狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです   作:ron3studio

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アンケートの結果は概ね予想通り……狩人さんへの期待が高いこと高いこと。
現状の狩人さんはドクターのことをケルシーやWよろしく殺すぞー!な状態、けどケルシーから守れって言われたし、殺したら殺したでテレジアの想いを無碍にするしでの板挟み。

で、この作品のゴールラインは知らないか?どこかに落としちまったみたいなんだ……。

狩人のステータス
血質 35→40



「どこもかしこも……獣ばかりよ、臭くて鼻がひん曲がりそうであるな」

 

 

チェルノボーグ

大通り近辺

 

「……ふむ、今の所は作戦通りに事が進んでいる様だな」

 

チェルノボーグにてドクター救出作戦が開始され、単独で動いている狩人は建物の屋根に立ち大通りを見ている。流石にそのまま屋根上に立てば目立つこと間違いなしなので、青い秘薬*1を飲んで発見されない様に対策はしている。遠目ならば充分な効果が見込めるだろう。

定期的に入る通信や報告もこれといって問題が起きている訳でもなく、このまま順当に作戦が進めば、ドクターを石棺から救出しチェルノボーグから撤退するのみだった。

 

「ん……あれは、レユニオンムーブメント?何故……」

 

人が賑わう大通りにて、ふと路地から出てくる特徴的な集団が目についた。

それらは全身を白で覆い、マスクを被り武器を携えている。それに気付いた市民も不審な空気を感じとり逃げ出そうとしたのだろうが……レユニオンの攻撃が始まった。

 

「……有象無象の感染者の集まりが仮にも、ウルサス帝国の一つであるチェルノボーグを陥落させられると?馬鹿馬鹿しい……そも、陥落させたとて感染者の地位が回復する訳が無かろう」

 

次第に広がっていく混乱、狂気を見ながら狩人は思考を巡らせる。

 

「何を考えて実行に至った?貴様らの(リーダー)は、何を考えてその計画を立てたのだ?」

 

狩人の問い掛けは誰かが答える事もなく、ただ空気へと霧散していく。

狩人が見つめる先には、まるで獣狩りの集団……あの時のヤーナムの様な光景が広がっていた。自らが獣と成り果てた事に気付かず、獣を狩る様な光景。

 

「ハァ……ケルシーからの指示もあるし……久しぶりの獣狩りといこうか」

 

月光の聖剣とエヴェリン(もはや実家の様な安心感)を握りしめ、早くも地獄の様相を呈する大通りへと飛び降りた。

 

「さてと、少しは楽しめると良いがな」

 

 

———

 

 

アーミヤ達がウルサス市民の母親と子供を助け、立ちくらみを起こして倒れた母親が目覚めるのを待っている時、周囲を警戒していたオペレーターの一人が切羽詰まった声を出す。

 

「アーミヤさん!恐らく敵です!撤退地点の方向から一人!」

 

「……ッ!戦闘態勢!市民の方を中心に陣形を組んでください!」

 

アーミヤの指示にオペレーター達は従い、瞬時に陣形を組む。Aceが一番先頭に立ち、アーミヤもその横で敵を視認しようとする。

が……アーミヤの視界に入ったのは敵では無かった。

 

「あれは……」

 

ソレは濡れていない部分などないほどに血塗れで、大剣を背負い、銃を握っていた。ソレはゆっくりとアーミヤ達に近づいて来る。

 

「ハンターさん!」

 

「アーミヤ、それにAceか」

 

「皆さん、戦闘態勢を解除してください。彼は私たちの仲間です」

 

オペレーターの一人が敵と誤認したのは狩人だった。だが、間違えるのも仕方ないだろう。パッと見でロドス所属と分かりにくく、そして血塗れと。これを遠目から見て味方だと判断出来る者はそう多くはない。

 

「ご無事でしたか、良かった……その、血は……」

 

「私のではない。そこら辺にいたレユニオン共のだ。数が多かったので少々数を減らしてきた、とは言っても……あまり効果は期待できんだろうがな」

 

