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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

犬の膝の前十字靱帯断裂

2025-06-01 | ワンコ修行

今や獣医分野で前十字靱帯断裂と言えば、ワンコ。

犬の膝の前十字靱帯断裂について【獣医師執筆監修】症状・原因・好発品種・予防方法・治療方法

この動画はわかりやすく、短く、とても良くできていると思う。

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手術の内容についてはまた今度。

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屋久島へ登山に行ってきた。

これは最高峰 宮之浦岳へ登る途中で寄り道した黒味岳。

宮之浦岳は海岸線の里からは見えない。つまり宮之浦岳に登っても海岸線の多くの部分は見えない。

黒味岳に登ると、宮之浦岳も見えるし、海岸線の多くも見える、ということで眺望が良いのだそうだ。

山岳部OBの誘いで昔の中間と登るはずだったのだが、うちは家族登山になってしまった;笑

宮之浦岳(左)から下りて新高塚小屋へ向かう。

 

 


子牛の前十字靱帯断裂の外科治療法

2025-05-24 | 牛、ウシ、丑

子牛の前十字靱帯断裂では、NOSAI岩手の先生がホルスタイン子牛でimbrication 層状縫合・鱗状重層による1例報告をしておられる。

きちんと診断し、外科治療を行った臨床獣医師に敬意を表したい。

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飛び魚が名物の島へ行ってきた。

とても楽しい6日間だった。

働いていたときには考えもしないことだった;笑

            


牛の前十字靱帯断裂の外科的治療方法

2025-05-04 | 学問

牛の前十字靱帯断裂を診断しても治療方法がないのでは仕方ないじゃない、と言う人もいるかもしれない。

外科的治療が可能だろう、という国内文献を紹介しておく。

牛の前十字靱帯断裂症に対する整復手術の検討

この当時、鹿児島大学におられた田浦先生らの報告

日獣会誌 39 80~85 (1986)

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私が臨床獣医師になった頃の論文。

9歳と10歳のホルスタインで前十字靱帯断裂症例を経験し、実験牛2例(黒毛和種300kgと160kg)で外科手術方法を検討し、症例でも手術実施したとの報告。

関節鏡もなく、X線撮影の手間や画像の質も現代のようではなかった時代の臨床研究。

しかし、”熱い”ものを感じる。

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イントロ部分で、乳牛の前十字靱帯がかなり多いことが述べられている。

さらに、膝の跛行や、原因不明の起立不能の中に前十字靱帯断裂がかなり潜在しているであろうことも述べられている。

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行われた外科手技については、現代の牛の外科学でも採用されるべきものなのかどうか私にはわからない。

今なら、ヒトの前十字靱帯再建手術に準じて、関節鏡視下でもっと外科侵襲を小さくして手術することが可能なのではないだろうか。

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2症例や実験牛2例の経過や予後についても詳細は書かれていない。

症例牛は管理失宜により大腿骨骨折したと書かれているが、いつ、どのような経緯で、どのような骨折をしたのかも書かれていない。

このような外科侵襲が大きく、膝関節を大きく切開し、靱帯を再建?する外科手術を行うと、術後の疼痛や運動機能喪失(負重困難、伸展・屈曲制限)もかなり大きいはずだ。

”管理失宜”がなくても、大腿骨の致命的骨折のリスクはかなり大きいだろうと思う。

ヒトは関節鏡視下で行った前十字靱帯再建手術のあとも、1週間は入院して過ごす。

膝部には装具を着けて、伸展も屈曲も制限される。

腫れが少しは減るのを待って、少しずつリハビリを始める。

最初はマッサージとわずかずつの屈曲から。完全伸展はしてはいけない。

1日数回のアイシング。

これらのリハビリや術後管理は大動物では望むべきもない。

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この症例報告と実験手術は、牛の前十字靱帯断裂の外科治療の可能性を示しているが、まだまだ実践されるためにはもっと基礎研究と術後管理のHow to の確立が必要だろうと思う。

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かつて評価が高かったので読んでみたいと思っていた。

しかし、司馬遼太郎「関ヶ原」との類似点が指摘され、著者側が出版を中断し、販売もされなくなった。

・・・・と思っていたら、文庫化もされて売られているようだ。

司馬作品の著作権が・・・・切れてはいないと思うけどな。

この「島津奔る」の作者ももうとうに亡くなっている。

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歴史小説としては、かなり面白かった。

著者の、歴史上の人物への評価がかなり述べられているが、もっともだと思う部分もありながら、

歴史上の人物への侮蔑、嫌悪が鋭い部分もあり、どうかと思わされる。

そしてご自分が盗作まがいのことをしてしまっては・・・・・

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薩摩、現鹿児島の土地柄、地域性、風土、人心、というようなものを感じることができたのは楽しかった。

日本の近代史を考えるなら注目すべき部分ではないかと思わされる。

 

 

 


