ことしの夏、仲間内集団走行
の時、峠の高速コーナー連続
区間に差しかかった。
私がゼファーχでスーッと先
頭に行き、快速巡行旋回クル
ージングしていたらヤマハR1
乗りが背後について来た。結
構いじっているR1だ。
ほんの少しペースを上げた。
コーナーごとにどんどん離れ
て行く。
休憩時に停車した時R1乗りが
言う。
「え!?このゼファー、400だっ
たんだ!750か1100かと思っ
た」と。
何故そう思ったか尋ねると、
「コーナーの立ち上がりごと
にグーンと離されるから」と
の事。
差がつくのは排気量ではない。
乗り方、走らせ方の違いだ。
直線だったら大排気量の車の
ほうが絶対的に速い。
だが、曲線連続路ではそうで
はなくなる。
典型的な例が1980年代末期の
筑波サーキットで、あのタイ
トなコースでは250のほうが
500のGPマシンよりも速いタ
イムを叩き出す事も結構あっ
た。
なぜか、なのだ。
詳細は割愛するが、あの80年
代末期の現象は、マシン特性
の違いによるコーナーの走り
抜け方に違いが生じるからだ
った。
そして、今夏の出来事は、そ
うしたマシンの違いによるも
のではなく、「走らせ方その
ものの違い」により差異が生
じたのである。
つまり、旋回エイペックスの
その一点では速度差は無くと
も、旋回に入るまでと旋回か
らの脱出速度とラインと車体
操作の違い、しいては旋回全
体の速度アベレージがまるで
違うので現実的に走行に違い
が現出したのだ。
だからこそ、コーナー立ち上
がりで399ccマシンが998ccに
大きな差をつけてグーンと先
に消えて行ったのである。
ただそれだけの事。
この先行する250マシンのよう
な感じ。
しかし私の今夏のケースの場
合、一般的に考えられがちな
「単に旋回速度を上げるだけ」
という危険な事は一切やって
いない。
コーナーへのアプローチ時点
での短時間減速操作コントロ
ールとそれに連続する旋回操
作、物理的な旋回エイペック
スからクリッピングまでの速
度、コーナー脱出速度、とい
った総合的な「走りの組み立
て」が現実的な走行実体の違
いとして現れただけの事なの
である。
排気量が大きければバイクは
速い、と思っているうちは若
きR1クン(彼だけでなく)は、
一生私より速く安全に二輪車
を走行させることは適わない
だろう。
上手いとか下手とかの問題で
はない。
二輪について、正しい事を正
しく理解できて、それを実行
できるかどうかの問題だ。
真剣日本刀の刀法と全く同じ。
真剣刀術に剣の理があるよう
に、二輪には二輪特有の理(こ
とわり)がある。
それを鋭敏に正確に理解把握
できるかどうかが差となって
現実に現れるだけの事だ。
それはもはや、「上手い」とか
「下手」とかの概念では括れ
ない領域に入っているのであ
る。