ウィーアーラッキーフレンズ
ワタシの友人でサイジョウカズヤという人物がいる。
もうかれこれ20年くらいか。
出会いは彼がslobというバンドをやっていた頃で、それについては以前にも書いたので以下参照
https://note.com/youjirobuzz/n/nf6847b1aa4c7?sub_rt=share_b
彼はその後slobを脱退。
新しいバンドをやると言いながらもなかなかメンバーは見つからず、mixiに暗い投稿ばかりしていた彼にワタシは電話をかけた。
カズくん、バンドメンバー見つかりそう?
ていうかさ、今度は自分で歌うんでしょ?
曲作ってるんでしょ?
ギター弾けるじゃん?
じゃあ1人でも出来るじゃん?
メンバー見つからないなら1人で弾き語りやってみようよ?
腐って動かなきゃ何も始まらないよ?
というよな内容を話し、彼の初めてのソロライブをブッキングした。
最初のライブは酷いもんだった。
1人でギター1本なのにフロアは音がギンギンに回るほどの爆音で声なんて聴こえなかった。
が、回数を重ねて擦り合わせが出来てきて段々カズくんが明るくなってきたなと思ってたらある日電話が来た。
ゆうちゃん!バンドメンバー決まったよ!
CIGARETTE in your bedというバンドが誕生した。
ワタシは本当に嬉しかった。
でまあそのカズくん、なかなかにクレイジー。
ま、実は繊細で優しい男なんだけども。
ちなみに髪の毛はここ数年ずっと緑色だ。
いつぞやは当時ワタシが働いてた渋谷club kinotoにバンドで出演をした時だ。
まあまあ酔ってた感じだったがちゃんと帰ったのでワタシも終電に滑り込み帰宅。
翌日、カズくんから着信アリ。
曰く、キノトに眼鏡忘れてない?とのこと。
どうやら店を出た後に渋谷駅で駅員と揉めた後に電車に乗れず、路上で起きたら眼鏡がないと。
財布も無いって言ってたっけか。
残念ながらワタシは眼鏡をかけた千鳥足の彼を見送ったので行方は不明。
またある日はカートコバーンをモデルにしたラストデイズという映画が公開されるとのことで6人程で観に行った。
観た後は飲んで電車もなくなり渋谷の宮下公園で飲み直してたが雨が降ってきた。
春か秋だったかで寒くなってきた「皆揃って文無しナチュラルグランジ」な我ら。
辺りにあった燃やせる物を燃やして暖をとっていたら警察が来て追いかけられたっけ。
ベロベロだったのによく逃げ切れたな。
彼のバンドはメンバーがなかなか落ち着かず脱退と加入が多かった。
ある時ブッキングの電話をすると彼はこう言った。
カズくん「いやーその日やりたいんだけどさー。実はベースとドラムが抜ける事になってさ」
ワタシ「え?決まってるライブはどうするの?来月は大阪遠征もなかったっけ?」
カ「うん。でもまあしょうがないよね。なんとかなるっしょ」
ワタシは電話をしながらブッキング帳を開いて翌月のページを開きつつ彼らのホームページでスケジュールをチェックした。
ワ「その日担当してるバンドなくて休めるから俺ベースやるよ」
思いがけず大阪遠征が決まった。
ドラムは共通の知り合いのヴォーカルギターがドラムもやれると挙手した。
近々のスケジュールなのもあってスタジオは1回のみ。
スタジオで音を合わせてみると彼のドラムは常にフルスイングで勢いのある良く言えばパンキッシュなドラミングで、冷静に言うと初心者のそれだった。
ワタシは一層気を引き締めた。
大阪ギグはシューゲイザーというよりはパンクバンドとしてなんとか無事終了しライブハウスで打ち上げ、ワタシは翌日仕事なのもあり早めに機材車帰宅。
お腹も減ったのでカズくんの好きな天下一品にピットイン。
ワタシはもうゴキゲンに酔っていたのでラーメンと炒飯のセットに餃子とビールもオーダー泥酔深夜1時。
カズくんはワタシのオーダーを聞いた瞬間に目を見開いてこちらを見ていた。
そうです。
彼とは長い付き合いなもんでワタシがラーメン1杯食べきれない少食ストマックの持ち主って事を知っているからだ。
ワタシは大丈夫大丈夫!と返し、程なくして料理が届き食べ始めた。
ラーメンも炒飯も餃子も美味しかったがそれぞれを2口くらい食べ、無言でカズくんの前へ差し出した。
これは彼と食事に行った時の暗黙の了解でもある。
カ「ほらぁ!だから言ったじゃん!」
勝手知ったる彼女の様にそう言ってこれから東京まで夜走りの彼はワタシの分も食べた。
血糖値はフルテンのビッグマフを踏んだ時のよに上がっただろう。
すまん。
帰りの道中、運転しないが故に免許はゴールド、なワタシに出来る事と言えばiPodでナイスDJをしてカズくんの眠気を忘れさせる事だ
彼の好みは長年付き合った恋人みたいに手に取るように分かるので楽勝だ。
順調にドライブは進んだ。