「ハンター、せめて目元くらい拭いたらどうだ。そのままだと見た目がおっかなすぎる」

 

「ならば拭くものを貸してくれ」

 

「ほらよ」

 

「感謝する。で、状況は?」

 

「ドクターを回収した、今は……市民を保護してな、倒れてしまったから目を覚ますのを待っている」

 

「そうか、ならば出来る限り早く撤退しよう。予想よりもレユニオンの数が多い。しかも私たちロドスも敵視している、質はそこまででもないが、量で押されてしまえば対処も難しくなる」

 

Aceからタオルを借り、血塗れになっていた目元を拭きながら現状を聞き、今後どうするべきかを話していると、倒れていた母親が目を覚ました。

 

「触らないで!!!」

 

「ほぅ……貴公がアーミヤらが助けた市民か」

 

「ヒッ……」

 

娘を抱き抱え、アーミヤに怒声を飛ばしていた母親に狩人が近付くと、全身血塗れの狩人を見た母親は小さく悲鳴を上げて固まってしまう。

 

「選べ。今ここで死ぬか、我らに従って生き延びるか。10秒数えてやる、選べ」

 

母親の意思など知ったこっちゃないと言わんばかりに畳み掛け、勝手に秒数を数え始める狩人。しかも数え始める時に武器も取り出しており、時間が過ぎれば命は無いぞと脅しも掛けている。人の心とか無いんか。

そうして1……2……と数え進めていく内に、震えた声で母親が言葉を発する。

 

「し、従う!従うから殺さないで……!」

 

「……オペレーター各員、護衛対象が2名増えたが……問題はなかろう?」

 

狩人の強引な手口にオペレーター達は思わず動きを止めてしまうが、すぐに我に帰った一人がアーミヤに問い掛ける。

 

「アーミヤさん、あの人は……」

 

「戦場だとやり方が荒っぽくなるだけで、普段はとても良い人ですよ」

 

「あれが……?」

 

「初めて見ると困惑するかもしれませんが、その内慣れますから」

 

「アーミヤ、移動だ」

 

「分かりました、Aceさん」

 

 

———

 

 

『繰り返します、チェルノボーグ市内の暴動は—』

 

「よくこんな嘘っぱちな報道が出来るもんだ」

 

「しかし、ウルサス軍警がここまで押されるとは考えにくい。どうも政府には本気で鎮圧する気がない様に見える」

 

ドクター、親子を囲む様に隊列を組みながら公園を通り抜けるために進んでいくアーミヤら。

その傍らでAceが無線機で傍受した報道を聞いて呟く。それは余りにも現実とはかけ離れた内容で、やはり今の出来事が何処か複雑に絡み合っている意図がある様に思わせてくる。

 

「近年のウルサスが腐っているとは言え、仮にもウルサス帝国だ。本来ならばこの様な事態にはならんだろうな……ドーベルマンの言う通り、政府側に何かしらの意図があるのだろう」

 

「それに、レユニオンに裏工作が出来るとは考えにくい……」

 

「どっちにしろ、とっととチェルノボーグからは離脱した方が良いだろう。レユニオンには敵視されており、ウルサス軍警からしてみれば企業所属とは言えども……結局のところは感染者の集まりでしかないのだから」

 

「そうだな……アーミヤ、今の我々に加勢する余裕は無い。気持ちは分かるが、ドクターをロドスに連れ帰るのが最優先だ」

 

「分かってます……分かってはいるんです」

 

「お前はよくやってるよ、アーミヤ」

 

「Aceさん……」

 

「後はニアール隊、scout隊と合流して脱出だ」

 

「そうですね」

 

着実に歩を進めていく内に、ドクターが立ち止まる。そして狩人も同時に、その事に気付く。

足元に先程まではなかった霧が立ち込めている。余りにも不自然な出来事に、狩人は警戒を強め出す。

本人からしてみれば業腹だが、彼はケルシーから「ドクターを守れ」と指示をされている。その指示を裏切る訳にもいかないので、何があってもドクターを守れる様にしなければならない。

 

「霧……変だ」

 

