ドーモ、読者=サン。ジルバです。
完全に別ゲーの話ですが“某人理を取り戻すゲーム”のリチャード一世の三臨を初めて見てフロム脳が加速しちゃったので投稿しちゃえ!ってなった次第。モーションも宝具BGMも良すぎィ!
誤字脱字の報告をくださった方々に“感謝を!”
プロローグ除いて今回でパート⑨ですね。ナインボー
いや~ようやくここかって感じだァ……
タルラ達が旅に出てから数年が経った。
その間に彼女は多くの感染者を擁し、先頭に立ち戦士たちと共に戦ってきた。
私自身も彼女の下に集った戦士たちと酔えぬはずだった酒を飲みかわす位の仲になるくらいには戦場を共にしてきた。
……聞かれたので聞かせてやった己の素性を酔っ払いの戯言として酒の肴にされたのが記憶に新しい。二度と語ってやらんと心に誓った。
「間違いない。ここだ」
そんなアッシュと感染者の戦士たちを引き連れたタルラはかつて都市だった場所を訪れていた。
除雪されることなく降り積もったままの雪に埋もれたその廃墟街には住んでいるはずの住民の姿は影も形もなく、彼等の営みの跡だけが残されていた。
「……都市が廃棄されてから大体十年といったところだな」
「一体どんな大貴族の領地だったんだろうか?」
しかしアッシュにとってこういった景色は見慣れたものだ。その背景などどうでも良い。
タルラと一人の感染者の戦士の会話を右から左へと聞き流しながら、アッシュは周囲の安全の確保を兼ねて廃墟を探索し始めた。
タルラの話の断片からこの都市の資源は持ち去られた後のようだが、彼にとって探索の成果とするのは……
「……よし、収穫アリだな……ククク…」
制式鎮圧用装備 1
彼に役立つもの全てだ。
アッシュは瓦礫の下敷きになっていた死体の握りしめていたソレを奪い、ソウルに収める。“逃亡騎士の兜”がなければ彼は邪悪さを感じ取れるほどの笑みを張り付けたその様を隠せていなかっただろう。
「タルラ!?一人で行くのか!?」
「一人で行かせてくれ。
新たな
そもそもタルラ達がこの場所に赴いた目的は“遊撃隊”なる集団に接触することだった。
──遊撃隊
感染者の集団であり、元ウルサスの軍人だった“サルカズ”に率いられる遊撃隊はこの冷たい雪原で密かに行動し、“感染者の盾”としてウルサス軍や監視官と戦っているというのだ。
遊撃隊を立ち上げたという“パトリオット”なる者が何者かは知らないが、感染者の境遇に何かしら思うところがあったからこそ“感染者の盾”などとして戦っているはずだ。
とはいえ……正体不明な存在であることには変わらないが。
「待てタルラ!本当に剣一本だけで行く気か!?」
「名簿と通信チャンネルも持っているぞ!お前達も覚えておけ。こういう物は剣なんかよりも重要なんだ!」
制止しようとしていた感染者戦士を言いくるめたのかタルラは一人で廃墟街の奥へと歩いて行った。
「はぁ……俺達はタルラの力になりたいだけなのになァ……」
「またタルラの悪癖が出たようだな」
「うぉ!?ア、アッシュ……いつの間に……」
「……さては貴公もタルラも私の存在を忘れていたな…?」
「い、いや!そ…んなことないぞ…?」
(……“見えない姿”を使った覚えはないのだが…)
「俺達はタルラを信じてる。……けど、一人で本当に大丈夫だろうか…」
「……貴公等も不安よな。──私が行こう」
「へ?」
「……それで……来たのか」
「あぁ」
堂々とした佇まいでそう返したアッシュにタルラは思わず苦笑する。
「……君のことを失念していたのは…その……すまなかった。改めて君にも指示を──」
「待て」
皆と共に待機している旨の指示を出そうとしたタルラだったがアッシュが手で制止し、それ以上を言わせなかった。
「「待っていろ」…と言うつもりだろう?」
「……あぁ…聞いてはくれないか?」
アッシュは被りを振る。
「悪いが聞けんよ、それはな。そっちこそ一人で行くのをやめる気はないのか?」
「……何が起こるか分からないんだ。彼らを喪うことだけは避けたい」
「……タルラ、一つ質問しよう」
「何だ?」
「まず我々がここに監視官の殲滅を目的に訪れていたとしよう。その時だ。監視官側のウルサスの将校の装束を着込んだ自分を感染者と名乗る得体の知れぬヤツが一人現れて「話をしよう」などと言って接触してきた。……さて、タルラよ。ソイツの言う事を信じられるか?」
亡者が一体しかいないと思っていた部屋に誘い込まれた瞬間に袋叩きに遭う…なんてことで何度も死んだものだ。
…まぁ、そんな経験をしていなくても誰だって思うだろう
──怪しい。何かの罠だ、と。
「…完全には……できないな」
タルラは些か浅慮だったことを痛感する。……こうも分かりやすく説明されると、だ。
そうだった。遊撃隊もまた、自分たちと同じようにウルサスに敵対する身──敵がどこに潜んでいるのか分からないのだ。
(確かにそうだ。……だが…)
「君は物事を一人で抱えようとしすぎだ。少しは私達を頼るべきだと思うぞ?」
「……君達は私にとって大切な同胞であると同時に感染者にとっての希望でもあるんだ。そんな君達を喪うのは大きな損失だ。それを防ぐ為にも仮に遊撃隊と交戦した際の被害は最低限に留めたいんだよ」