程なくしてワタシはカズくんも好きなThe Get Up Kidsのコピバンを友人バンドマン達とその2ヶ月くらい前にやったことを思い出した。
ちなみにその名は勃起少年達、である。
男とはいつまで経ってもバカな生き物だ。
ワタシはその時のライヴ録音をカズくんに聴かせ、それにまつわるエピソードを嬉々として話した。
が、どうも10分くらいしてiPodを握りしめたまま寝落ちしたらしい。
ハンドルを握ってるカズくんはワタシが起きるまでの数時間、そのライヴ録音を延々と聴いてたと(変えたくても変える事が出来なくてしょうがなく)笑顔で言っていたがその横顔は疲れていた。
すまん。
そうそう、カズくんと言えばここ15年でワタシの4回くらいの引越しを全て手伝ってくれてまして。
ワタシ断捨離が得意なのと、部屋に物があるのが嫌いなので常に荷物が少ないのです。
以前住んでいた部屋に初めて彼女が来た時なんて
「ゆうじろうさん、ほんとにここに住んでる?」
と言われたくらい生活感がなかったそう。
最初に引越しをお願いしたのは、同棲してた彼女に別れを告げた後だった。
深夜から朝まで話し、ようやく諦めた彼女はこう言った。
「荷物…どうする?」
そうです。
そこはワタシの正式な家ではなくお相手の家。
ワタシは返す刀で今持って行けるだけタクシーで持っていって数日以内に全部運ぶ、と伝えて2年くらい住んだ部屋を出た。
モチロンなんのプランもないのでとりあえず当時の職場のキノトのワタシのデスクの後ろに荷物を持ち込みソファで就寝。
起きて煙草を吸いながら、
「荷物どうすっかなあ…」
と、思いすぐさまワタシの周りで大きい車を持ってる人物を思い出した。
カズくんである。
彼のバンドはとにかく機材が多いのでそれに伴う機材車を使っていたのだ。
ワタシすぐさま電話。
たまたま翌日だったかが空いてて無事に搬出成功。
それに味をしめたワケじゃないがその後も引越す予定が見えるとカズくんのスケジュールを聞き、その日を引越し日にしている。
すまん。
ある時は友人バンドのアルバムリリースツアー水戸公演に抜き打ちで行ってびっくりさせよう!と言ってカズくんに車を出してもらったっけ。
彼は運転があるので飲めなかったのでワタシも控えめにしよかなと思ったが1杯飲んだらそんな配慮は空の向こう。
ワタシは通常運転の泥酔ストに。
すまん。
その帰り道の車中。
アルコールでエンジン全開のワタシ、さすがに悪いなと思い少しでもカズくんのテンションを上げようと思いその頃聴いていた中でもぶっちぎりの曲を車内でかけた。
コレはとにかくヤバいから!と。
それはワタシが敬愛するMO'SOME TONEBENDERの曲で、出だしから歪んだベースのリフで始まり、なんならその後に入ってくるドラムも歪んでいる。
ギターはロングトーンをメインにしてるがギンギンに歪んでるヘヴィなミドルチューン。
凡百のバンドであればそれだけでそのバンドにとって「激しい曲」なのだけどラスト41秒の瞬間、それまでを嘲笑うかのようなヘヴィなギターサウンドがヴゥーン!とスライドして入ってくる。
その後は我関係ナシとばかりにストイックにリズムを刻むドラムス、ベースとギターはあり得ないヘヴィなリフを弾く、という曲で。
その曲かけたらカズくん笑ってて何度も車内でリピートした。
それ以後我々の間でテンションが上がるのを表現する時は
「ヴゥーン!だよね!」
になった。
それがこの曲↓
https://open.spotify.com/track/41fnHQqxwDkT0GpJrMzBWI?si=S3-3I8JxSbqLy1rm-DPjbg
カズくんはCIGARETTE in your bedというバンドでヴォーカルギターをしている
シューゲイザーとグランジ、根底にパンクアティチュードがあり彼らしい優しいメロディのバンドだ。
近年は度々海外のバンドのOAをやったり去年はアルバムも出した。
良かったら聴いてみてほしい。
https://open.spotify.com/artist/0ybUYq7tgOifr9Y1yaY281?si=XNt3QpgfR5iyqigUP3Xr2g
バンドが売れる、大きなイベントに出るのも嬉しいが、信頼出来るメンバーと共に楽しそうに演奏する姿を観るのが1番嬉しい。
ぞ、友よ。
なんでこんな話をするかって?
こないだ数年ぶりに天下一品のラーメンを食べたからさ。
ソロだったもんでモチロン食べきれなかったし帰りの道中で危うくリリースするトコだったけどね。
ん?
そういやカズくんの事なかなかクレイジーって書いたけど結局クレイジーなのワタシのほうか?
見出しの画像はカズくんとNIRVANAのコピバンをやった時の我々のギターとベースの成れの果て。


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