「敵のアーツだ。このままいけば先1mの視界確保も怪しくなるだろう。その前に陣形を組み直した方が良い」

 

渋々ながら隊の先頭からドクターの側にまで近寄り、狩人一個人としての考えをドクターに告げる。

 

「隊列を円形に」

 

「了解、戦闘員は担架を中心に方陣形を組め。視界が晴れている内に、急げ」

 

指示を受け各オペレーターが円形状に移動する。

 

「そこのお嬢さんら。貴公らはこの顔を隠しているフード野郎の後に着いていきたまえ。そうしてくれたら私としても守りやすくて助かる」

 

「は、はい」

 

「それでいい。アーミヤ、無理をさせるがこの二人にも注意を向けておけ。私も側に居はするがもしもの場合もある。頼んだぞ」

 

「分かりました、ハンターさん」

 

狩人は先ほど脅し……交渉した親子にドクターの側にいる様に言い、親子らもそれに対して素直に頷く。まあ、さっきあんな脅し方された後で頷かない選択を取れる肝の据わり方をしている事の方が少ないだろう。

 

"周囲に敵影は確認できず……訂正。敵ドローンを確認"

 

PRTSからの報告と同時に、上空から爆発音が響く。

 

"味方偵察機いずれも被弾、破壊されました"

 

「ロドスのドローンは意外とポンコツなのか……?」

 

「そんな事を言っている場合か!総員!木の陰に隠れろ!!」

 

気の抜けた台詞を吐き出す狩人にドーベルマンは叱責しながら急いで木の陰へと隠れる。その直後に上空からばら撒かれる弾丸。

 

「ふむ、威嚇射撃だな」

 

「では……私たちの分断が目的?」

 

「であろう。戦力を分散させて狩る、実に合理的よな。で、ドクターとそこの……無事だな。とりあえず親子は嫌だろうがコータスのお嬢さんにべったり張り付いておけ。ドクターは……勝手に動くでないぞ」

 

狩人が護衛対象の3名の無事を確認し、とりあえずの指示を出してから遮蔽にしている木から顔を出す。

周囲は霧に包まれ、視界は絶望的な状況だった。

 

「霧がこんなに、これじゃ味方の位置が……」

 

「これでは下手に動けん。相手にしてやられたな」

 

霧のせいで視界が確保出来ない状況に顔を顰めていると、遠くはない距離から悲鳴が聞こえてくる。それを止めようとする声も。

 

「……ッ!」

 

それを聞いたアーミヤはアーツを放とうと手を前に翳すも、狩人に止められてしまう。

 

「無闇に撃つのは避けた方が良い。万が一味方に当たりましたなど笑えん……バレてないと思ったか?」

 

アーミヤを制止していた狩人が急に武器を振り抜き、土を抉る。

アーミヤからしてみれば何も居ない所に攻撃を仕掛けた様にしか見えないが、狩人は確かに存在を感知していた。

 

「貴公がアーツの主か。姿は見せてくれんのか?」

 

狩人はアーツの主がドクター目当てなのだろうとあたりを付け、ドクターの前に立ちはだかる。

 

「……あくまでも興味があるのはコイツだけか。おお恐ろしい、こんな危ない物を投げてはいけないと親に習わなかったのか?」

 

1本、2本と霧の中から飛んでくるナイフを弾き落としながら挑発の意も含めて相手にも聞こえるであろう声量で言葉を発する。

狩人からすれば相手が何の目的でドクターを狙うのかは理解できないが、とにかくドクターを守らねばならない状況なのは確かであった。

 

ちなみに、弾いて落としているナイフは狩人からしたら絶対に当たりたくない代物である。残念ながら身体スペックの差と狩人の貧弱防御力により、こんな大した物でもないと思いがちな攻撃ですら狩人にとっては命取りとなりあるのだ。

本当ならば弾くなどと言う慣れない芸当はせずに避けるのだが、後ろにドクターが居る以上狩人は危ない橋を渡るしかなかった。

 

「む……引いた?いや、アーツが消える素振りもない……気配を消しただけか」

 

