狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです 作:ron3studio
実は前回の武器紹介の後に死んでも死なない事をケルシーに説明した上で、目の前で実演した。アホかな?
ケルシーの啓蒙は1上がったし、狩人が急にトンチキ行動をするもんだから頭を抱えたくなった。怒っていい。
狩人のステータスに変動なし。
右手武器
月光の聖剣+10
左手武器
エヴェリン+10
「……」
そこは静かだった。総勢20名程の人員が入った飛行装置の機内は、駆動音のみがこだまする空間だった。
(……気まずぅ)
狩人はこの空間に気まずさを覚えていた。それもそうだろう、周囲の者からは何だコイツ?の視線を送られており、しかも全員黙っている。気まずさをどうにかしようと隣のケルシーに話しかけようかと思ったが、ただでさえ何だコイツの視線を送られている時にケルシーと和気藹々と話していたらそれが強くなりそうだったのでやめた。
一応、出発前のブリーフィングには居たのだが。一言も喋らない、服装が見慣れない、顔を隠してるので何考えてるのか分からない。の3点セットで何だコイツの視線は強まった。狩人は泣いていいかもしれない。
「皆さーん!そろそろ着陸ポイントにつきますので準備をお願いします!」
飛行装置のパイロットが声を張り上げ、着陸が近い事を知らせれば全員の目付きが変わる。それは平穏な日常から、戦場へと場所を変えた戦士の目だった。
「ケルシー殿よ、私は最後か?」
「ああ。降機後、君は一旦私の隣で待機してもらう」
「了解である、仕事無しの暇人にしないでくれたまえよ」
「分かっているさ」
ケルシーとの短い会話を交わした直後、ガクンと機体が揺れる。そしてケルシーと狩人以外の者たちが立ち上がる。
「着陸しました!ハッチを開けますので全員降機してください!」
「ふむ、では初めてのテラの戦場。とくと噛み締めようか」
人員がゾロゾロと降りていき、それに狩人も追従する。機体から降りたそこは巨大な源石が大地に突き刺さる荒野だった。
「では全員、予定通りに行動せよ」
《了解》
ケルシーの指示を皮切りに数名のみを残し、それ以外は各々が散開し始め敵へと近付いていく。
目標は——現地に展開する敵対勢力の殲滅。取り逃がしは許されない。
「残った医療メンバーは仕事が来るまで待機。パイロットは飛行装置のエンジンを停止させた上で周囲の警戒」
「ふぅむ、パッと見は敵がいるようには見えないが……はて、この先に隠れ家でもあるのか?」
ケルシーが残った人員に指示を出している間は暇なので、今のうちに武器を取り出しておく狩人。今回使うのは月光の聖剣とエヴェリンのようだ。
「この先は崖になっていて、その崖下に目標の敵が拠点を構えている。さて、ハンター、君には時間稼ぎをして貰う」
「なるほど、崖下か。で、そのお相手は?」
「少し待て」
ケルシーに待ったをかけられ、少し不満げな狩人。そんな狩人を横目に、ケルシーはドローンを起動させて戦場へと向かわせる。
「今のは?」
「偵察用ドローンだ。これを介して戦場を俯瞰する」
「どろーん、これまたよく分からない物が出て来たな……」
ドローンなる物をよく分からんなと思っていると、横から視界にタブレットが差し込まれる。
「……コイツだ。見えるか?」
「どれどれ」
ケルシーが指差した人物を見るように、顔を近付ける。
その対象は、周りにいる敵対勢力のメンバーとは一線を画す立ち振る舞いをしていた。
「ふむ、つまりリーダー格を相手に時間稼ぎをすれば良いのだな?」
「そうだ、理解が早くて助かる。君の不死性については理解している。死んでもいいタイミングはこちらから通達する、それまで死ぬな」
「勿論、指示には従うとも。では」
「健闘を祈る」
狩人が地を踏み締め駆け出す。一歩進む度に期待が高まる、今度の未知なる敵との死闘はどれ程自分を愉しませてくれるのだろうかと。
そうして駆けた先には、ケルシーから伝えられた通りの崖。下を覗き込めば、既に敵との戦闘は始まっているようで武器と武器がぶつかり合う音が微かに聞こえてくる。
「これは崖と言うよりは急な坂だな、まあ降りやすくて助かるが」
ケルシーに崖と言われて少し身構えていた狩人は、その実情を見てホッと安心する。が、すぐにその崖を駆け降りていく。
目的はもうすぐそこだ。
「む、アイツか……愉しませてくれよ」
崖を駆け下り、盾を構えた部隊員と戦闘を繰り広げている目標にエヴェリンを放つ。放たれた水銀弾は目標の胴に当たりはしたが、余り効いていないようだ。それでも、隙は出来た。
「此奴は我が相手する、後は任せたまえ」
「アンタがケルシー先生が言ってた……任せた」
相手が新手の敵かと警戒した隙に、部隊員と交代し目標の眼前に陣取る。狩人の既に期待値は最高潮に達しており、早く闘いたいと目がギラついていた。
「では、お相手願おうか」
「(サルカズ語)見掛けない服装……新手か」
ここに、狩りが始まる。
———
「ハハ!!その程度か!?」
「(サルカズ語)コイツ……すばしっこくて当たらん!」
異様な光景だった。
サルカズのリーダー格が武器を振るい、狩人がその攻撃を躱しながらただひたすらに近付いて離れてを繰り返す光景。
敵のリーダー格は相対すら狩人に不気味さを覚えていた、近付いてきたかと思えば、攻撃を避けて離れてまた近付いてを繰り返す相手に。それは狩人が指示された通りに時間稼ぎをしているのと、相手の行動パターンを読むが為の行動だが。ただの一回も攻撃を仕掛けて来ない事が不気味さに拍車を掛けているのだろう。
