狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです   作:ron3studio

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そりゃそう呼ばれるでしょうね。

必死こいてようやく殺した!
(復活からの)やぁ^ ^もう一回遊ぼうよ^ ^あ、君の行動パターンは学習したから、死にたくなかったら新しい動きを見せてね^ ^
(死)

これだもんね。
基本的にテラで狩人さんが敵対した相手は超絶クソゲーを押し付けられる事になる。哀れなるかな。



「貴公はバベルの悪霊、私はバベルの悪夢と呼ばれているらしいぞ?全く酷い呼び方をしてくれるものだなぁ?ドクターよ」

 

 

「ほれ、紅茶だ」

 

「ああ、助かる」

 

作戦記録、書類、メモが散乱した部屋……後のロドスアイランドと名を変えた際にドクターの執務室として扱われるようになる部屋にて。

バベルの悪霊と呼ばれる者、バベルの悪夢と呼ばれる者が紅茶を啜っていた。

 

「して、最近の調子はどうだ?色々と悩んでいるらしいではないか」

 

「……まあまあと言った所だ」

 

「そうか……私は貴公が何を考えているかは知らんし、知ろうとも思わん」

 

「……」

 

「貴公がテラの住人では無く、今は滅びた文明から取り残された人間故に考える物もあるだろう。どんな事を考えていても私は関与しない、止めもしない。選択は貴公の物だ」

 

「そうか」

 

「だが、このバベルに仇を成すと言うのであるならば……私は貴公を殺そう。狩人としてでは無く、ここにいる一人の人間として」

 

「……肝に銘じておこう」

 

「まあそう身構えんでも良い。今の話はそんな事が起きなければ無かった話となるからな……起きた際はまた別だが」

 

「怖い話だ」

 

「ふっ……あぁそうだ、時に貴公。我らが何と呼ばれているか知っているか?」

 

「バベルの悪霊と、悪夢」

 

「そうだ、悪霊と悪夢とは中々に酷い呼び名だとは思わんかね?我らはどちらも生きておるのに、まるでこの世に存在しないモノとして扱うような名とはな?」

 

「……君の方は妥当だと思うが」

 

「そうか?高々爆弾を抱えて敵陣で自爆した後そのままリーダー格の首を獲ったとか、滅多撃ちにされた仕返しで相手方の内臓をブチ抜いたくらいだぞ」

 

「普通の人間なら、自爆したら生き返らない。それに滅多撃ちにして殺したと思った相手が仕返しで内臓を抜きに来るなど……悪夢と変わらないだろう」

 

「たったそれだけで悪夢と呼ばれるかぁ……私は悲しいよ、およよ」

 

「君はもう少し演技するフリをした方が良いだろうな」

 

「む、やはりダメか。柄でもない事はするものではないな、と言うか貴公も貴公で悪霊と呼ぶに相応しい顔をしてるぞ」

 

「……そうか?」

 

「あぁ、今にも死にそうな顔をしている。と言うか死んでると言われてもまあ信じれるぞ。寝てないのか?」

 

「最近は忙しい」

 

「まあ私から言えることは多くはないが、寝た方が良いぞ。ケルシーもテレジアも心配してるぞ」

 

「私が休む訳には……」

 

「ハァ……良い、彼女らから許可は貰っている。……今は眠りたまえ」

 

ドクターが素直に休もうとしない姿勢に呆れた狩人は空となったティーカップを置き、立ち上がってドクターの側に近寄る。

そうして「何をするつもりだ」と言うドクターを無視してその額に手を当てる。

 

「ぐ、ぅ……なに、を……」

 

「何、ほんの少しの間眠るだけだ。私が振るう力では悪夢を見るかもしれんが……まあ許してくれたまえ」

 

そうして、上位者……月の魔物としての力を振るわれたドクターは意識を夢へと落とし、寝息を立て始める。

 

「全く……人間の体は脆いのだから睡眠は大事だと言うのに、何故こうも軽視するのかね。ケルシーもドクターも」

 

ワーカーホリックの二人に文句を言いながら、睡眠を邪魔しないようにと部屋を後にする狩人。残されるのは眠るドクターと二人分のティーカップ。

 

「良き夢を、ドクター。願わくば貴公が……バベルに仇なす存在とならざる事を、願おう」

 

———

 

 

[狩人の夢]

 

 

「ん……は?ここは、何処だ?」

 

夢へと意識を落とした筈のドクターは、目覚めた場所がロドス号の中ではない、別の場所である事にすぐさま気付く。

 

「夢か?それとも現実か?……いや、今は置いておこう。とりあえず、あそこの家屋に行ってみるか」

 

夢であるならばやけにリアルな石畳の踏み心地を感じながら、階段を登り家屋へと入っていく。

 

「……」

 