狩人が弾いたナイフで何かのオブジェクトが作れそうだなと思った時、ふと気配が消える。

それと同時にドーベルマンが狩人たちのすぐ側まで来ていた。

 

「アーミヤ、ハンターも居るのか」

 

「さっきから姿も見せぬ輩にちょっかいをかけられておった」

 

「被害は?」

 

「無い。あの程度に遅れはとらん」

 

「そうか。道の向こう側でAceたちが戦っている。敵の数は不明だが、多くは無さそうだ。今から信号弾で応援を呼ぶ、我々は霧の主を叩き視界を改善する。援軍と共に敵を制圧し、この場を脱出するぞ」

 

「はい……!」

 

「む……?霧が晴れていく……Ace、そちらはどうなっている」

 

『敵が引いていった、それに霧も晴れてきた』

 

「どういうことだ……?」

 

「あれは!皆さん、レユニオンを視認しました!」

 

霧が晴れ、周囲を見回した時に敵を視認する。

白い服に身を包んだ少年に、フードを被り顔を隠す女。

顔を隠した女はロドス一行を一瞥した後、何かを言ってから霧の中へと姿をくらませた。

 

「消えた……」

 

「敵の幹部連中は協調性を欠いているな……」

 

「うむ、どちらにしろ私たちにとっては好都合だが」

 

 

「やぁ君たち!クラウンスレイヤーの非礼を許してくれ!」

 

 

「あの人、攻撃の意思は無さそうですが……」

 

「油断するな、あの取り繕った声……何か裏がある。ドーベルマン、すぐに動けるようにしておけ」

 

「あの少年が霧の主か?」

 

「いや、アイツが霧の主を撤退させた。何を考えているか分からん」

 

霧が晴れたことで散開していたオペレーターたちがアーミヤらに集まり始め、Aceも合流する。

オペレーターらの視線の先には、ニコリと笑っている少年が一人。

 

「聞いてくれ、幸い全員が生きては居るが……数名が負傷。酷い傷だ」

 

「そうか、ここを抜ければ処置に使えそうな場所がある。早くここから抜けよう」

 

「では、行こう」

 

「あのガキが何かをする前に離れるのが良いだろうな。負傷者も増えた現状、戦うのは得策ではない」

 

 

「さて!皆さんお揃いの様だ!自己紹介が遅れたねぇ、僕の名前はメフィスト。これから僕と楽しいゲームをしよう!」

 

 

狩人ら一行がその場を離れようとしたその時、メフィストと名乗る少年が声高らかに"ゲーム"をしようと喋る。

 

「やはり黙って見逃す訳も無いか……私が時間を稼ぐ、行け」

 

ドーベルマンが囮に打って出ると、他のオペレーターたちはその間に離れようと動き始めるが。

 

「……止まれ!伏兵だ」

 

進んだ先にはレユニオンの兵士が出揃っていた。

狩人はもどかしさに歯噛みをしてしまう。護衛対象のコイツ(ドクター)が居なければ一人で勝手にメフィストを殺しに動けば良いだけなのだが……と。

課された制約のせいで自由に動けないことは、狩人にとって非常にストレスとなっていた。

 

 

「安心して、まだ何もしないよ。僕はね、君たちに興味があるんだ資料には目を通させて貰ったよ。製薬会社の癖に、実態は試験管を並べるだけじゃない。命を奪わない非効率的な戦闘やそれに付き従う連中……とても興味をそそられるよ」

 

 

「……聞いててゾワゾワする気持ちの悪い声だ」

 

「同感ではあるな……」

 

「何かあれば私が殺しに行く、その隙に逃げられる様に身構えておけ」

 

「了解した」

 

「中でも、あの石棺から連れ出された君!それと見慣れない服装の君もだ!二人とも僕たちとは違うみたいだねぇ?君たちは誰?何処から来た?それにフードの君は石棺の中でどうやって命を繋ぎ止めていたんだい?ん〜気になるなぁ!」

 

「そろそろ不快感で発狂しそうだが……もうあのガキを黙らせに行っていいか?」

 

「下手に動かない方がいい……」

 