「その最低限のリスクが君の命か?」
「……別に死ぬ気はないぞ」
私は兜に手を当て天を仰ぐ。
私もアリーナほどではないがタルラのことを理解してきたつもりだ。彼女の良い面も、悪い面も。
どちらの性質も彼女の美徳ではある。現に多くの人がタルラの言葉に救われ、彼女の姿に奮い立ったのだから。
……とはいえ、この猪突猛進な悪癖だけは直してもらいたいものだ。でないといつかその身を滅ぼしかねん……。
(……仕方ない、この問いはする気はなかったが…)
「……ならばタルラよ、二つ目の問いだ」
「まだあるのか」
「出す気は無かったさ。…諦めが悪いのも一長一短だな」
「単刀直入に訊こう。タルラ。君はアリーナが死地に赴こうとするのを黙って──」
「行かせる訳ないだろッ!!?」
タルラの怒号が空気を揺らし、沈黙が流れる。
しかしそれも一瞬のことで、タルラの方からその沈黙が破られた。
「……すまない」
「いや……それで良いんだ。私だってそんなことは看過できんよ。だがこれで分かったな?今の気持ちを君が置いていった者たちもしていた筈だ」
だから、とアッシュはタルラの目を真っ直ぐに見据えて続ける。
「今回は仕方ないとしてもだ。──君を一人で行かせてしまった彼らの気持ちを汲んでやってやるべきじゃないか?」
私があの感染者の戦士たちを代表して言う資格があるとは思わないが、彼らの──アリーナの想いは誰かがタルラに届けるべきだと思った。
タルラは目が僅かに見開き、反芻するように握りしめた右手を胸に置き、目を閉じる。
再び開かれた眼でアッシュを見返す。
「…そうだな。ありがとう、アッシュ。……帰ったら皆に謝らないとな」
「そうすると良い。…さて!その為にもさっさと件の遊撃隊を見つけねばな」
タルラとアッシュは既に廃墟街の中心部近くまで進行していた。
ここまで来たのだ。収穫なしで同胞たちの元へ帰るわけにはいかない。
「君は今までに多くの感染者の心に火を着け、団結させ、ウルサスに抗してきたのだ。そのことを語れば遊撃隊も耳を貸さないなんてことはないだろう。……信じているぞ、“リーダー”」
「……!あぁ、その信頼に応えてみせるよ」
ドォォーン…!
その時だ。タルラとアッシュは爆発音を耳にしたのは。
二人が音源へと視線を動かすと、高塔から黒煙が立ち上っており、そこから戦闘音が聞こえ始めた。
「近いな」
「恐らくあの塔は監視官の見張り塔だな。百戦錬磨の遊撃隊だ。戦闘は一瞬で終わる……行こうッ!」
「そうだな──じゃあ、行こうか…!」
駆けるタルラとアッシュ。
タルラが剣を引き抜き、左手を燃やし、
アッシュが“ゲールの大剣”と“粗布のタリスマン”を装備する。
間もなくして突入した二人を出迎えたのは
──酷い寒さだった。
凍てついた空気の立ち込めた塔の中で、黒と白の装束の集団が乱闘を繰り広げていた。
黒装束が監視隊なのは言うまでもない。あの白装束が遊撃隊だろうか?
「!?なんだきさ──」
グシャリ……
だが今はあれこれ考える場合ではない。
タルラも同じ考えだったようで、アッシュとタルラはほんの一瞬視線を交わし──
((二手に別れよう))
その場から弾かれ合うように地を蹴った二人が監視官へと襲い掛かる。
白装束の小柄なアーツ術師に剣を振り下ろさんとしていた監視官の頭上からアッシュが奇襲を仕掛け、両手に持っていた“ゲールの大剣”と“ロスリックの戦旗”で貫き地面へと縫い付ける。
「おい!大丈夫か!?」
「すみません、兄さん……」
「手こずっているようだな、手を貸そう」
「ッ!ア、アンタら一体…」
「話は後、まずは──」
アッシュが持っていた“ロスリックの戦旗”を床に突き立てると、たなびく幻影の旗が顕れ、眩い光を放つ。
戦旗の光を浴びた白装束──スノーデビル小隊の隊員達は体の底から力が沸々と湧いてくるのを感じた。
「──この殲滅作戦を終わらせようッ!」
制式鎮圧用装備
ウルサスの軍警の制式装備
断続的に失明のアーツを放つ機能があるが、
アーツ適性を持たぬ身では行使できないようだ
今は亡き持ち主と同じようにただがむしゃらに振るうしかないだろう
ダークソウル要素が薄い気がする今回のあとがきの時間だ!T
チェンと血を分けた姉妹なだけあって猪なタルラ。彼女にはアリーナのついていけない戦場で手綱を握る誰かが必要でしょう。まぁ結局奴の芽吹きは(赤霄・抜刀
話が変わりますが、フロムゲーには必ず一人か二人は設定やビジュアルだけじゃなくてスペック面で見ても実力者なNPCいますよね。
伝説レベルな黒鉄のタルカス、数多の狩人を夢送りにしてきたカインの流血鴉、耐久力が尋常じゃない背律者ベルナール、ハードモードで再起動して本気で殺しに来るÙnknown etc……
サブタイトルの元となったエルデンリングの協力NPCである大角のトラゴスも固くてジェスチャーで挨拶してくれる頼りになる鈎指で、しかも三回も協力してくれるんですよ!聖人ですね!
……一回しか殺せませんよ、そんな人…
次回、スノーデビルと──
お楽しみに~
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