前回については本当に申し訳ない(某博士
ワタシハナニカサレタヨウダ
いやー…初投稿からそんな経ってないから全然感慨深く無いですね……。
まぁともかく今年もよろしくお願いします&頑張っていきましょう!
今回でようやく物語が動き始めます。
……ん?
ご友人!さぁ一緒に踊りましょう!
ファッ!? 初夢なら覚め──
「…ふぅ、ひどい目に遭った……」
皆が寝静まった深夜、食卓に座り息を吐きそう独り言ちたアッシュは逃亡騎士の姿ではなく、“レオナールの上衣を”身に着けていた。
帰宅したらアッシュたちを待っていたのは老婦人による説教と血で汚れた衣服と体の“洗濯”であった。アッシュの目の前には洗濯籠から回収したずぶ濡れの黒鉄の鎧兜と襤褸の外套が置かれていた。
そしてアッシュは珍しく兜を外しており、外気にその顔を晒していた。
視界を妨げぬよう乱雑に切られた色が抜けきったかのような白髪、そして淡い青をした切れ目の下には隈ができており、瘦せこけた彼の顔は不健康な西洋人のものであった。
火の無い灰となり果てた彼には喪うための人間性すらなく、亡者になることはなくなった。
手で己の肌に触れても干からびた薄皮の感触が返ってこないのが自身が亡者でない証拠
である。
それでも己を包み隠し続けるのはそうだと分かっていても...怖いからだ。
素顔を晒した自分を亡者だと、化け物だと拒絶されたらと思うと──
コンコン...
居間の戸を誰かが叩く。
臆病な自分に自己嫌悪していたアッシュだったが、意識を切り替えすぐさま適当にソウルから見繕った“騎士の兜”を被り再び顔を隠す。
程なくしてギィ...と軋む音を鳴らしながら開かれた。
「タルラ?」
「こんばんは…フフ、周到だな、替えの兜まで持っているのか。…昨日もだが寝具を広げた形跡が見当たらないな...寝ないのか?」
「昨日までは必要ないと思っていたからな...だが、懲りたよ。人ならば…寝るべきだ」
「寝ないと身体に悪いぞ……と言った手前で悪いが少し時間をもらえないだろうか?」
「ん…?構わんが」
「ありがとう。早速単刀直入に──」
アッシュの目の前まで足を進め、立ち止まる。
「正直に答えてくれ。アッシュ……君は何者だ?」
空気が緊迫したものに変わった。
「……何者か…言ったろう、私は──」
「ロードラン、ロスリック…君の故郷と言ったその地の名はテラに存在せず、アーツユニットが搭載されていないにも関わらず摩訶不思議な現象を巻き起こす武器の数々、そして何より……君はこのテラについてあまりにも知らなすぎるんだ」
(…少々ボロを出しすぎたな)
「頼む…私の質問に答えてくれ。アッシュ…」
タルラの放つ眼光が人を射殺せると思わせるほどに鋭くなる。…彼女とはやり合いたくはない。
「分かった。…が、その前に一つ明らかにしたいことがある」
「明らかにしたいこと?」
「あぁ」
ハッキリさせておきたいのだ。この世界が本当に私のいた不死の呪いが蔓延していた世界と違うのかを。
アッシュは徐に“騎士の兜”に手をかけ、躊躇なく脱ぎ去った。
片時も兜を外さなかった彼があっけなく兜を外したことにタルラは虚を衝かれ、思わず彼の顔を見つめてしまう。
「どうした…私の顔は…おかしいか?」
「いや?印象よりも若かったんだな…と思っただけだ」
「……そうか」
(兜を外そうとしなかったのは顔にコンプレックスでもあったからか…?いや、そんなことは今気にすべきことじゃない…)
「君に見せたいものがあるんだ」
椅子から立ち上がったアッシュが顔をタルラの目の前まで近づけた。
「なっ何…を──」
思わず後退しようと咄嗟に右足を後ろへ一歩動かしたタルラだったが、それ以上動くのを止めた。
(なんだ、これは……?)