 

「気が変わった。やっぱりそのフードを被ったソイツは僕に返してくれないかなぁ?」

 

 

メフィストがそう言うや否や、発砲音が響く。

アーミヤがその音の方向へと視線を向けると、銃を構えている狩人の姿が視界に入る。

 

「聞いていればゴチャゴチャと喧しい……貴様は今ここで殺す」

 

狩人はそれだけを言い、武器を握りメフィストに向かって走り出す。

 

 

「残念だなぁ……返してくれるならこのまま見逃してあげても良かったのに」

 

 

「死ね」

 

狩人がメフィストに向けて武器(月光の聖剣)を振り抜こうとした時、横から邪魔をされる。

それはメフィストのお友達(配下)であった。

 

「数だけは多い……まさに獣だな」

 

ゾロゾロとメフィストを覆い隠す様に敵が現れ、狩人は悪態を吐く。

物言わぬ所も、ヤーナムの獣共を想起させる一因となっていた。

 

 

「やれ」

 

 

メフィストの一言で、集団が動き出す。

一斉に狩人を殺そうと動き出すのと同時に、狩人も動く。

 

首を貫いて放り投げる。

勢いを付けて振り抜き、胴体と下半身を分離させる。

隙だらけな攻撃をしてきたので銃で体勢を崩し、腕を体に貫通させて内臓をぶち撒けさせる。

足を引っ掛け転げさせ、無防備な頭を踏み潰す。

膝蹴りを顔面に喰らわせ、鼻の骨をへし折る。

 

既に返り血塗れだった狩人が、更に血に濡れていく。

 

 

「アハハ!君は連中とは違うみたいだ!!けど良いのかな?こんな所で油を売ってたら君の大切なお仲間さんが危ないよ?」

 

 

「チッ……面倒だな」

 

メフィストが目前にいるものの、その場で足止めをされている狩人。敵の数こそ減らしてはいるが、確実にトドメを刺さないとすぐさま復帰してくる異様なまでの敵のタフさに苛立つ。

 

「もう月光波ブッパするか」

 

狩人にも不安が無いのか?と言われたらもちろんある。

特にドクターがちゃんと守られているかが非常に不安ではあるが……まあドーベルマンおるし、アーミヤもおるし、一般市民の肉かb……おとr……でこi……の方もいるし、なんとかなるだろうと言う精神と、あんのクソガキめちゃくちゃ腹立つから殺しに行く。

が融合した結果が今である。割と狩人はアホらしい部分があったり。

 

「さぁ……これは耐えられるかな!」

 

狩人が聖剣に手を翳し、本来の刀身が淡く光を発しながら現れる。

月光の聖剣を横一文字に振り抜けば、光波*2が敵へと向かって飛んでいく。一部はそれを防御しようと盾を構え、真っ二つになり。あるいは避けようとしたところを間に合わず、命を絶たれる。

そこに残ったのは、少ない数のメフィストのお友達(配下)とメフィスト本人だけであった。

 

「生き残ったか。運が良いな」

 

そうして狩人が後ろを見た時には、ニアール隊の援軍が到着し敵を次々と制圧していくアーミヤらの姿があった。

その光景にメフィストは怒りに顔を歪ませ、激昂する。

 

 

「……壊した……僕のゲームを壊した!」

 

 

「やはりガキか。自分の思う様にいかなかったら怒り出す。典型的なタイプだ、アーミヤの方がお前よりも賢いな。しかもなんだ?お友達とやらも大したことはないしなぁ?ガキはガキらしく親に泣きついておいた方がいいぞ?」

 

 

「ファウスト!コイツの口を塞げぇ!」 

 

 

狩人が先までの鬱憤を晴らすが如く好き放題メフィストについて言っていると、メフィストが突然誰かに向けて怒号を飛ばす。

 

「何を……ッ!」

 

狩人がメフィストの行動に首を傾げた時、恐ろしいまでの悪寒に襲われ本能のままに後ろへと回避する。

狩人が元居た地面は、大型のサイズの物と断定できる程に大きいクロスボウの矢によって抉られていた。

 

