4年連続20本塁打以上を放ち、主力として活躍した鈴木貴久選手(写真:時事)

血の涙を流した「近鉄ファン」は救われたのか?

球界再編が騒がれた当時は、ほかダイエー、ロッテ、日本ハムなどに身売り・合併報道が出たが、あれだけ騒がれた「2球団消滅・1リーグ制」構想は頓挫し、「2リーグ・6チーム」は守られた。その中で、歴史が途絶え消滅したのは、近鉄バファローズのみ。いや、“のみで済んだ”と言うべきだろうか。

現在はオリックスの球団愛称に「バファローズ」という名前が残るものの、あくまでも球団の前身は「オリックスブルーウェーブ」であり、近鉄バファローズの歴史は引き継がれていない…が、オリックスバファローズは山本由伸投手・吉田正尚選手(日本一達成後に米移籍)などを擁して、21~23年にパ・リーグ3連覇。うち22年には、近鉄が最後まで果たせなかった「バファローズ日本一」(日本シリーズ制覇)を実現している。

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20年前の球団消滅に血の涙を流した「大阪近鉄バファローズ」ファンの方の中には、少しだけ報われ、心の曇りが晴れた方もいるのではないか。少なくとも筆者は、ほんの少しホッとした。

さて、なぜ04年に、近鉄バファローズを中心とした「球界再編」が叫ばれたのか?根本的な要因は「パ・リーグ球団は軒並み経営が苦しかったから」に他ならない。

パ・リーグ各球団はいま「新球場建設」「経営者の改革」「ネット配信の強化」など、セ・リーグとは違った形で、経営改革を進めている。つづく後編記事『「パ・リーグ改革」真のMVPは“意外な人物”だった…!「我らのパシフィックリーグ」はいかにして守られたのか』では、「球界再編騒動」20年後の、各球団の経営状況を追ってみよう。果たして「パ・リーグは、儲かっているのか?」

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