METAL GEAR DOLLS   作:いぬもどき

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亀裂

「いくらなんでも一方的すぎます。みんな、エグゼを助けるべきだと思います」

 

 9A91は前哨基地のミーティング室に呼び集めた戦術人形たちの前でそう言った。

 

 あれからオセロットに尋問のため連れていかれたエグゼは、スネーク不在の中誰も擁護してくれる者もいなく、彼の厳しい尋問を受け続けている。

 前哨基地の地下には当初から尋問室のようなものが存在していた。

 基地がまだどこかの国の管理下にあったその時から、その尋問室は捕虜を痛めつけ情報を聞きだすことに利用されていたようで、古ぼけた尋問の記録がいくつか残されていた。

 今はそこでオセロットの尋問室として新しく生まれ変わっている。

 

「エグゼは確かに無断で行動しましたが…だからと言ってあんな尋問を受けるいわれはないはずです。みんなでオセロットさんにエグゼの無罪を訴えましょう」

 

 同じ救出隊として彼女はエグゼの独断行動をその眼で見たが、エグゼの行動に不可解なものを感じながらも、仲間であるという認識から彼女を助けるべきだと主張する。

 そして自分ひとりだけでは助けられない、そう伝えた上で周囲の反応を伺うがあまり良い反応とは言えなかった。

 

「助ける理由なんてないわ。オセロットの筋は通ってるもの、あいつはわたしたちをだましてるのよ」

 

 WA2000は9A91の助力の願いなど興味無さそうに本をめくっている。

 彼女は元よりオセロットに同調するだろうと思っていたが、9A91は諦めずに彼女を説得する。

 

「確かにエグゼは敵でした、でも今は仲間です。司令官とエグゼの闘いをあなたも見たはずです…戦士として忠を尽くす姿を、あなたも感じたはずです」

 

「そんな不確かなもので信用しろって? お笑いだわ、忘れてるんじゃないのあなた? あいつが鉄血人形としてどれだけの破壊と殺戮をしてきたか、あいつが犯した罪は消えないのよ」

 

「なら許されない罪を一生償い続けろというのですか? わたしはそうは思いません、エグゼは生まれ変わった、MSFの家族として、司令官と共に戦う戦士として」

 

「だいぶ擁護するじゃない。大好きなスネークがあいつを受け入れたからあなたも受け入れてるだけじゃないの? 指揮官の仇を擁護するなんてあなたの気が知れないわ、死んだ指揮官も浮かばれないわね」

 

 WA2000の最後の言葉を聞いて、普段温厚なはずの9A91は怒りをあらわにする。

 咄嗟に彼女の襟を掴み睨みつけるが、WA2000はめんどくさそうにその手を払い突き飛ばす…一触即発の空気に成り行きを見守っていたスプリングフィールドが間に立とうとするも、二人の口論は次第に熱を帯びていく。

 

「はっきり言って鉄血人形がそばにいるだけで虫唾が走るのよ! あんたはどうして平気でいられるわけ!?」

 

「司令官がエグゼを受け入れた、だからわたしも受け入れたまでです!」

 

「はっ、それって結局スネークが認めたからって理由でしょ? あんた個人の意見はどうなのよ! たまには自分で考えて行動したらどう!? いつも司令官司令官って…それじゃ単なるイエスマン、旧世代の操り人形と同じね!」

 

「あなただってそうでしょう!?」

 

「わたしは違うわ。納得がいかなかったら意見するもの、中身のないあんたと一緒にしないでちょうだい」

 

「……! ワルサー、言って良いことと悪い事の区別もつかないんですか!?」

 

「あら違うの? 処刑人にやり返した時は立派だと思ったけど、結局はアンタもまるで成長してないのよ!」

 

「もう、二人ともいい加減にして下さい!」

 

 掴みかかろうとした9A91を無理矢理引き離し、先ほどから強い口調で煽っていたWA2000を戒めるように睨むが、彼女は気にもならないようで椅子に座り直しコーヒーを一口すする。

 

「ワルサーさん、どうしてそんな言い方しかできないんですか? 仲間に対してそんな言い方は無いんじゃないですか?」

 

「別に、思ったことを言っただけよ。それよりあんたはどうなのスプリングフィールド? あいつが無罪だとでも思ってるの?」

 

「わたしは、エグゼの潔白を信じてあげたいです。かといってオセロットさんが疑う気持ちも分からないわけではありませんが…」

 

