しいたけで全身に激しいかゆみ 理由は調理法にあった?
全身にまるでムチで打たれたような発疹が出る、年齢・性別に関係なく誰にでも起こる可能性があるしいたけ皮膚炎。しいたけ皮膚炎になってしまった東京で福祉の仕事をしているタツさん。彼がしいたけ皮膚炎になったのは調理法に問題があった。
8年前、都内に住むタツさん夫婦は、妻が出産予定日を翌月に控えていた。そんな中ある日、家の近くでご当地グルメが集まったグルメイベントが開催されていた。
様々なグルメが並ぶ中でタツさんが特に気になったのが、しいたけの大判焼き。あるブランドしいたけを使ったもので、作り方は至ってシンプル。大ぶりのしいたけに、バター、チーズをのせて網に乗せ焼き上げる。しいたけに火が通ったら最後はバーナーでこんがり焼いて完成だ。
しかし人気のこの店の前には行列ができており、お腹の大きな妻を待たせるのも申し訳ない。「自分で作ればいいか」とタツさんは考えた。
数日後、スーパーでしいたけを買ってきてネットのレシピを見ながら自分で作ってみることに。チーズをたっぷりのせたしいたけをレンジのトースター機能で2~3分焼いた。妻に「食べなよ」と勧めたが遠慮されたため、一人で食べることに。
タツさんの体に異変が生じたのはその2日後。腹に赤い発疹ができていた。妻が見ると、発疹は二の腕にもあった。
タツさんは1年前にかかった水疱瘡の再発を疑ったが、健常者の場合、水疱瘡は一度かかると免疫ができ、2回目はほとんどかからない。万が一と思い、来月出産を控える妻とは別の部屋で寝ることにした。
翌朝、強烈な痒みで目を覚ますと、腕には激しく搔きむしったような赤いミミズ腫れが。腫れは顔や首、全身に広がっていた。しいたけ皮膚炎になると広範囲に渡って症状が出るのが一般的。陰部も真っ赤に。スマホで検索し「これって性病?」と思い込んでしまった。来月には子供が生まれる。妻が知ったらどうなってしまうのか。何の心当たりもないが病院へ向かった。
すると「しいたけ皮膚炎ですね」と医師。自身で調理した時食べたしいたけは、生焼けだったと思われた。レシピにはオーブンで5分から10分焼くと書いてあったところを、トースター機能で2、3分焼いただけで完成としてしまったのだ。
オーブンとトースターでは焼き方が違う。オーブンは熱した空気を中で対流させて食品の温度を上げていくため中まで火が通りやすいが、トースターの場合は熱を放射して直接食品をあたためるため、表面はすぐに焼けるが中まで火が通りにくい。これが、しいたけ皮膚炎になった原因と考えられる。
しいたけを調理する上で生焼けにならないよう気を付けるポイントを専門家に聞くと、「しいたけはほとんど水分で出来ているので、しいたけのヒダに水分が沸々と出てきたら焼き上がりのサインになります」とのこと。しいたけに火が通ると水分が抜け平べったくなる。その形状の変化も火が通ったサインなのだという。
バーベキューなどでも、しいたけを焼くとき生焼けが起きやすいため、十分に気をつけてほしい。