アッシュの眼──瞳孔に刻まれたソレに目を奪われたからだ。
「その様子だと見えているな?」
「これは……
そう、輪があった。陽炎のように絶えず揺らめく火が形を成し、黒い瞳孔よりも暗い闇を囲む輪が。
「これは“ダークリング”という。この印が顕れた者は不死の呪いによって死んでも何度でも蘇る……そんなシロモノだ」
「不死だと…?」
「このテラに不死の人間はいないのか?」
「人間は一度死んだら終わりなんだ……当然だろう」
読んだ書物の中にに“獣主”やら“歳”やらといった不死であるように書かれた存在が居たので確信ができなかったが……タルラの反応を見るにテラには不死は在りえないようだ。
──私がこの世界でどういう立ち位置になるのかへの推論が確信に変わった。
「……参ったな、荒唐無稽な話なのに君が噓をついているように感じない…」
「信じるかは君に任せるよ」
「……君の話が本当なら君は不死なんだな?」
「何ならここで証明してやれるが「やめろ」……はい」
「話を戻そう。少なくとも私の知る限りでは死んでも蘇る術も人間もテラには存在しないはずだ。…君に纏わるもの全てがこのテラに存在していない……益々君のことが分からなくなったぞ……」
「なんだ、答えに至りかかっているじゃないか」
「なんだって?」
「ククク…簡単な話だ──私はこのテラへと転移してきたのだよ」
私は食卓に顔を埋め、アッシュの常識の範疇を超える話の数々を整理し、理解に努めていた。
「……」
「……すまん、説明下手で……」
どういう経緯で転移したのかを聞いたのが悪かった。
そこから彼の口から語られる神話のような世界と彼の冒険譚の情報量はあまりにも……多すぎた。
彼が自分のいた世界からテラに転移したと仮定するならば、テラに関する知識が欠如していることにも、彼の素性の得体の知れなさにも説明はつく。
……しかし…駄目だ。飲み込み切れない……
「……私の世界のことは忘れてくれて構わない。ただ、私も……“最初の火の炉”で使命を果たしてからの記憶がない。気がついたらあの森にいたんだ。本当に転移したのかも定かでは……」
「……信じるよ、君が頑なに兜を外そうとしなかった理由も知れたしな。……笑って悪かった」
「気にするな。染みついた習慣でしかないんだからな」
「……詫びというわけではないが、私も君に明かすとしよう──」
彼がコシチェイの人脈からの間者や刺客ならば私に接触する為にこんな荒唐無稽な身の上話を用意する筈が無い。
そして彼が素直でないながらも心根が優しい人だと分かっている。
彼になら……私が去った後も任せられる……信じよう、彼を
「──私も感染者なんだ」
タルラの突然のカミングアウトにアッシュが目を僅かに見開く。
「そうだったのか。いや……そうだ、感染者は体内の源石を媒介してアーツユニットなしでアーツを行使できる…君が手から炎を放っていた時点で察するべきだったな。……しかし何故今になって私に?」
──感染者も、非感染者も、私から言わせれば…どちらも“人”だよ
「……伝えておきたかったんだ、この村を去る前に……君の言葉に感染者の一人として救われたことを」
「去るだと…?どういうことだ?」
「私はこの村で爺さんと婆さん、そしてアリーナに長いこと世話になっている。だが、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。……何より私の夢はここにいるままでは叶わない」
「“夢”…?」
椅子から立ち上がったタルラは台所の近くにあった床下収納庫を開き、その中から一振の剣を取り出した。
「感染者となった者たちは人として持っていた権利と未来を奪われ、居場所を失い、差別や迫害を受ける──私はこんな世界を変えたい……。その第一歩としてまずはこの腐ったウルサスに挑む…!」
それを聞いたアッシュの眼が冷徹なものに変わる。──まるでタルラを見定めるかのように。
「…君一人で?……とんだ夢物語だな」
「いいや、団結するんだ。同じ境遇である感染者同士で」
「成程、君が纏め上げるわけか」
「違うな」
「何……?」
「誰か一人に率いられるのではなく、皆が各々の信念の下に手を取り合い立ち上がるべきだ」
「……そうかよ…で?この広大なウルサス、そしてテラ全体に散らばる感染者達をどう団結させるのだ?」
「……そうだな、メッセージを伝え、皆の手で広げていくなんてどうだ?」
「わ、私に相談するのか……そのメッセージとは何だ?」
「そうだな……」
──『あなたたちは独りではない』、『私たちの命には意味がある』
「……なんてどうだろう?」
「────」
アッシュの双眸が大きく見開かれる。
その言葉は鉱石病に全てを奪われた感染者にとって心の支柱となるだろう。
──不死者たちにとっても…そうなっただろうか?
奪われた人として持っていたモノを取り戻す為に手を取り合って立ち上がろうなどと誰も考えてすらいなかった。
私達は……勝手に抗えぬ運命だと諦めていた。
──彼女のような者があの世界に居たら……どうなっていただろうか?