「ふーん…あなたの意見、一番気に入らないわ。それってどっちつかずの日和見ってことよね? まあいいんじゃない、その立場でいれば誰からも恨まれなさそうだし、アンタらしいよスプリングフィールド」

 

 

 そこまで言われ、反論しようとしたスプリングフィールドであったが言葉は出てこなかった。

 彼女が両者に気を遣っているのはWA2000の言うような日和見的な態度ではなく善意によるものだが、こういった場合では混乱を招く場合もある立場だ。

 何も言い返せず椅子に座るスプリングフィールドをちらっと見つめ、本に視線を戻すWA2000。

 相変わらず9A91も無言で彼女を睨み続けている…すっかり冷え切ってしまったミーティング室内は、ギスギスとした居心地の悪い空気が充満していた。

 

 そんな時、唯一発言していなかったスコーピオンは無言で立ち上がると、テクテクと扉の方へと歩いていく。

 

「どこ行く気? アンタは何も言うことないの?」

 

「んー?」

 

 WA2000の問いかけに気だるそうに振り返る。

 

「いやさ、バカの話し聞いてると疲れるから昼寝してくる」

 

「はぁ? 何言ってんのあんた?」

 

「ワルサーさ、あんたも今のエグゼに似てるよ、仲間を信じられなくなったら終わりだよ。スプリングフィールド、アンタは優しいけどどっちもたてるっていうのは無理だよ、選ばないと。それから9A91、本当にエグゼを助けたいって思うならこんな回りくどいやり方しなくていいじゃん…あたしだったらオセロットぶん殴って助け出すね。じゃ、おやすみ」

 

 最後に大きな欠伸をかいてスコーピオンはさっさと部屋を出ていってしまった。

 呆然とする三人であったが、それ以上その場にいる理由もないと一人また一人と部屋を退出していった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下の尋問室は赤く光る蛍光灯が一つあるのみの薄暗く、じめじめとした不快な空間だ。

 スピーカーからは絶えず耳障りな音が流れ続け、無機質な空間には対象者から情報を引きだすために使われる器具がたくさん用意されている。

 そんな部屋の中央に、エグゼは椅子に拘束されていた。

 

 兵士の一人がバケツ一杯の水をエグゼの頭に被せると、彼女は恨めしそうに目の前のオセロットを睨みつける。

 

「起きたか? 少しは話す気になったか?」

 

「テメェ…好き放題やりやがって……殺してやる…!」

 

 睨むエグゼを冷たく見おろし、兵士に合図をする。

 兵士はエグゼの背後にまわると彼女の髪を掴み天井を向かせると、その顔をタオルで覆いそこに大量の水をかけていく。

 呼吸器を塞がれ大量の水が気道に入り込む苦痛に激しくむせるが、それがかえって布越しに水を入れてしまう。

 しばらくして布が取り払われ、エグゼは激しくせき込んで水を吐きだすが、落ち着く間もなく再び同じ拷問を受ける。

 それが何度か繰り返され、意識が混濁しかけ始めた時にオセロットは尋問を再開する。

 

「お前はS09地区を占領するハンターに会ったそうだな。救助するべき味方を見殺し、お前は奴と何かを話した。お前はそこで何を話したんだ?」

 

「なにも…話なんかしちゃいねぇ……!」

 

「お前の忠誠心はいまだ鉄血側にあるんじゃないのか? どうなんだ、何が狙いだ、お前の目的は、またボスの命を狙うつもりか?」

 

「違うッ! オレは身も心もスネークのもんだ! オレの忠誠心を試すんじゃねぇ!」

 

「喚くな小娘、口ではどうとでもいえる。確かにこの間まではお前の忠誠心は本物だと思っていた、だがな…お前はボスの指示を破った、これがどうして疑わずにいれる? お前はまだ鉄血と共謀してMSFを内部から崩壊させようとしてるんじゃないのか?」

 

「なんだよそれ…! オレは鉄血とは縁を切ったんだ! ああそうさ、ハンターに会いに行った事は認めるさ…だけどあいつはオレを裏切り者って言って突き放したんだ! 仲間はその時いたけど助けられなかったんだよ!」

 

「信用できんな」

 

「じゃあ何を言ったら信用するんだよ! 本当のことを言ってるのに、なんでだよ…仲間よりハンターに会いに行ったのは謝るよ…頼む、もう止めてくれ…!」

 

