相談件数5年間で1・5倍 増える男性のDV被害 年上の妻に食事抜かれ栄養失調 国際男性デー
野口さんは「男性被害者はパートナーの理想にこたえようとする人が多い。専業主婦が加害者になることが意外と多いことも特徴の一つだ」という。
■「あなたを変えるため」と正当化
大村さんは、20万円ほどの借金を打ち明けたことをきっかけに、妻からの激しいDVが始まった。ウェブデザイナーの仕事で年収は約500万円。借金返済のめどはたっていたが、専業主婦の妻は「隠し事は許せない。あなたを変えるために一緒に戦う」と、DVを正当化する主張を繰り返すようになった。
妻は在宅勤務の大村さんを常に監視。給与はすべて妻が管理しており、冷蔵庫を開けるにも許可が必要だった。事実婚から10カ月後には食事を抜かれるようになり、70キロ以上あった体重は40キロ台に。それでも大村さんが無抵抗を貫いた結果、栄養失調で倒れるに至った。
搬送された病院側が異変に気が付いて通報。今年5月には、裁判所がDV防止法に基づく接近禁止命令を出し、大村さんは妻から解放された。
大村さんは当時をこう振り返る。「自分が変われば妻との関係も変わると思っていた。DV被害を受けている意識すらなかった」(桑波田仰太)