「狙撃兵!煙幕を張れ!」

 

 

「避けた!?ありえない……!もう一度だ!粉々にしてやれぇ!」

 

 

「あッ……ぶなッ!この威力を連射できるとは……恐ろしい奴が居るようだな」

 

もう一度飛んで来たクロスボウの矢を避け、その威力、速射性に冷や汗をかく狩人。避けられはするが、それはその事に集中しているからであって、戦闘中にコレ(恐ろしい威力のクロスボウ)が飛んでこなかった事を幸運に思うばかりであった。

 

「ハンターさん、負傷者の撤退が完了しました!」

 

「ならばさっさと逃げるが吉だ!総員撤退!」

 

アーミヤからの伝達を聞いたハンターは、メフィストと相対するのをやめ、全力で逃げ出す。三十六計逃げるに如かずとこの事で、時には背中を見せて走るのも大切なのだ。

何やらアーミヤが危ない状況に置かれていたが、Aceの援護で事なきを得ていた。やはり頼れるのはイケオジよね。

 

「此奴らしつこいんだが!?」

 

狩人は走って逃げてはいるものの……どうしてもエーシェンツに身体的スペックで勝てず、ジリジリと追いつかれそうになっていた。

このまま敵を引き連れては逃げる意味がないので、ポケットからとある物を取り出した。

 

「どうせ少し熱い程度だろうがな!」

 

後ろへと放り投げたのは、縄付き火炎瓶*3本来火を恐れる獣を狩る為に使われるソレは、今は敵から逃げる為に使われる。

後ろに放り投げられた火炎瓶は、狩人を追いかけていた敵の足元に当たり、行く手を阻んだ。

 

「よし、ようや……あ?」

 

ぽいぽい縄付き火炎瓶を投げながら逃げ、ようやく公園の入り口まで辿り着いた狩人が少しスタミナを回復させようと足を止めて柱に手をついた瞬間。

柱にクロスボウが撃ち込まれ、崩れる。

 

「ぬぉっー!!!!」

 

伝説の蛇(MGSVのスネーク)も惚れ惚れするような緊急回避をし、どうにか柱の下敷きになるのを回避する。

 

「ハンターさん!こっちです!」

 

アーミヤたちがいる路地へと駆け込み、Aceが牽制用のグレネードを投げ、アーミヤ一行はどうにか追っ手を振り切る。

そうして路地を進み、負傷者の処置もしなければならないのでとある場所に一旦身を潜める。

 

「ふぅ……いや、流石にあれはヒヤッとしたな……」

 

「そうは言っても、ちゃんと避けてたじゃないか」

 

「避けられはしたがな、急に手をついた柱の上っ側が崩れてみろ、死を覚悟するぞ。体験してみるか、Ace?」

 

「いや、遠慮しておこう。アンタみたいに避けられる自信は無いからな」

 

「そうか」

 

Aceとの会話も止まり、壁に凭れ掛かった狩人は天井を見つめふと、呟く。

 

 

「縄付き火炎瓶、持ってて良かったな……ちょっと夢に帰ったら補充しておくか……」

 

 

 

*1
飲むと一体時間狩人の体が薄く透けて見える様になる。なんだか敵に見つかりづらくなるらしいが……実感はしにくい、使わなくても良い枠。

*2
ゲームではそこまで超強い!って訳ではない。狩人さんの上位者ぱうわーで強化されているだけ

*3
後ろに放り投げる火炎瓶。それ以上でも以下でも無い。使いにくさが目立つので、余り使われる場面は多く無いと思う。作者は全然使わない。





自分気付いたんすよ、高みを目指すなら失われた月光剣でアメンドース産の血晶石二つ用意するしかねぇよなって。
で、神秘加算とか言う神にHP持続減少があるせいで長く苦しい戦いを強いられそうです。すまん皆……死ぬわ。

狩人さんはメフィストの事を
「声が無理、殺す」「よく分からんが癪に触るので殺す」「とっとと死ねクソガキ」
と思っています。

狩人さんは今後ケルシーを守れると思う?

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