灰は龍炎に惹かれて   作:ジルバ

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フロストノヴァショックは多くのドクターに大きな衝撃を与えました。
かくいう私もその一人……
14章で紛い物とされた彼女の姿、真にしたい(静かな意思

あと誤投稿申し訳ないです……(土下座




第10話:スノーデビルと白ウサギ

抗う意思を持たぬ者達からの略奪に明け暮れてばかりであった感染者監視官達が勇猛なる戦士たちの猛攻に耐えられるはずも無く、彼等が一人残らず殲滅され、見張り塔が完全に制圧されるのにそう時間はかからなかった。

 

しかし、この戦闘はタルラとアッシュにとって前座でしかないのだ。

 

「姐さん!この人たちがさっき助けてくれたんだ!」

「構えを解くな」

 

凍て刺すような冷気を放つコータスの女が眼前のタルラとアッシュをその鋭い眼で睨んだまま、スノーデビルの隊員にぴしゃりと言いクロスボウを構えさせる。

 

アッシュは己が相手に平静を装えていることを祈り、兜の中で深呼吸を繰り返す。

 

戦闘後に白装束の戦士たちが“スノーデビル小隊”なる遊撃隊と共に行動していた部隊であることを彼等自身から聞かされた。

確か“雪の悪魔の伝説”として感染者たちの間に噂になっていた小隊だったはずだ。

 

我々が彼らと交流を試みようとした時に、その白きコータスは現れた。

 

触れただけで折れてしまいそうな程に細い四肢と雪のように白い肌をしたその女は儚げな印象を抱かせる美女であった。

 

しかし─美しい花には棘があるとはこのことか

 

離れているにも拘わらず凍傷を起こしかねない程の凍気、底冷えするような無機質な声、そして──歴戦の戦士特有の秘められた闘気……あるいは殺意。

 

彼女の放つソレによって己は今までぬるま湯に浸かっていたのだと私は目を覚ませられた。

目の前にいるコータスは今まで相手にしてきた監視官や軍の兵士などとは比べ物にならない強者だと嫌でも分かるのだ。

 

──本気で戦わねば……殺される。

 

アッシュの“ゲールの大剣”を握る手に自然と力が入っていた。

 

──呼々、この感覚をしたのは……王たちの化身と対した時以来か

 

(…いや、落ち着け。我々の目的は対話で以て成されるものだ。決して彼らと殺し合いしに来たのではない。)

震える(昂ぶる)己の精神を鎮め、タルラを見やる。

 

「……タルラ、分かっているだろうが彼らは強い。……特にあのコータスは別格だ。…私の出番が来ないことを祈るぞ…」

「あぁ、任せろ」

アッシュに小さく首肯を返したタルラは前へ数歩進み、コータスの女──フロストノヴァを真っ直ぐ見据える。

 

「噂通り、お前たちの傍は本当に寒いんだな、スノーデビル。真冬でただでさえ寒いのに、それを凌ぐ寒さだ。……お前が指揮官だな?」

「……お前は、感染者か?」

「あぁ」

(対話には応じてくれた……が、彼らは今まで出会ってきた感染者たちとは毛色が異なる…お手並み拝見だ。頼むぞ、タルラ)

 

「ならば、何故ウルサス将校の服を着ている」

(……やはりそこに食いつくか。……いい加減衣替えするべきだと進言するべきか──)

 

 

「色々話を作ったが、どんな理由が聞きたい?」

 

(………………???????????????)

 

……私の耳は凍り付いてダメになってしまったのだろうか?

 

「矢を放て」

(……ハ!?ま、不味いッ!)

思考停止してしまっていた状態から何とか立ち直り、アッシュは“呻きの盾”を装備しタルラの前に躍り出で、襲い来るであろう矢の雨に備える…

 

(……む?)

が、構えた盾は矢を一本も受けることはなかった。

 

「なぜ撃たなかった?」

「姐さん、その人たちはさっき本当に助けてくれたんだよ。…噓じゃないんだって!」

 

(どうやら先の戦闘での助太刀は無意味ではなかったようだ。しかし……)

 

防御態勢を解いたアッシュはタルラを睨みつけるが彼女の目はフロストノヴァを真っ直ぐに見つめたままだ。

 

自信満々で私に任せろと言った以上策は練った筈だ。ではさっきのは何だ??

もう少しマシな切り出し方は無かったのか、タルラ???