アッシュの心奥で好奇心が燻る。
「アッシュ?」
「……タルラよ。二度使命を貫き通した者である私が君に──貴公に問おう」
その夢は困難を極めるだろう。
そして、難業の道程には得てして数多の、そして強大な障害が付き纏うものだ──
「──覚悟はできているか?」
「…あぁ、もちろんだとも。──絶対に成し遂げてみせる……!」
(……あぁ、良い目だ。“王たちのソウル”が垣間見せた薪の玉座への道を駆け抜けた勇者達と同じ目だ。)
彼女が夢までの道程をどう生き、そこに至れるのか否か──
──新しい…惹かれるじゃあないか…ッ!
好奇の炎が燃え上がった。
「……話し過ぎてしまったな。けど有意義な時間を過ごせた。お陰で気が引き締まったよ。……勝手で済まないが…アリーナ達を頼む」
「…すまんな、タルラ。私はやりたいことができたんだ」
「……そうか。村にまた監視官が感染者狩りにやってきたときに備えて君には村にいてほしかったが、仕方ない。…旅に出るんだな?」
しかし、アッシュは頭を振り、ニィッと口角を上げた。
「──君についていきたくなった」
「………ハァッ!?な、何を言って……」
「私は君の夢に共感し、興味を持った。夢へと進む君を見届けたくなった」
「な……」
「あぁそれと、君はこの村のことを憂慮しているがその必要はないそうだぞ?」
「っ!?ど、どういうことだ!?」
「この村は近いうちに別の場所に移るらしい。そして村に感染者がいるという事実を監視官どもが持ち帰らなかった以上、村の皆が口裏を合わせればなんとかやっていけるだろう、とな。
──そうだろう?アリーナ」
「……タルラ」
「アリーナッ!?」
アッシュが声を掛けると先にタルラが入ってきた戸が開き、アリーナが入ってきた。
「……いつから聞いていた?」
「アッシュが自分のことを貴方に語り始めたところからかしらね」
「かなり前から聞かれていたな……」
二人の会話を尻目にアッシュは出立の準備を始める。
逃亡騎士の甲冑を身に着け、愛武器の一振である“クレイモア”を背負い、奇跡の触媒として“聖職の聖鈴”を外套の裏に仕込み、愚者派生の“セスタス”を左手に嵌める。
「タルラ…私も行くわ」
「何を馬鹿なことを!?君は──」
「貴方を放っておけないもの。それに…私も感染者だから」
ちなみに、アリーナが感染者であることは感染者や源石について教わった際に知らされていた。
(これで良し。…そうだ、イヴァン爺と婦人にも礼を伝えねばな)
もはや何の役にも立たない青教の羊皮紙に老夫婦への書置きを書き終えた頃にはタルラはアリーナに根負けしていた。
「話はまとまったようだな」
「はい!」
「…納得はしていないがな……」
「それは何より。…夜明けまでまだ猶予がある。世話になったイヴァン爺たちに置き手紙でも書くと良い」
「……そうだな」「そうさせてもらいます…」
──早朝、イヴァン老夫婦が起床した時にはタルラも、アリーナも、そしてアッシュも家にはおらず、食卓の上に青ざめた羊皮紙に包まれた二通の置手紙が置かれていた…。
“アッシュの書置き”
イヴァン老夫妻へ
この度は私のような浮浪者を家に泊めてくれたこと、感謝する。
これを貴方がたが読んでいるということはタルラとアリーナは家を立っているだろう。
……どうか二人の手紙も読んであげて欲しい。貴方がたを実の親のように慕い、想っていることが手紙の内容を推敲する姿から伝わったよ。
二人に如何なる災いが降りかかろうと、私が守り抜いて見せよう。
我が命に懸けて
アッシュより
新年に旅立つとは……素敵だァ…おや?
おぉ!ようこそ、読者の皆様!!私はしがないドーザーのブルートゥと申します!
ご友人…おっと筆者は今、踊り疲れて眠っていらっしゃるので私があとがきを務めましょう。
ご友人はタルラ嬢とアッシュ氏の問答を一から考えるのに大変苦労したようです。
特にタルラ嬢にダークソウルの知識を教える場面が辛そうでした……ただでさえ歴史のある作品故仕方ありません
私としてはタルラ嬢とアリーナ嬢の残した手紙が気になりますが……ご友人に聞かなければいけませんね…
さて、これで今回伝えるべきことは…あぁそうだ!
誤字脱字の報告、感謝します!それとこれは私的なお願いになりますが、今作を読んだ感想を是非送ってみてください!ご友人の執筆活動の大きな支えとなることでしょう
それでは皆様、良いお年をお過ごしください!
それと、もし機会があれば私のグリット012にお越しください、歓迎し──おや?
──ジェネレータ出力再上昇 オペレーション、パターン2
おぉ、ご友人!新しい衣装で踊ってくれるのですか!素敵だ…
さぁ、共に楽しい時を過ごしましょう!