「(サルカズ語)それに、ずっとこちらを凝視してくる目が気持ち悪い……!」
狩人は嬉々とした声を上げながらも、常に視線は相手に。一つの動きも見逃さないように相手を見続ける。
『ハンター、時間稼ぎは十分だ。相手を殲滅しろ』
「漸くか!待ちくたびれたぞ!では攻めるとしようか!」
ケルシーの通信を皮切りに、狩人の行動が変化する。
徹底した様子見ではなく、隙あらば攻撃を差し込もうとする本来の動きへと。
サルカズが大剣を唐竹割りの要領で振るえば、狩人は斜めにステップをして大剣を避けながら相手に近付き、相手の横っ腹に月光の聖剣を叩き付けるように振り抜く。
「(サルカズ語)グゥッ!?この!」
「ほれほれ、そんな攻撃擦りもせんぞ!」
攻撃の隙に一撃、また一撃と確実にダメージを与えていく狩人。横振りの攻撃には後ろにステップをして避けて、縦振りなら横に。
*ヤーナムステップはテラの大地でも猛威を奮っていた。
「(サルカズ語)何故当たらん……!?」
サルカズは焦りを覚えていた。当たったと思った攻撃は全て避けられ、反撃の一撃が確実に差し込まれるのだから。着実に増えていく自分の傷と反比例して、相手は依然、無傷のまま。
他の戦線に援護に行こうとしても、ピッタリと張り付いてきて阻止してくる相手に。
「ハハ!!焦ってるなぁ!?」
焦るサルカズとは真逆に、狩人は愉しんでいた。死闘感こそ無いものの、初めて相対する狩人ではない人間の相手は愉しいようだ。
狩人達とは違って、最初から人間を相手取るための動き。それは狩人のスリルを掻き立てて仕方がなかった。
「さあどうする!」
「(サルカズ語)ちぃ……!!死ねぇ!」
サルカズが振るった大剣はいとも容易く避けられ、お返しと言わんばかりに刃が振り抜かれる。振り抜かれた刃がサルカズの横っ腹を切り裂き、それに反撃しようとサルカズが大剣を振るうがその瞬間、発射音が鳴り響く。
「(サルカズ語)なっ……!?」
「ほぉ、至近距離なら変わらず効くのか。ならばモツ抜きも出来るな」
その発射音の正体はエヴェリン。今の今まで使う事なく左手に握られていた銃が、今サルカズへと牙を剥く。至近距離で水銀弾を当てられたサルカズの腕が衝撃で一瞬、動きが止まる。だがその一瞬は、狩人にとって十分な時間だ。
「では、貴様の内臓を頂くとしようか」
月光の聖剣を地面へと放り捨て、空いた右手を貫手のようにして相手の腹へと突き刺し、内臓を掴みそのまま勢いよく体外へと抜き出す。
痛みに悶えている敵の体勢を崩すようにタックルを仕掛け、相手が倒れ込んだ隙に手放した月光の聖剣を握り直す。
「この大地の住人でも内臓をブチ抜かれたら効くのだな、良い知見だ」
倒れ込んだサルカズを見ながら、モツ抜きが効くことを知ってうむうむと満足げに頷く狩人。だかその瞳は依然敵を捉えており、殺すという意志がひしひしと伝わる。
「では、そろそろ終わりにするとしよう。周りの方も終わりそうなのでな」
月光の聖剣へと手を翳す。大刃は月光の光を帯び、本来の姿を取り戻す。暗く光る刃は確かに、月光の聖剣と呼ぶに相応しい物なのだろう。
「(サルカズ語)なんだソレは—ッ!」
姿を変えた月光の聖剣に驚くサルカズに、狩人がどう見たって敵に当たらない距離から聖剣を振るう。その振るわれた刃は光波を生み出し、敵へと一直線に進む。
「(サルカズ語)ガッ……!!」
その光波をマトリックスさながらの動きで避けたサルカズは、しかし内臓の負傷により体勢を戻さずに倒れ込んでしまう。
……サルカズは見た、自身の前に立つ敵が、光る大剣を空に掲げ、自分へと振り下ろす瞬間を。自身の死を。
「では、お終いだ」
振り下ろされた光刃はサルカズに食い込み、そして衝撃波を出しながらその姿を消していく。
神秘をモロに喰らったサルカズの肉体は跡形も無く消えており、そこにある血溜まりが、敵が存在していたという事を示すのみだった。
「ふぅ……終わったな。うむ、中々に愉しめた」
相手との一騎打ちも終わり、周りを見渡せば既に戦闘は終わっており、部隊員が逃げおおせようとする敵を追撃している所だった。
「……私がやる事は特に何も無さそうだな。ケルシーの元へと戻るか」
かくして、テラにおける初めての狩人の狩りは今、終わった。
戦闘シーンが苦手、ハッキリわかんだね。
*ヤーナムステップ
敵をロックオン時、回避ボタンを押すと出る動き。無敵あるしスタミナある限り何回でもやれるし、狩人さん達はこれに頼りっきり。んもーマジで強い。けど、こんなんあっても死ぬ時は死ぬ。それがヤーナムだ。
作者はエルデンリングのローリング回避が妙に肌に合いませんでした()
狩人はどこら辺でテラから退場するのがいいか
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バベル崩壊に合わせて。
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ロドス設立以降。
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ずっと居れば?
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貴様!地底から逃げる気か!!!