共同通信、AI加工した提供写真を取り消し 「社内の指針に反する」
共同通信社は2日までに、鹿児島県・屋久島でウミガメの子ガメをくわえているタヌキだとして10月20日に配信した写真を取り消した。ウミガメ保護団体から提供された写真で、鮮明にするために人工知能(AI)により加工されたと確認した。「報道用の写真、グラフィックス、動画、音声作成に生成AIを原則使用しない」とする社内の指針に反し、事実を正確に伝えるべき報道写真として不適切だと判断した。
問題があった写真は1枚。もととなった画像に比べてタヌキの毛並みが過度に鮮明になっていたり、タヌキがくわえている子ガメの向きが異なったりしていた。世界有数のウミガメ産卵地の屋久島で、タヌキがウミガメの卵や子ガメを食い荒らし、環境省が被害の実態調査を始めたとする記事の内容に誤りはない。
配信後「生成AIの画像ではないか」と指摘を受け調査。その結果、提供元の団体の協力者が、監視カメラの動画から切り出した画像をもとに、生成AIのチャットGPTに画質の向上を指示して作っていたことが分かった。報道に使われることは想定していなかったという。
共同通信は、写真の提供を受ける際には加工の有無の確認を徹底するなど再発防止に努める。〔共同〕
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画像は複数の共同通信加盟社が掲載し、日本経済新聞も10月25日付朝刊に掲載した。