「ふん…いいだろう、なら次の質問だ。これに答えてくれたら疑うのを止めてやろう」

 

 弱り切ったエグゼにはもう断る気力も無い。

 息を乱し、怯えたような目つきでオセロットを見上げる。

 

「教えてもらおうか処刑人…"傘計画"とはなんだ?」

 

「は…? 傘…なんだそれ?」

 

 オセロットの質問が理解できなかったらしい、エグゼは聞きなれない言葉に思わず聞き返す。

 その反応はある程度予想していたようで、オセロットは再び背後の兵士に合図を送る。

 兵士は発電機を起動させると、それを使いエグゼに電撃による拷問を与える…先ほどの水責めとは別な苦痛に、エグゼは気を失いそうになるが何とか意識を保つことができた。

 

「2回目は慣れたか? あまりお前に時間をかけていたくもない…教えろ処刑人、鉄血のハイエンドモデルであったお前なら知っているはずだ。傘計画とはなんだ?」

 

「知らねえ! そんな単語聞いたこともない、本当だ!」

 

 エグゼの悲痛な訴えもむなしく、3度目の電撃が彼女の身体を襲う。

 

「オ、オレは…ただの鉄血の斬り込み部隊だ、上の連中の考えなんて知らないよ…!」

 

 必死で弁明するエグゼであったが、オセロットは尋問の手を止める気配はない。

 彼はトレーから注射針を取り出す。

 

「これが何か分かるか?」

 

「知らねえよ…」

 

「本当に何も知らないんだな。これはフッ化水素酸と言ってな、拷問に使うような薬品じゃあない。劇薬でな…塗布すると激しく肉体を腐食させ時に死に至る。だがお前のような人形には生体パーツへ影響があるのみで、内部構造にはダメージがないだろう。試してみるか?」

 

「おい、嘘だろ…止めろよ、やめてくれよ!」

 

 注射器を手に近寄るオセロットから逃れようと、エグゼは必死に暴れるが椅子にしっかりと身体を拘束されているため逃げ出すことができない。

 暴れているうちに椅子ごと倒れこむ。

 

「最後のチャンスだ。傘計画とはなんだ?」

 

 エグゼの目に注射器を見せつけそう問い詰めるも、もはや彼女はまともに受け答えをできるような状態ではなく、怯えきった様子で震えている。

 

「嫌だ…スネーク…助けてよスネーク…!」

 

 エグゼはうわごとのようにそう呟き、目を固く閉じて震えあがる。

 

 そんな時、尋問室の扉が開かれる。

 

 

「そこまでだオセロット、エグゼはこちらで預かる」

 

「ミラーか、珍しいなお前がこんなところに」

 

 薄暗い尋問室でサングラスをかけたまま、エグゼのもとへ真っ直ぐに向かいその拘束を素早く解いていく。

 拘束を解かれたエグゼはいまだ恐怖に怯え身体を丸くしたまま震えている。

 

「やり過ぎじゃないのか?」

 

「必要なことだった。安心しろ、ここまでやって何も吐かなかったんだ、こいつは潔白だ」

 

「もっと別なやり方があったんじゃないのか? オセロット、お前の功績は認めるが…仲間にこんな仕打ちをすることはオレも、ボスも許さん」

 

「甘いな、規律が取れなくなるぞ。実際こいつの行動は統制を乱す結果となったんだ」

 

「この子の責任じゃない。組織をまとめているオレやボスの責任だ…とにかく、エグゼの疑いが晴れたのなら前哨基地の誤解を解くんだ。いいな?」

 

「いいだろう」

 

「さあ行こう、エグゼ」

 

 震える彼女に手を貸し立ち上がらせ、そっと上着を肩にかける。

 そうしていると、再び尋問室の扉が勢いよく開かれ、そこから肩をいからせた様子のスコーピオンがきょろきょろと部屋を見回し、オセロットを見るや勢いよく突っ込んでいく。

 それをかろうじてミラーは引き止める。

 

「離せおい! よくもエグゼを苛めたな、この陰湿山猫野郎! 一発殴らせろこんちくしょうめ!」

 

「落ち着けスコーピオン!」

 

「離せミラーのオッサン! あいつは、あいつだけはぶん殴ってやらないと!」

 

「オッサンじゃないッ!」

 

「構わんミラー、好きにさせてやれ…」

 

