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「左翼が調子こいてた時代」の終わり SDGs、グレタ、MeToo、多様性、LGBTQ・・みんな終わっていく

(ヘッダー画像は1月16日の「Atlantic」誌より)


「多様性」は「バカの代名詞」になった


まあ、今さら、ではあるけれども。

2025年、アメリカがトランプ政権になり、世界が変わりました。

同時に、一つの時代が終わりました。

過ぎ去ったその時代を、何と呼ぶべきか。

アマチュア歴史家としては、それを確定しておきたい。


最近、アメリカでよく目にするのが「DEI era」という言葉です。

DEIとは、ご存知「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)」。

まあ、「DEI era」は、「多様性時代」と訳していいのではないでしょうか。

この言葉は、その「多様性時代」が終わった、という文脈で、よく登場する。

典型的なのは、1月に出た以下のアトランティック誌の記事でしょう。


多様性時代の終わり

社会の 1 つの傾向がいつ終わり、新しい傾向が始まるのかを明確に見分けるのは難しいことがよくあります。しかし現在、米国全土で、これ以上に明らかな変化が 1 つあります。それは、多くの DEI プログラムが中断または消滅しており、反 DEI 運動が優勢になっているということです。

特に右派に限定されませんが、一部の人々は、DEI の実践を強化する現代の取り組みを、パフォーマンス的、おせっかい、または非効果的であると長い間見てきました。しかしここ数週間、ドナルド・トランプ氏の復帰が近づくにつれ、DEI反対の声がさらに大きくなっています。さらに、この新たに勢いを増した反DEIブロックは、強力な同盟者も獲得しました。

多くのアメリカ人は、2020年後半までDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の概念さえ知らなかったかもしれません。当時、ジョージ・フロイド氏の殺害とその後の人種差別と警察の残虐行為に対する全国的な抗議活動を受けて、多くの企業や大学がダイバーシティへの取り組みを強化しようと躍起になりました。 DEI プログラムには採用慣行が含まれる場合がありますが、企業文化や、組織の運営方法に関する日常の企業決定にも言及しました。第一次トランプ政権の最後の数か月間、主流派の一部の人々は、DEIを攻撃することは偏見を公に表明することに似ていると考えていました。それから 5 年も経たない今、この国の広い範囲で、DEI の概念は包括的な侮辱となっています。 DEI は、官僚主義、行き過ぎ、または平凡さの組み合わせの、ある意味悪党であり、ある面では常に存在するスケープゴートでもあります。


The End of the DEI Era

It’s often hard to discern, definitively, when one societal trend ends and a new one begins. But right now across the United States, one change couldn’t be clearer: Many DEI programs are sputtering or dying, and the anti-DEI movement is ascendant.

Some people, especially but not limited to those on the right, have long viewed contemporary efforts to strengthen DEI practices as performative, meddlesome, or ineffective. In the past several weeks, though, with Donald Trump’s return drawing closer, the DEI opposition has been growing louder. What’s more, this newly emboldened anti-DEI bloc has also gained powerful allies.

Many Americans might not have even been familiar with the concept of DEI (diversity, equity, and inclusion) until the latter half of 2020, when, following the murder of George Floyd and subsequent nationwide protests against racism and police brutality, many corporations and universities scrambled to bolster their diversity efforts. DEI programs can involve hiring practices, but they also refer to company culture and everyday corporate decisions about how an organization is run. During the final months of the first Trump administration, some people in mainstream circles saw attacking DEI as akin to publicly displaying prejudice. Now, not even five years later, for a large swath of the country, the idea of DEI has become a catchall insult. DEI is part bogeyman, part always-there scapegoat for some combination of bureaucracy, overreach, or mediocrity.

