「空気」のようになった高額療養費制度 治療や薬…患者にできること

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聞き手・武田耕太
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 高齢化で膨らむ医療費をどう抑えるか。国民皆保険制度を維持できるのか――。そんな不安の声をよく聞くようになった。患者・市民の側に、何ができるだろうか。患者の自立と主体的な医療参加をめざす認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長の山口育子さんに聞いた。

 患者ひとりひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」としての自覚を持った「賢い患者」になりましょう、と呼びかけてきました。会報誌の発行や電話相談、ミニセミナー「患者塾」などを通し、患者と医療者のよりよいコミュニケーションを構築するための活動を続けています。

 医療費の自己負担に限度額を設ける「高額療養費制度」の見直しが議論されています。セーフティーネットとして重要で、守るべき制度です。一方で医療が高度化し、高額薬も次々に登場しています。制度を守るために、ある程度の負担増は仕方ないのではないか、と私自身は考えています。

会計時に受け取る明細書、どこを見る?

 いま、高額療養費制度が「空気」のようになっていると思います。制度が始まったころは、いったん3割などの自己負担額を窓口で支払い、その後に上限を超えた額が戻ってくるしくみでした。このため、制度を利用している実感がありました。現在は上限額までしか窓口で請求されません。自分がどれだけの医療費を使っているのか、自覚しにくくなりました。

 会計時に受け取る領収書や明…

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この記事を書いた人
武田耕太
編集委員
専門・関心分野
医療・健康、こども政策