狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです   作:ron3studio

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はい、バベル時代の人形ちゃんが来た時の話です。
ぜーったい艦内をザワつかせたよ。俺は詳しいんだ(?)



小話:ドキ!動くし喋る人形さんとの出会い!

 

 

ケルシーは頭を抱えていた、と言うより抱えたくなっていた。

狩人、その特異性から何かと度々頭が痛くなるような事をしでかしていた彼がまた、またやらかしていた。

 

「紹介しよう、こちらが人形ちゃん。私の……補佐役?のような存在だ」

 

「初めまして、ケルシー様」

 

人形と呼ばれた女性をケルシーはパッと見はごく普通の……人間だろうと思ったが。だがしかし、全体をじっくりと見ていくうちにその考えは徐々に揺らいでいく。

服装が見慣れない物なのは良い、彼が居た世界から来たのだから、見慣れないのも仕方ない。

手の部分に見える球体関節……テラの大地では義手義足、というのは存在するもので、頻繁に見ることはないにしてもまぁ、理解は出来る。だが何故球体関節なのだ?と思いはするが。

ここまでならまあかなり訳ありの人なのだろうな、で済んでいたが……息をしていない。これで全てをひっくり返した。

生物ならば呼吸をしない筈がない、つまり目の前にある存在は、狩人と同じく人ではない存在だと。

 

「……ハンター、後で話がある」

 

「えっ」

 

「良いな?」

 

「ハイ……」

 

事前に情報を共有してから連れてくる分には構わないのだが、急に連れてくるとなると話が変わる。

バベルも人間で構成されている組織であるから、未知の、理解の及ばない物を見て混乱を招く事を避けたい。なのに狩人はそんな事を気にもせずに連れて来る。

ケルシーの悩みの種がまた一つ増えた。この人形とやら、どうすれば良いのだろうかと。

ケルシーは考える。呼吸をしていないなど、余程の至近距離でなければ気付けないだろう……ならば、球体関節さえ隠しておけば彼女は普通の人間として扱われる……筈。隠さなくても大半は義手の類だろうと判断するとは思いたいが……念には念をだ。

 

「はぁ……初めまして、いきなりで申し訳ないのだが、君のその関節、他の人からは見えないように出来るか?」

 

「少し……難しいですね、私の服を作ったのは狩人様ではありませんから、手を加えるにしても他の方の協力が必要になるかと」

 

「そうか……分かった、こちらで手配しておこう。それまでは余り人目につかないように出来るか?」

 

ショボくれた狩人はそこら辺に放置されて人形との話を進めていく。彼女を排除したい訳ではないし、寧ろ歓迎はしたいが混乱は避けたい。ケルシーの頭を悩ませる難題である。

 

「分かりました、ケルシー様の指示に従います」

 

「ありがとう、助かる……さて、ハンター」

 

「ヒィッ……私、悪く、ない」

 

「遺言はそれだけか」

 

「どうか命だけは—」

 

「Mon3tr、やれ!」

 

「(好戦的な唸り声)」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

 

哀れなるかな、狩人はケルシーの鬱憤晴らしの為に犠牲となったのだ。

……いや、彼がケルシーのストレスを溜めるような事をしなければこんな事にもならないので自業自得と言えるか。

 

「(呆れたような唸り声)」

 

「うごご……何もメルトダウンさせたMon3trを仕向けるまでせんでも……」

 

「自業自得だ」

 

「賑やかですね、狩人様」

 

メルトダウンしたMon3trにボコボコにされた狩人は、輸血液をぶっ刺しながら地べたで倒れ伏していた。

HPモリモリの狩人でも流石に確定ダメージは痛いらしい。

 

 

———

 

 

「そこの綺麗なお姉さん、俺とお茶しない?」

 

「いえ、ご遠慮させて頂きます」

 

「まーまーそう言わずにさあ…………えっ?」

 

食堂にて狩人と共にティータイムと洒落込もむ寸前だった人形だが、狩人が急にケルシーに呼び出されたので一人ぼうっと食堂の隅っこで椅子に座っていたのだが。

一人となった人形を見て男がナンパをしにきたのだ。

人形はケルシーの指示があった為断ったが、男の方がグイグイ来て人形の手を掴む……と驚きの声をあげる。

 

人形の手はかなり冷たいし、何より隠されていた球体関節が見えていたのだ。

 

「あっ……その、し、失礼しましたぁあぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 

「……早速ケルシー様の指示を破ってしまいました」

 

誰だって綺麗なお姉さんがかなり訳あり(人じゃない)なお姉さんだとは思うまい。

その球体関節、という事が余りにも衝撃すぎたのか、ナンパをしてきたモブ男くんは逃げ出してしまった。

 

「紅茶を飲むからといって手袋を外したのがいけませんでしたね、次からは気を付けましょう」

 

人形は狩人がテラの大地へと連れてこようとした時にアレコレ弄られており、人間と何ら遜色のない味覚や触覚なども手に入れていた。

故に折角ならばと紅茶の熱とやらを知るために渡された手袋を外していたのが仇となった。

え?けど人形ちゃんってご飯とか食べた後の排泄の機能あるのかって?そりゃ狩人の月の魔物ぱうわーでそんな物必要としないようにしてるんですよ。

ほら、アイドルはそう言うのしない!って話があるだろ?それと同じだよ(?)

 

「狩人様が戻って来たら伝えないといけませんね」

 

 

ちなみに、バベル内部では爆速で人形のことが噂になったが。

皆「けどあの不審者(狩人)の側にいる人なんだろ?て事はなんか変でも仕方がない」で済ませてしまった。

バベルメンバーはメンタル面も強かった。多分狩人が先に来てたから慣れてしまったのもあるのだろう。

 

ケルシーは意外な方向に事態が収束してホッとした。

ただ無性に腹が立ったのでとりあえず狩人をもう一回Mon3trでシバいた。輸血液をブッ刺せばすぐにピンピンする狩人を改めてヤバい奴だと認識した。

 

 





人形ちゃんはベースになった人がバリくそイケメン女さんなのでナンパが来るのはなんらおかしい方では無いし、寧ろ当然である。
ナンパを仕掛けたモブ男さんは1週間は球体関節になったバベルメンバーと出会う夢を見たらしい。南無南無。

狩人さんのプロファイル、見たい?

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  • いらない
  • ンなことより投稿ペース早くしろ
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