膝 乳牛の前十字靱帯断裂

2025-04-23 | 牛、ウシ、丑

私が牛の膝の前十字靱帯損傷で記憶があるのは、かつての釧路NOSAIの先生方の手による、この一連の研究発表

もう40年前の調査で、調査研究の手法も、診療データそのものも、調査研究の結果のまとめ方も、この”論文”のそのものも、”old” ではある。

ただ、あの時代に、乳牛の十字靱帯を診断し、ちゃんと記録を残し、疫学的データから病理解剖まで行った努力と成果はすばらしいものだと思う。

私は大動物臨床獣医師に成り立ての頃、この壮大な調査研究発表を聴いたのでとても印象に残っている。

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牛の前十字靱帯断裂がかなりの症例数があること

診断技術があれば、他の起立不能や跛行と診断できること

突発事故ではなく、損傷の積み重ねで断裂に到ると思われること(発生疫学的にも病理解剖からも)

しかし、加齢以外の発症要因は不明

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というようなことが印象に残った。

乳牛の飼い方は北海道でもこの40年の間に大きく変わってきた。

一戸当たりの飼養頭数は数倍に増え、牛のつなぎ方もスタンチョン(牛の頚を挟む)からフリーストールやスーズバーンの牛舎が増えた。

放牧は・・・・どうなんだろう。減ったのか? 見直され、また少し増えているのか?

前十字靱帯断裂は、単純な突発事故ではないにしても、牛舎の構造や牛の飼い方に大きく影響を受けると推察される。

それと、搾乳月齢に達するまでの育成期の扱いも影響しているかもしれない。

若いときに放牧されて十分に運動した牛は筋肉も骨も良く発達し、運動器が丈夫なのではないだろうか。もちろん靱帯も。

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さて、最近の乳牛の「前十字靱帯断裂」はきちんと診断されて、診療と事故の記録として残されているだろうか?

増えているだろうか? 減っただろうか? 原因が把握され、予防の努力がされ、成果が出ているのだろうか?

40年前の釧路の獣医さんたちの熱意に今も感心し、敬意を表する次第である。

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大きくなりすぎたレンギョウの株を掘りあげて、移植した。

たいして大きい木ではなく、せいぜい小灌木なのだが、腰が痛くなった。

働いていた頃には4月にこんなことしてられなかったのよ。

そもそも4月に植え替えるのが良いかどうかは別にして;笑

 

 

 

 


膝、その複雑な構造と機能 比較解剖学的に

2025-04-14 | 馬臨床解剖学

膝についてだいぶ勉強した。必要があって・・・

先々月にも紹介したが、このYoutubeの動画はとてもよくできている。

Equine stifle joint

膝関節は、3つに分かれているし、

半月板という他の関節にはない構造物がある。

関節腔は、特に外側大腿脛骨関節には遠位に広がるrecessと呼ばれる腔がある。

recessとは、休み時間、奥まった所、(心の)奥(底)という意味だそうで、わかりにくいが床の間や彫刻をはめ込む壁の凹みもそう呼ばれると知るとなんとなくわかる気がする。

いずれにしても、構造が複雑でわかりにくい。

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動物種による差は少ない関節のように思う。

ヒトでも、牛馬の大動物でも、小動物でもわりと似た構造をしている。

たとえば肘関節は、ヒトと四足歩行動物はかなり異なった構造になっている。

肘関節は前肢であり、腕を器用に使うサル類と四足歩行の動物の違いかも。

足根関節(飛節)は牛と馬でも骨の形がかなり違う。

ヒトの膝が他の動物と大きく違っている点は、大腿骨と脛骨の角度だ。

ヒトはこの大きく伸展した膝関節の角度のおかげで、直立できる。

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ヒトは直立したまま歩いたり走ったりできるように進化してきた。

ヒトの運動能力が動物より劣っているとはよく言われることだが、必ずしもそうでもない。

例えばヒトは42.195kmを2-3時間で走れるが、こんな持久力はない動物も多い。

体操競技やバレエ、ダンス、水泳は、ヒトがサル類に属しているゆえの運動能力だが、短距離、中距離を走る能力もヒトはなかなかのものだと思う。

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ただ、ヒトは走る、走らないに関わらず、かなり膝に故障が起きる。

ヒトの運動器障害に膝がどれくらいを占めているかは、対象とする年齢層や生活様式にもよるので難しい。

ただ、高齢化社会になったこともあって「膝関節症クリニック」などが流行っているのはご存じのとおり。

直立歩行するようになったこと。足根関節以下をべったり地面に着けてほとんど膝だけでクッションをとって歩いたり走ったりするようになったヒトでは膝は大きな負担を受けていると言ってもいいだろう。

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馬でも跛行の中で膝が原因のものがどれだけあるか?は、ヒトと同じく対象とする馬によって大きく異なる。

一般には、馬の跛行の原因は前肢に多く、近位部よりは遠位部に多い。そして蹄による跛行も多い。

特別なことがなければ後肢の跛行であっても「膝を跛行の原因として疑わない」、という競馬場や乗馬の獣医さんもいる。

しかし、腫れや熱感がなくても膝に原因があって跛行をしている馬は少なからずいる。

膝の構造を知って、その機能について考えておくことは、各動物の膝について理解を深めてくれるかもしれない。

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シカはねえ~

走るというより跳んでるよね

故障は起きないのか?

起きていると思うな

大きな牡シカが跛行しているのを観たことがある

ひどくなったら・・・・・クマの餌になるんだろう