上野千鶴子さんが語る「初の女性首相」 うれしくないと書いたのは
高市早苗氏が首相に指名され、日本初となる女性首相が誕生した。歓迎ムードが広がる中、フェミニズムやジェンダー研究を牽引(けんいん)してきた社会学者・上野千鶴子さんの「うれしくない」というSNS投稿が注目を集めた。どういう趣旨だったのか。上野さんに聞いた。
――長くフェミニズムを牽引(けんいん)してこられましたね。「フェミニストなら初の女性首相誕生を喜ぶべきだ」との声をどう見ますか。
「フェミニズムを戯画化する意図で外野がそう言いそうですね。しかし、それはフェミニズムをあまりに単純化しています」
――高市さんは今回、政界でトップまで上り詰めました。そもそもフェミニズムは、女性が世間の序列を上がっていくことを目指す思想だったのでしょうか。
「世間の序列を作ったのは男性社会ですから、そこに参入することが目的とは言えません」
「たとえば1985年にできた男女雇用機会均等法は、家事や子育てを女に押しつけてきた男の働き方を少しも変えることなく、『競争したければ男と同じ条件のもとで勝ち抜け』と言って女に『男並み』の働き方を強いる法律でした」
「当時私は短大の教壇に立っていて、直観的にこう思いました。女子学生たちに向かって『がんばって総合職の座に食い込み、歯を食いしばって生き残れ』と言うことがフェミニズムなのか? まさか!と」
――2019年に話題になった東京大学の入学式での上野さんの式辞が思い出されます。弱者が弱者のままで尊重されることの大事さを説くお話でしたね。
「フェミニズムは、女が男のようにふるまいたいという思想でも弱者が強者になりたいという思想でもなく、弱者が弱者のままで尊重される社会を求める思想です。均等法成立のときに抱いた直観は、当たっていました。直観とは分節化される前の思想ですから」
――高市政権の誕生が予感されていた10月上旬、「初の女性首相が誕生するかもしれない、と聞いてもうれしくない」とSNSに投稿されましたね。どのような趣旨だったのですか。
「初の女性○○が事件になる…
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