 オセロットの意外な言葉に、つい手を離してしまう。

 怒れるスコーピオンはまるで猪のようにオセロットに突っ込んでいくと、大きく右腕を振りかぶって彼の頬を殴りつけた…のだが、簡単に殴れるとは思っていなかったのかスコーピオンは目を丸くしてきょとんとしている。

 

「気が済んだか?」

 

「え…あ、うん…もう一発殴っていい?」

 

「次は反撃するぞ」

 

「あ、それは困る」

 

 

 素早くオセロットの傍から逃げ、エグゼの隣に寄り添うスコーピオン。

 

「オセロット、もう少しうまいやり方をな…」

 

「うるさい。もう用が済んだだろう」

 

 

 煙たがられるように尋問室から追い出されたミラーたちは、人目を忍びヘリに乗り込み前哨基地を飛び立つ。

 

 機内でエグゼは少し落ち着きを取り戻したようだが、まだショックが大きいのか力なく壁にもたれかかりやつれた表情で窓の外を見つめている。

 

「エグゼ元気だしなよ、あいつは一発殴っといたからさ!」

 

 握り拳をつきだしニコニコと笑って見せるが、反応の薄さに苦笑する。

 

「なんで助けに来たんだよ…」

 

 小さな声で、エグゼは呟いた。

 その問いかけにミラーとスコーピオンは顔を見合わせると、吹きだすように笑いだす。

 それが面白くなかったのかエグゼは眉をひそめる。

 

「なんで助けに来たのって、仲間だから当然じゃん! だよねミラーのオッサン!」

 

「そうだぞ、それからオレはオッサンじゃない」

 

「…ッ、なんでだよ…! みんなオレを裏切り者だって言って責めてきたんだぞ!」

 

「ああそうみたいだな…だがエグゼ、お前はオレたちの仲間なんだよな?」

 

「そうだよ、そう言い続けてた!」

 

「仲間なら、助けるのに理由なんていらないさ」

 

「うんうん、ていうかさ…ミラーのオッサンもマザーベースにばかりいないでたまには前哨基地の様子を見に行かないとね。スネークのカリスマ性でみんなついてくるけど、オッサンのコメディ性でたまにはストレス発散させてあげないと。じゃないと今回みたいな事が起きちゃうよ?」

 

「そうだな、今回の件でオレも勉強になったよ。それと…オレはオッサンじゃないといってるだろうが!」

 

 スコーピオンを捕まえこめかみをぐりぐり痛めつけるミラーであったが、どこか二人の姿は微笑ましい。

 そんな二人の様子に困惑しているエグゼを見てミラーとスコーピオンは席に落ち着く。

 そのような和やかな二人の様子を機内でひたすら見せつけられているうちに、ヘリは高度を落とし始める。

 

 窓の外には洋上に浮かぶ巨大なマザーベースがあった。

 

「エグゼ、マザーベースでスネークが待っている。任務中だったが至急戻ってもらった」

 

 ミラーの言葉に、エグゼは窓からマザーベースを見おろしスネークの姿を探す。

 

「なあエグゼ、スネークに会う前に約束して欲しい」

 

「なんだ?」

 

「一つ、任務で勝手な行動をしたことを謝ること。一つ、ボスには決して嘘をつかないこと。一つ、ボスには正直な気持ちで話すこと。守れるな?」

 

「うん…」

 

「よし、じゃあボスに会いに行こうか」

 

 マザーベースの甲板にヘリが着陸し、開いた扉からミラーとスコーピオンが降りていく。

 降りた先で二人はエグゼを待つが、彼女は降りることを躊躇している…そんな時、甲板の向こうで見覚えのある人影をエグゼは見た。

 重い腰をあげてヘリを降りたエグゼは走りだしたい衝動に駆られるが、ミラーとの約束を思いだし、彼のもとまでゆっくり歩いていくと、頭を下げる。

 

「ごめん…! オレ、約束守れなかった…!」

 

 精いっぱいの声をあげて叫ぶ。

 そのまま沈黙が続き、それはとても長い時間のようにエグゼは感じていた。

 ふと、肩にそっと手が置かれ、エグゼはゆっくりと頭をあげる…おそるおそる見上げると、微笑むスネークが優しげな青い瞳でエグゼを見下ろしていた。

 いとおしい相手を前にして、それまでこらえていた思いが溢れだし、エグゼはそっとスネークの胸に泣きつく。

 