(Atlantic 2025/1/16)


この文中にある、

the idea of DEI has become a catchall insult

という一文。

DEIの思想は、「catchall insult」になったーー。

「catchall insult」は、私の能力では訳すのに難しい言葉です。

上のGoogle先生の翻訳では「包括的な侮辱」になっています。「ミソもクソも一緒にした侮辱」みたいな意味で、まあ「バカの代名詞」とでも訳せばどうでしょう。

「多様性」は、バカの代名詞になったーー。


この「DEI era」という言葉は、昨日も、ハーバード大の世界的認知学者、スティーブン・ピンカーのXのポストをきっかけに見かけました。

それは、2月25日、アメリカのスタンフォード大学で起こった事件に関するものでした。


2月25日、スタンフォード大学で、クリントン政権の財務長官だったラリー・サマーズが講演していたら、「Tax the Rich(金持ちに課税せよ)」といったプラカードを持った左派の活動家たちが乱入し、講演を妨害しました。

それに対して、聴衆の学生はブーイングと「サマーズに発言させろ」という唱和で活動家たちに抵抗しました。

学内誌の「スタンフォード・レヴュー」はこの模様を報じましたが、そこに「DEI era」という言葉が出てきます。


残念なことに、この種の抗議活動は大学生活の日常的な一部となっているが、この事例の無力さと滑稽さは、スタンフォード大学が野次による拒否権を盲目的に受け入れることから脱却し始めていることを物語っているのかもしれない。これは、ジョン・レビン総長のオープンな議論の提唱だけでなく、政治的寛容への全国的で広範な移行と一致する傾向である。明らかに不快ではあるが、この抗議活動は DEI 時代の名残を表しているように見えた。その時代を、「発言させろ」と叫んだスタンフォード大学の学生たちは、激しく拒否しているのである。

While these types of protests have unfortunately become a routine part of university life, the ineffectiveness and laughability of this instance perhaps tells us that Stanford is starting to move beyond blindly accepting the heckler’s veto, a trend in line with a wider nationwide shift towards political toleration as well as a President Jon Levin’s advocacy of open discourse. While clearly objectionable, this protest seemed to represent a vestige of the DEI era—an era the Stanford students chanting “let him speak” are vehemently rejecting.

(The Stanford Review 2025/2/26)


日本でも「野次の権利」が唱えられたことがありましたが、そういう考えが時代遅れになったーーという記事です。

野次で、自分の気に入らない講演者を黙らせようとした活動家は、「多様性時代の名残り」にしか過ぎない、もう時代遅れだ、と。


この事件に関して、スティーブン・ピンカーは、こう述べました。


破壊的な抗議活動参加者は、聴衆が聞きに来た誰かの意見を聴衆に聞かせないようにして、リベラルな民主党員を(自分たちのスペクトルの)右翼であると決め付け、アメリカの大学の信用をさらに失墜させ、トランプ政権の格好のターゲットにしている。

Disruptive protesters attempt to prevent an audience from hearing who they came out to hear, branding a liberal Democrat as a right-winger (on their spectrum), bringing further discredit to American universities, and making them an inviting target for the Trump administration.

(Steven Pinker 2025/2/27 23:55 日本時間)


つまり、普通のリベラルですら「右翼」呼ばわりする、こういう左翼がいることが、トランプ政権の支持者を増やしている、という指摘です。

左派が調子に乗り過ぎたから、それに嫌気がさした人々が保守化して、トランプが有利になった。

いいかげん気付け、ということですね。

(念のため言えば、ピンカーは反トランプのリベラルです)


ともかく、アトランティック誌の記事にあるとおり、この「多様性時代 DEI era」は、2020年5月25日という、黒人男性ジョージ・フロイドが警官に殺された日(そこから全国的な抗議運動=ブラック・ライヴズ・マター=が起こった)から始まった、とされることが多いようです。

そしてそれは、2025年1月20日、トランプ大統領が「DEIの強制を禁じる」大統領令に署名した日に終わった。

だから、「多様性時代」は、2020年5月25日に始まり、2025年1月20日に終わった。日付がはっきりしている時代ですね。

それは、バイデン政権の期間と、ほぼ重なります。


いまドイツが全力で否定している「新移民法」のメルケルなんて、2021年頃は「ドイツのお母さん」「自由民主主義の最後の守り手」と呼ばれて、大人気だった。それもその時代の象徴。


