狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです 作:ron3studio
おぉ……評価バーが……赤色になってる!うれちい!!
いつも読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。良ければ感想ちょーだい♡(強欲)
ちなみに回転ノコギリと瀉血の槌用の血晶石集めを始めました。
私たちは地底からは逃れられない……8ewm2xxxの方が好きです(?)
ロドスはその出自から忘れそうになるが、歴とした製薬会社であり、それに伴って艦内での医療機関も充実している。
どちらかというと製薬会社ではなく傭兵集団……?と間違えそうになるが、製薬会社である。
そんなロドスにある医療部の責任者がいる医務室。そこに狩人は来ていた。
「ケルシーよ、ふと思ったが貴公の……ペット?子供?まあどちらでも良いが。Mon3trは人の姿にならんのか?」
「現状、Mon3trが姿を変えることはないだろう。急にどうした?」
ふらりと診察室を訪れた狩人は、本来診察する人のために使われる椅子を占領し、ケルシーとの雑談に興じていた。
「いやなに、たまにじゃれついてくる時があるのだがな……角張った体が少々私に食い込んでな、痛いのだ。それは別に良いとして、まあ人の姿になれるのなら一回くらい見てみたいと思ってな」
「ふむ……Mon3trの体を構築しているのは全て源石だから、人の形を模せたとしてもそれは歪なものになるだろう」
ケルシーも狩人との会話をしながらも、書類を捌いていく手の動きに淀みは無かった。
狩人もそれを見て純粋に感心しているが……机の上に置かれている書類の山はギャグか何かと内心疑っている。流石にその量はおかしくないか?と。
「となると肉体のベースが必要になるのか?どちらにせよ今は見れんか……少し残念だな」
「……さて、ハンター」
ブツブツと呟く狩人を横目に、ケルシーも手を止めて狩人の方へと向き直る。
「ん?どうした」
「君は何の用があってここに来たんだ?」
「別に何も無いが」
「……」
狩人の何も無い、という発言を聞いたケルシーはコイツマジか……みたいな表情を隠そうともしない。
彼女はロドスの現状二人しかいないトップの内の一人であり、そして医療部の責任者でもある。故にケルシーが目を通す、処理しなければならない仕事は多く。更には診察なども舞い込んでくる可能性があるので暇な時間があれば仕事をするべきなのだ。
「貴公、こうでもしないと休憩せんであろう?そう何回も倒れられては私も皆も困る。ので、こうして駄弁りに来たのだ」
「そうか……まぁ、気遣いに感謝する」
「うむ。仕事に熱心なのは良いがそれで体を壊したら回り回ってロドスに不利益を齎すこともあるだろうからな、定期的に休憩したまえ……というか前々から散々言っておるのだから素直に聞き入れたまえよ」
「善処しよう」
「全く信用ならん言葉が聞こえたな……まあよい。兎に角、またぶっ倒れた貴公を運ぶ機会が来ないことを祈っておくぞ」
「どうだろうな」
狩人の恨めしそうな声色にケルシーはフッと笑いながら、再度書類に手を付け出す。
狩人も椅子から立ち上がり、医務室から出て行こうとする。
「ああそうだ、何かあったら遠慮なく頼りたまえよ。私は基本的に暇である故な」
「何かあったら頼らせてもらうさ」
「それで良い。では、またな」
「ああ」
お互いに顔を見合わせることもなく、最後に少し話してから狩人は医務室を去り、ケルシーも仕事に戻る。
例え気休めとしても、今の短い時間は確かにケルシーの心を楽にさせただろう。
———
後日
プー垂れながら診察を受け、1ヶ月の禁酒を言い渡されたブレイズ。プープー文句を垂れていたかと思えば黙り込み、そしてとあることを言い出す。
「ねぇねぇケルシー先生」
「何だ、ブレイズ。禁酒についての文句なら聞き入れるつもりは無い」
「違うってば!いや禁酒は出来れば勘弁して欲しいけど……じゃなくって!ハンターにドッキリ仕掛けてみない?」
「はぁ……?ドッキリだと?」
「うん。ハンターってどんなことしても怒らないじゃん!一回くらい怒ってるところ見てみたいの!」
「理由は理解したが……私も参加する必要はあるのか?」
「え?うーん……するなら皆でやった方が盛り上がるか……ら?」
「はぁ……好きにしろ。私は仕事があるから協力は殆ど出来ないぞ」
「!やったぁ!早速メンバーを集めなきゃ」
「……まったく」
そんな会話をしていたら診察も終わったので、るんるんな足取りで医務室を出ていくブレイズ。それを見たケルシーはため息をつきながらも、狩人がどんな反応をするのかと、ほんの少しだけ考えていた。
———
一週間後、ブレイズは艦内を走り狩人を探していた。
「こんな時に……限って、どこにいるのか分かんないんだから!」
うーん、これから起きることが事実ならば焦っているようにしか見えない光景だが、実際のところ探しても探してもどこにいるのか見つからないので必死に探しているだけである。
「もー!本当にどこにいるのよーっ!!」
「誰か探しているのか?」
あまりにも見つからないので叫んでいたところ、ブレイズの後ろからひょっこりと現れる狩人。