 よしよし、とすすり泣くエグゼの後ろ髪を優しく撫でつつスネークは慰める。

 そんな二人の姿を微笑ましくミラーとスコーピオンは見守り続ける……のだが、あんまりにも長いことそうしているので不審に思ったスコーピオンが覗き込む。

 なんとエグゼは既に泣き止んでいるばかりか、スネークの胸元に顔をうずめ深呼吸をしているではないか。

 さすがに見過ごせなかったスコーピオンが無理矢理引き離すとエグゼはいたずらっぽく小さく舌を出す。

 

「あんたねぇ…まあいっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――なるほど、お前は旧友のハンターという奴に会いに行ったというわけか」

 

 あれから場所を移動させ、エグゼが救出任務中に何をしていたかを教えてもらう。

 スネークの前で彼女はありのままを話し、改めて仲間をすくえなかった事を謝罪したがスネークもミラーも、その件で彼女を責めるようなことはしなかった。

 

「それで、お前はそのハンターをどうしたいんだ?」

 

「どうって…なんだよ?」

 

「もし次の任務でハンターとであったら、お前はそいつを殺せるか? 正直に答えてくれ」

 

「オレは…たぶん、無理だよ…あいつとは楽しいときも辛いときも一緒だったんだ。殺せるわけがない、でもあいつは…次にあったらオレを殺すだろうな」

 

 あの時、最後にハンターに言われたことを思い出しエグゼは肩を落とし落ち込む。

 そんな様子を見てスネークは考え事をするように天井を見上げる。

 

「見ればわかると思うが…MSFには戦場で敵同士だった者も多い。オレが回収したりスカウトしたりと理由は様々だが、MSFの旗の下ともに戦っている」

 

「かくいうオレとスネークも最初は敵だったんだ。あとストレンジラブも、ヒューイもそうなるのかな?」

 

「それは知ってたけど……まさか、ハンターをこっちに引き込めっていうのかよ!?」

 

 自分たちの言いたいことに気がついたエグゼに二人は笑みを浮かべる。

 昨日の敵が今日の味方、というのはMSFに取ってこれまで何度もあったことだ。

 それはこの世界に来てからというもの変わっていないことだ。

 

「無理だ、あいつ結構堅物だし!」

 

「そうか、話しを聞く限り脈ありだと思うがな」

 

「そうだぞエグゼ。ところで気になるんだが…そのハンターって子は美人なのか?」

 

「それ聞いてどーすんだよ」

 

「重要なことだろう、なあボス!」

 

「最っっ低だね、やっぱりあんたオッサンだよ」

 

 女性陣からの冷たい視線を受けつつもミラーはノリノリだ。

 これがMSFの副司令だというのだから全く度し難い事態である。

 

「だが作戦は必要だろう。いつものようにフルトン回収するか?」

 

「いや、鉄血支配地域にヘリを飛ばすのは難しい。なるべく陸路での回収がいい…それか、ハンターを説得するか、これが可能なら一番いいんだが…」

 

「説得…か。あいつ、まだオレの話しを聞いてくれるかな…いや、やってみよう。あいつとはまた分かり合えそうな気がするんだ、アイツだけじゃない、いずれ他のみんなや代理人も仲間にできないかな!」

 

「いや、さすがに全員を仲間にするわけにはいかないだろう」

 

「代理人めっちゃ美人だぞ?」

 

「やろうスネーク! 鉄血の人形たちを仲間にすればまさにハーレム…じゃない、世界の平和につながるだろう! 名案だよスネーク!」

 

 相棒のハイテンションぶりに苦笑いを隠せないでいるスネークであったが、既にエグゼという前例があるため不可能なことではないだろうと思い始める。

 さすがにすべての鉄血を仲間にできるとは思っていないが、エグゼの努力を信じてあげたかった。

 

 

「そうと決まれば計画だ、いやー楽しくなってきたなみんな! ハハハハハ!」

 

 

 朗らかに笑うミラー主導のもと、不純な理由もいくつか混ざっているが鉄血ハイエンドモデル回収作戦が練られ始める。

 まだ見ぬ結果に期待に膨らませるミラーであるが、捕らぬ狸の皮算用という言葉を教え込むスネークであった。




カズ「結婚して」(直球)


スケアクロウ「無理」
ハンター「失せろ」
侵入者「お断りします」
デストロイヤー「キモイ」
夢想家「寝言は寝て言え」
ウロボロス「呪われろ」
代理人「ゴミが何か話してますわ」



次回はマザーベースpartです
安心してくださいマザーベースpartは平和ですから!
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