日本では、2024年春の衆院15区補選で、小池百合子都知事が、

「インクルーシブな社会を体現し、実現する人物」

として、乙武洋匡を擁立した。

あのあたりが、日本の「DEI時代」のピークだったのではないでしょうか。


なお、同じ現象を、朝日新聞出版の「AERA」もーーもちろんDEI時代の終わりを惜しむ左翼の立場からーー記事にしています。

トランプ大統領の「多様性」撤回、米大学生に打撃 企業からインターンキャンセル恐れる人も(AERA dot. 2025/2/28)


下は、DEI時代が終わったので、ディズニーが態度を変えた、という記事。


アメリカのディズニーが「人種差別の注意書き」を変更した経緯、その理由は? 専門家が解説
(Tokyo FM プラス 2025/2/28)


また、こういうこと↓も、ありました。

ワシントン・ポスト紙のオーナー、ジェフ・ベゾス(アマゾン会長でもある)が、今後同紙のオピニオン欄は左翼的論調を排し、「個人の自由と自由市場」の支援を柱にすると宣言。 従来の論説委員長は辞任した。 トランプ効果と言える。 今後に注目したい。



「左翼リベラル調子こき」の10年


でも、待てよ。

左翼リベラルは、2020年より前から、調子に乗ってなかったか?

そのとおりです。


昨日、noteで、與那覇潤さんが、「DEI時代」ならぬ「#MeTooな季節の終わり」を書いていました。


ありましたね、「Me Too」の時代!

與那覇さんの記事は、私には難しすぎて何を言ってるかわかりませんが、どうも伊藤詩織映画での支援者分裂などで、「#MeTooの季節」の終わりを宣言しているみたい。

「伊藤詩織」とか「ポストモダン」とかの単語は、私の脳が自動的に認知を拒否するので、話が入ってこないんですけどね。

でも、與那覇さんは、伊藤の「Black Box」出版と、ハーヴェイ・ワインスタイン事件の発覚が、同じ2017年10月であったことを書いてます。

そうそう、2020年以前から、左翼リベラルが調子こいてた状況があった。


それで言うなら、JDヴァンスの「こっちはグレタに10年我慢した」発言にあるように、グレタの「調子こき」もあった。

でも、グレタが有名になったのは2018年くらいからですから、「10年」は実は誇張です。

その前に、国連が「SDGs」を発表した。これが2015年でした。

今から振り返ると、国連が左翼リベラルを調子こかせた。国連が元凶です。


2015年〜2024年の10年を、「左翼調子こき時代」と命名したいのですが、どうでしょうか。

この時代は、「DEI時代」を含み、その2倍の期間があった。

「左翼調子こき時代」、長ければ略称「STK時代」で。


日本でも、2015年6月の安保関連法成立前後、SEALDsと朝日・立憲民主など左翼リベラルが暴れ回りました。

やっぱり2015年が起点です。

それは、朝日が「従軍慰安婦」誤報を認め、社長が辞任した2014年の翌年。2015年は、危機感を覚えた左翼の巻き返しの年となります。

その後は、ご承知のとおり、「モリかけ桜」で、日本で民主的に最も長く選ばれた首相が悪口雑言を浴びせられ、しまいには殺されてしまいました。(それによって、おそらく戦後初めて、実現に近づいた憲法改正の機会も、葬られました)

朝日新聞、毎日新聞など左派メディアと、左翼政党、左翼活動家、そしておそらく宏池会を中心にした自民党内リベラル勢力(アメリカの民主党と通じている)による「犯行」です。このことは、日本国民は歴史に刻んで忘れないようにしましょう。


ともかく、2015年からの10年間は地獄だった。

いまは、「文化大革命」が終わった時の中国と、似ているかもしれない。

セクハラ・パワハラ・何とかハラ糾弾、LGBTQ、週刊文春の「私刑」、いわゆるwoke(意識高い系)の所業、ポリコレ、オープンレター、キャセルカルチャー、言論弾圧、焚書、何でもござれの末世だった。

人間として完璧ではないかもしれないが、普通に働いていた人たちが、いきなり血祭りにあげられて、社会的に抹殺されたり、自由を奪われたりした。犠牲者はどのくらい出たか。

いやな時代だったねえ。日本人が、怪しげな横文字ばかり使って。

それが終わったんだ! ハレルヤ!