「いた!!ようやく見つけたんだから!!」
「なんだなんだ……?」
「ケルシー先生が危ない状況なの!」
なんだかんだと訳の分からず首を傾げる狩人に(ドッキリの)ケルシーが危ない、と伝えると一変。
のほほんとしていた目付きは急に鋭く、敵を殺す冷たい目付きになり。雰囲気も殺気が漏れでているようで恐ろしい。
「医務室か?」
「う、うん」
「わかった」
急に変わった狩人に驚きながら、ケルシーが医務室にいることを伝えると、それを聞いた狩人は普段なら見れないであろう速さで走り出した。
「……はやぁ、というか……これドッキリだけど、死人とか出ないよね?」
あまりの速さに驚きつつ、ふと思ったことが口から漏れ出るブレイズ。それほどまでに狩人の雰囲気が恐ろしく、またそれが現実のものになってしまいそうだと思えるくらいには、冷たいものだった。
———
「Aceか、状況は?」
「ハンターか……良くはない」
「わかった。邪魔が入らないようにしてくれ」
「あ、あぁ」
(もちろんドッキリ要員として)医務室前に集まっているオペレーター達を退かし、扉前で腕を組んで眉間に皺を寄せるAceに話しかける狩人。いつもとは違いすぎる雰囲気に驚きつつも、流石古参のエリートオペレーター、それっぽいことを言っていく。
尚、医務室内ではケルシーはドッキリ待機の為と称して休憩を堪能しているし、犯人役のモブオペ君と少々雑談に興じている。平和なもんである。
「なんだテメェ!!そこから動くんじゃねぇ!!!」
狩人が医務室に入ると、それに気付いた犯人(モブオペ君。以降略称)は声を荒げ、ケルシーの首元にナイフを当てる(もちろん見た目だけの模造品)
「何が目的だ」
「……(えっそんなの考えてないよ?……えっえっえっどうしよ)」
「おや、人に通じるように喋ったつもりだったが……それすらも解せぬ獣だったか」
「さっきからゴチャゴチャと……!(めっちゃこの人怖いんですけど……もうギブアップしたぃぃ……!Aceさん達早くドッキリの看板出してぇえぇぇえ……!!)」
「彼女から手を離せ。二度は言わんぞ」
「この……」
「喧しい」
「ぐぇっ!?……ガ、ギィ……かヒュッ(くるじぃ……!しぬ……!!)」
犯人にケルシーを話せと一言告げてから数秒が経った時、目にも止まらぬ速さで犯人に近付き、犯人の首を掴み持ち上げる狩人。
次第に握る強さが強くなっていき、犯人は今にも死にそうな顔になり、手足をジタバタと動かすが、狩人はそれに意に介することもなく、敵の首をへし折ろうと力を込め続ける。
「だから言ったであろう。あぁ、そういえば人の言葉すら解せぬのだったな、なら……こうなっても仕方があるまい」
「ハンター!止めろ!!!」
「……何故?」
ケルシーの静止に耳を傾けるも、首をへし折ろうとするのはやめず。遂に犯人の首が折れるのではないかと思われる瞬間、医務室の扉が開く。
「ドッキリ大成功〜!!!」
入ってきたのは、ドッキリ大成功とデカデカと書かれた看板を持ったブレイズにその他オペレーター諸々……。
それを見た狩人は、無言で掴んでいたオペレーターを離す。
「ゲェッはゲホゲホっ!」
「つまり……貴様ら全員グルと?」
「……う、うん」
狩人から発せられる殺気に冷や汗をかきながら肯定するブレイズに、怯え縮み上がるオペレーター達。Aceは医務室の外でまあそうなるよな……と思いながら腕を組んでいた。
「今回は不問としよう。だが……次は無い。覚えておけ」
「は、はい……ごめんなさい……」
「分かったならさっさと散れ、コイツも連れてな」
冷たい声色で言い切った途端に、ブレイズその他諸々のオペレーター達は退散していく。犯人役はしっかり回収された。
「あー、ハンター。許してやってくれ」
「今回は許すとも」
「そうか……すまんな、今度詫びに美味い酒を持ってくる」
「好きにしろ」
扉から頭だけをひょっこり出したAceもあしらい、医務室に残ったのは狩人とケルシー二人のみだった。
「ケルシー、怪我はないか?」
「無いが……そのすまなかった」
「はぁ……流石に心臓に悪い。もうしないでくれ、久しぶりに肝が冷えたぞ」
「あぁ……」
「本当に……もうあのような事は体験したくないのだ」
小椅子にどかりと座り込み、ぼそりと呟く狩人。
それは、バベルでの出来事を指していることであり、ケルシーにとっても忘れ難い事である。
狩人はそれをまだ忘れてなど、忘れることなどないのだ。
「配慮に欠けていた、すまない」
「良い、何も無いのならそれで良い……少々気乗りしないが、茶でも飲むか?」
「……貰おう」
「いつまでも暗い雰囲気を引きずるわけにもいかんしな……紅茶飲むぞ紅茶」
Mon3trの出し入れ()があるからあの格好なのは百歩譲る……というよりかは普通に理解出来る、だが一部透明素材なのは意味が分からない。痴女か?
Monちゃんが人型になったら狩人に以前よりも多くじゃれつきます、その姿はさながらお爺ちゃんに甘える孫……!
「私はお爺ちゃんでもなんでもないが」
そういえば、そろそろ15章が来ますね。
多分寝込みます。
狩人は友人(ケルシー)守護ガチ勢なので何かあればぜっコロコロモードに入りますね。なんでやろなぁ(すっとぼけ)