入り口の前で立ち止まり、中を見てみるがあちこちに無造作に置かれている本。棚に収納箱、小さなテーブルに椅子。様々な工具が置かれている工具台。

そして最奥には血が染み込んで黒くなった布が被せられている台。

 

「……これは、見覚えがある……ハンターの……」

 

一通り見回してから家屋の中に入り、工具台の方に視線を向けると、棚に隠れて見えていなかったが吊り下げられている武器の一部。

その中には、狩人が使っていたノコ鉈と同じ形状をした物もあった。

 

「まさか……彼の居た世界?」

 

彼の過去の発言、吊り下げられた武器の一部からここが彼の居た世界だと確信する。

 

「マズイな、帰る手段が……」

 

確信した後のドクターが考える事は、どうやってここからバベルへと帰るかであった。実際の所はすんごいリアルな夢として一時的に来ているだけなので現実の方の目覚めを待てば良いだけなのだが、余りにも現実的なせいで夢と認識していないドクターには知るよしもなかった。

 

「どうやったら……ん?なん—ッ!!?!?」

 

本人は至って真剣にどうやって考えていると、ちょんちょんと足を突かれる感触に気が付き足元に目をやると、ドクターからすれば初めて見る恐ろしい風貌をしたナニカが足を突いており、驚きのあまり後ろに尻餅をついてしまう。

 

「い、一体……なんなんだ」

 

恐ろしいナニカが動いたらすぐに逃げれるように体勢を立て直しながら注視していると、何やら手帳を取り出してドクターに見せる。

 

「……手帳?読めと……?」

 

あ"〜あ"〜と呻き声を上げながら自身よりも大きい手帳をずっと持ち上げるナニカの思惑を汲み取ったのか、恐る恐るといった感じに手帳を受け取る。

 

「……ここは狩人の夢、今は主不在。目覚めるのを待てば良い……本当か?」

 

手帳のページをペラペラとめくり、ハッキリと読める字が書かれている所でめくる手が止まる。その書かれた内容を見たドクターは信じられないと言った感じでナニカに視線を向ける。

 

「……疑っても仕方がないか。幸い、そっちに敵意は無いようだから、大人しく待つとしよう」

 

暫し疑いの視線を向けられたナニカはドクターが手帳の内容を信じてくれる事を理解したのか、先程よりも嬉しそうにあ"〜あ"〜と呻き声を上げる。

 

「で、何をどうして時間を潰せばいいのやら」

 

そんな嬉しそうなナニカを横目に、ドクターはどうしたら良いのか悩むのであった。

 

 

———

 

 

[テラの大地]

バベルロドス本艦

 

「狩人様」

 

「どうした?」

 

「使者から狩人の夢に客人が来たとのご報告が」

 

「あー、どうせドクターであろう。わざわざ戻るのも面倒だから使者に応対させておけ」

 

「わかりました。では、そのように」

 

 

 

「……あちゃー、まさか狩人の夢に行くのは考えてなかったな……けど特段行って不都合になる事も無かろうし良いか」

 

 





映像記録:1090.9 を確認
復元しますか?

YES

復元を開始


———


呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン、ハンターだぞう。

ふふ、いつも通り元気ね。

うむ、今のは流石に恥ずかしかった。今後はやらん。それで、呼び出しの理由はなんぞや?

そこまで大した事じゃないのよ?ただ、一つだけ約束して欲しくって。

ほう?なんだ、言ってみたまえ。ある程度の事なら守ろう。

多分、私は最後までここにいる事が出来ないと思うの。
だから……もし何かがあった時はケルシーのことを一人ぼっちにさせないようにして欲しいの。

相分かった。その頼み、引き受けようとも。

やっぱり、あなたは優しいわね。そんなにあっさり引き受けちゃって良いの?

友人の頼みを引き受けるのは当然だろう?
それに、私としても彼女がどんな道を歩むのかは気になるのでな。利害の一致、と言う奴かもしれんぞ。

ふふっ、それでも構わないわ。
そうだ……今までバベルに居てくれた事の感謝の証として。これを、あなたにあげるわ。

ん?これは……押し花の栞?

ええ、定期的に手帳を開いていたでしょう?それに使えるかなと思っての。どう?

ふむ、丁度良いサイズで使いやすい。有り難く使わせて貰おう。
感謝する、テレジアよ。

こちらこそ、今までありがとう。
これからもよろしく頼むわ。


———


白い押し花の栞
それはとある魔王が感謝の意を込めて友人である彼に贈った物。
彼女の研究成果でもある"白い花"を使っているソレは、彼女がどんな偉業を成し遂げていたのかを思い出させる記でもあり、そして同時に。
彼が彼女と交わした"たった一つの約束"を忘れぬ為の、徴なのだ。

狩人さんのプロファイル、見たい?

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