守るべき「多様性」


でも、私の立場は、左翼が調子に乗り過ぎたことを責める立場であり、「多様性」一般を否定するものではありません。


昨日は、アメリカ在住46年の「桑港たかし」さんが、みずからの「DEI体験」をYouTubeで話していました。

とてもバランスの取れた、現実的な話だったと思います。


【自分がこの身で体験したDEI を語り尽くそう】新大統領の打ち出した反DEI の政策。かたや、マイノリティとして46年アメリカに暮らして来た我が身に照らしてのあれこれを、いろんな角度から探る。(桑港たかし 2025/2/28)


桑港たかしさんが言うとおり、日本人も「マイノリティ」です。世界的に見れば。

桑港さんも、日本人だから、DEIで恩恵を受けてきた、それは否定できないわけですね。

英語をネイティブ並みに話せない者は、アメリカではみな潜在的にマイノリティです。大学の英文科を出て、46年アメリカにいる桑港さんだって、結局ネイティブ並みにはなれない。

我々日本人は、トランプやトランプ支持者と、根本的にちがう立場だということは忘れるべきではありませんね。


私は最近、うちの近所で、白人や黒人の保育士さんたちが、日本人の子供たちを預かって遊ばせている光景をよく見ます。

横断歩道を渡らせる時は、白人の保育士さんが、子供たちに「Walk!」と号令をかけている。

それは、その保育園なり幼稚園なりの教育方針なのかもしれませんが。


そして、それは、いいことに思えます。

理屈ではなく、私には、心なごむ光景です。

最近は、子供たちだって、肌の色は、いろいろになりつつあります。

小さい頃から、そういう多様性の中に育ち、偏見をなくせるのは、幸運ではないかと思います。


マイノリティが、マイノリティであることに開き直られるのは困るけど、多数派の社会に同化しようと努力している限りは、受け入れるべきだし、尊重されるべきでしょう。

ただ、左翼や、勘違いしたリベラルが、マイノリティをそそのかすから、話がおかしくなるだけ。


とにかく、これまでのようなことは、ここでいったん区切りをつけてほしいと思うのでした。


<参考>


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#リベラル メディアと政治の批評

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コメント

3
あるくむ
あるくむ

読んでいて色々思い出しました。川崎には在特会としばき隊がありましたね。wikiってみたら2007年に設立された在特会が警視庁に目をつけられて櫻井誠が退任したのが2014年11月だそうで。ああいうのがガソリンになって日本は2015年を迎えたんですね。

そしてやっぱり一番余計だったのがSGDsだと思います。女性と人種、原発とEVをひとまとめにして共感しろと言われても。国連は昨年SDGsの次にビヨンドGDPなる方針を打ち出したらしいですが、全然ニュースになってません。SDGsより遥かに大きな概念だそうですが、トランプ以前に既に死んでる予感だらけです。

バカ騒ぎが終わってくれてあー良かったとみんな思ってるってことですね。

super_nerine589
super_nerine589

激しく御意。良識(死語ですかね)ある市民はみなおかしいと思っていたのですよね。それをまともに口に出せないのは、まさに文化大革命。日本の腐れメディアももうちょっとマシにならないものか。

新しい幸せの扉
新しい幸せの扉

はじめまして😊
いつまでサヨク、ウヨクとカテゴライズしているのでしょうか?
自公維新が「愛国保守」とお考えでしょうか?
その他野党が「サヨク」?
自公維新国民、立憲の大半が「壊日サヨク」にしか見えませんが?
自民党に関しては中曽根氏辺りから。

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