良く富が分配されなければならない」と語っていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2025.07.30 12:00

大富豪の過半数が富裕税に賛成、不平等巡る暴力を恐れる声も

米ニューヨークの郵便局前で行われた億万長者への課税を求める運動。2025年4月15日撮影(Mostafa Bassim/Anadolu via Getty Images)

米ニューヨークの郵便局前で行われた億万長者への課税を求める運動。2025年4月15日撮影(Mostafa Bassim/Anadolu via Getty Images)

20カ国・地域(G20)諸国の大富豪の過半数が、富に対する2%の課税を支持している。英国の富裕層からなる団体「パトリオティック・ミリオネアズUK」が、2000人以上の億万長者を対象に実施した調査から明らかになった。

1000万ドル(約14億8000万円)以上の資産を持つ層は富裕税を支払うべきかとの問いに対し、調査対象者の58%が賛成と答えた。世帯資産が5000万ドル(約74億円)以上と1億ドル(約148億円)以上の層では、それぞれ66%と69%が富裕税を支払うべきだと答えた。一方、100万ドル(約1億4800万円)以上の投資可能資産を持つ回答者に対象を広げると、富裕税を支持しない割合が増えた。5000万ドル以上の資産を持つ人に関しては、ほぼ3分の1が富裕税に「反対」または「分からない」と答えたのに対し、資産1000万ドル以上では、この数字は4割に上った。

パトリオティック・ミリオネアズUKは、英国の億万長者70人以上からなる団体で、富裕層への課税強化と富の公平な分配を提唱している。同じ名称の最初の団体は2010年に米国で設立され、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に減税措置の失効を求めてロビー活動を行ったが、この措置はバラク・オバマ次期政権の下で延長された。

スイス東部ダボスで2024年に開催された世界経済フォーラムでは、250人の大富豪が世界の首脳に対し、超富裕層の富に課税するよう呼びかけたが、変化は起きていない。英国に拠点を置く国際支援団体オックスファムの2023年の報告書によると、世界の億万長者の半数は相続税のない国に居住しており、全世界で徴収された税金のうち、富裕税によるものはわずか4%に過ぎなかった。

経済体制の転換を目指す国際団体アース・フォー・オールと米環境保護団体グローバル・コモンズ・アライアンス(GCA)が仏調査会社イプソスと共同で行った調査によると、G20諸国の国民の68~70%が富裕税や高所得税、大企業の利益への課税を支持していた。他の多くの世論調査でも同様の結果が示されている。

パトリオティック・ミリオネアズUKの報告書は、富裕税は資本逃避を招き、結果として経済の衰退を招くという主張を否定している。その上で、多くの富裕層は居住地を変えるつもりはなく、むしろ民主主義を強化し、気候変動のような地球規模の問題と闘い、特に富の不平等な分配を巡る暴力の発生を防ぐことになると考えられる変化を歓迎していると強調した。

極端な富は民主主義に対する脅威

今回の調査対象となった富裕層の4分の3は、十分な資金が確保された公共サービスと機能的な社会基盤が、起業家と強力な経済にとって不可欠だと考えていた。回答者の54%が「極端な富は民主主義に対する脅威」だと答え、72%は「富裕層が政治的影響力を得るために金銭を支払っている」ことを認めた。

世界不平等データベース(WID)が公開した最新のデータによると、2023年には米国の富裕層の上位10%が国の富の70%以上を保有していた。この割合を上回るのはアフリカ、南米、中東の数カ国のみだった。英国ではこの割合は57%で、欧州連合(EU)の59%と同程度だった。これより低い割合の国はほとんどなく、EU圏外の欧州で最も平等に富の分配が行われているのは、ノルウェーの52.6%とアイスランドの56.7%だった。EU諸国の中で富の独占の割合が最も低かったのは、オランダの45.4%とスロバキアの49.4%だった。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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