 

(……先行きが不安になってきたぞ…いや、信じろ。私はそう在ると決めただろう)

 

“ゲールの大剣”をソウルに戻し、代わりに“幽鬼のジャベリン”を持つ。

……撤退戦に備えてのものだ。断じて彼女を信じ切れていないのではない。

 

この槍の戦技があの戦士たちに通用するのか…せめて牽制くらいには機能してもらいたいものだ。

 

「その通りだ、スノーデビル。私たちがここに来たのは協力を仰ぐため、そしてお前たちを助けるためだ」

「……私たちを助けるだと?」

「握手といこうじゃないか、スノーデビルの隊長。誠意を表すには、平等で尊厳のある方法を用いたい。双方が尊厳を保ったまま、落ち着いて話をさせてはくれないか?」

 

タルラは私に…そして感染者たちに語った時と同じ眼でスノーデビルの頭目へと手を伸ばした。

 

「断る」

 

……しかし返ってきたのは拒絶だった。

 

(タルラは調子を取り戻したようだが……スノーデビルの隊員たちはともかく、あのコータスの隊長は一筋縄ではいかんか。──だがな)

 

アッシュは兜の内でほくそ笑んだ。

 

この娘(タルラ)は諦めることを決してしない。そのひた向きさで今まで信頼を得てきたのだ。スノーデビルの長よ、お前が折れるまでタルラは──)

 

「……やるしかないか。私もお前のことは少しは知っている」

 

(…………)

 

「彼らが背負っている源石結晶がお前のアーツの源だろう。──私がお前の氷を溶かすことができたら話を聞いてくれるか?」

……待て

「…大口を叩くな。出来もしないことを……!」

「おい」

「試してみれば分か──」

 

待てと言っているだろうが

 

 

その声は思いのほか大きく、ずっと黙り込んでいた男が初めて声を発した故か、この場にいる全ての者達の視線が一斉にアッシュへと向く。

 

それに気に留めることなくアッシュはタルラの両肩に手を置き、兜が彼女の額にぶつかるほどに顔を近づける。

 

「ア、アッシュどうし「タルラ?お前と私達は遊撃隊に誠意を持った対話で以て協力を仰ぎに来た…そうだな?私にはお前が今から力で信頼を勝ち取ろうとしているようにしか見えなかったんだが???」……そうだが?」

「お前……」

「君も聞いていたろう。彼女に信じてもらうには言葉だけでは難しい。ならば私の炎でスノーデビルに認めてもらう他は無い。」

 

……この娘、思考が我々(不死者)寄りになっていないだろうか。原因は私か???

 

スノーデビル達に視線を移してみれば、あの白ウサギの周囲に氷塊が漂い始めており、両手に短剣とアーツユニットらしきものを握りしめていた。

 

…時既に遅しというやつだ

 

「……」

「私を信じていろ。必ず勝ってくるさ。」

(ハァ……心配する身になれと言った筈なんだがな……)

 

……アリーナ、君は凄いな。この龍女の相方としての苦労は計り知れん。

…帰ったら今までの苦労を労ってやるべきだろう。

 

──こうなった以上仕方ないと割り切るしかない。…さぁ、切り替えて今の私にできることをするとしよう。

 

……困った娘だ

「え?」

「……いや、すっかり考え方が私達(不死者)に似てきたな…と思ってな。……好きにしたまえよ」

 

アッシュは踵を返しその場から去るために足を動かし始める。

 

「巻き込まれては敵わん、私は遠巻きから見物させて貰う……雪の悪魔に打ち勝って見せろよ?我らがリーダー!」

 

──騒ぎに釣られ集まるであろう()()()の掃除は私がやっておこう。君が存分にその美しく、苛烈な焔で氷を焼き溶かす様をスノーデビル達に見せつけられるように。

 

「…分かった!その眼でしっかり見ていてくれッ!!」

 

去りゆくアッシュの背中にそう返してタルラは臨戦態勢に入ったフロストノヴァと相対する。

タルラの右手に握る剣と左の掌を轟々と燃え盛る炎が彩る。

 

(……今日は反省点が多い日だ。皆の導き手としても──彼の友としても)

 

さぁ、今後にその反省を活かす為にもまずはこの戦いで彼女と分かり合おう。

 

タルラの炎の熱気とフロストノヴァの纏う冷気が鬩ぎ合う。

 

開戦の合図は人知れずに切られた。

 

「……来い」

「あぁ……ゆくぞッ!」

 

──龍炎の剣士と雪原の悪魔が激突した。

 

 

 

 





あ  と  が  き

言葉は不要かの思考になるその様はまさにチェン隊(ホリデーストーム
だけどそこが良い!!
(この後の二人の戦闘は次回に)ないです。
あくまで今作はアッシュが主人公ですからね、仕方ないね♂
きっと未来に放映されるであろうアニメで派手な戦闘を繰り広げる筈なんで、そっちで補完してください!

……え?予告のタイトルと違くない?って?……申し訳ナスです


誤字脱字……主に誤字の報告に“感謝を!”

次回、Devil may smile (仮称

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