旧ジャニーズ事務所が「SMAPの元メンバーを起用しないようにテレビ局に圧力をかけたことにより、独占禁止法に違反した」旨のマスコミ報道における、誤情報の構造/中国系マネーロンダリングネットワークに対する米国 Financial Crimes Enforcement Networkの分析報告書と勧告書について
本記事は、 西村あさひ が発行する『N&Aニューズレター(2025年9月30日号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひまたは当事務所のクライアントの見解ではありません。
1 旧ジャニーズ事務所が「SMAPの元メンバーを起用しないようにテレビ局に圧力をかけたことにより、独占禁止法に違反した」旨のマスコミ報道における、誤情報の構造
執筆者:木目田裕 1.本稿の概要 世の中の多くの方が、「旧ジャニーズ事務所が『SMAPの元メンバーを起用しないようにテレビ局に圧力をかけたことにより、独占禁止法に違反した(あるいは、その疑いがある)』。そのために、旧ジャニーズ事務所が公正取引委員会(以下「公取」といいます。)から注意をされた」との情報を真実であると信じているのではないかと思います。 しかし、本稿で説明するように、これは不正確な情報であり、こうした誤情報※1が発生した原因は、当時のマスコミ報道(特に当時のNHK報道)※2に問題があったためであると私は考えています※3。 ※1 「誤情報」(misinformation)は、「偽情報」(disinformation)と区別されており、前者の「誤情報」は故意でないものを意味し、意図的であれば「偽情報」に当たるとされることが一般的かと思います。この点、本稿では、意図的かどうかを区別せず、偽情報も包含する趣旨で「誤情報」という用語を用いています。なお、鳥海不二夫「偽誤情報とその対策」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rrie/4/1/4_1/_pdf/-char/ja 参照。 ※2 以下「独禁法違反報道」といいます。 ※3 私は、この公取の調査に対する法的対応について、当時、旧ジャニーズ事務所から受任していました。本稿の掲載については、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)から了解をとっています。言うまでもなく、本稿は私の個人的見解であり、本稿の内容その他については私がすべての責任を負っています。 まず、どこが誤情報かというと、2019年当時、旧ジャニーズ事務所が「テレビ局に圧力をかけた」との嫌疑で公取から調査を受けたことはありましたが、公取の調査の結果では、旧ジャニーズ事務所が「テレビ局に圧力をかけた」という事実は認定されておらず、その疑いが残るともされていません。つまり、公取の調査結果は、そういう圧力をかけたという事実はなく、その疑いもなかった、ということです。そのため、公取も、旧ジャニーズ事務所に独禁法違反やその疑いがあるとは認定していません。ただし、公取は、旧ジャニーズ事務所とテレビ局との相対的な力関係の強弱等を踏まえ、今後、将来において、仮に、例えば旧ジャニーズ事務所がテレビ局に圧力をかけることがあるならば、それは独禁法違反※4に該当することになるから注意せよ、との注意をしました。 ※4 例えば、不公正取引(取引妨害など)。 この文章の下線部に着目してください。下線部部分が正確な情報です。本稿で後ほど解説しますが、公取は、行政処分や警告をしたわけでもありません。この一言で公取実務を知っている方には誤情報フラグが立つと思います。 しかし、マスコミ報道を原因として、世の中の人の多くは、旧ジャニーズ事務所が「圧力をかけた事実があった」「独禁法に違反した」(あるいは、その疑いがある)と誤解することになっているように思います※5。 ※5 これは些細な違いではありません。例えば、本稿の読者の方ご自身や勤務先等が、違法行為などしておらず、当局から「今後、注意してくれ」と言われたにとどまり、公表もされなかったのに、報道やSNS等で「違法行為を行った疑いがある」と喧伝されて、そうした誤った情報が是正されないままネット上でも放置されているという状態を、どのようにお考えになるでしょうか。 現代社会において、SNS等を通じた誤情報の拡散や情報操作が問題とされています。独禁法違反報道のように、公取の調査や注意といった誰も疑おうとしない外形的な事実がある中で、報道機関の密かな表現振りの操作によって、「違法行為やその疑いがなかった」との公取の調査結果だったのが、ほとんど誰も気付かないままに、「公取の調査の結果、違法行為の疑いが現にあった」という正反対の内容の誤情報が作出されて伝播することになります。 本稿は、旧ジャニーズ事務所に係る報道を素材として、こうしたマスコミ報道による誤情報の作出・伝播の過程を検討するものです※6。 ※6 こうしたマスコミ報道による誤情報の構造は、「冤罪(えん罪)」の問題にも密接に関連します。例えば、警察から犯人と疑われて捜査対象になったというだけで、その人を犯人と決めつけるようなマスコミ報道の問題です。本稿の主題から外れるので、詳細を論じるのは他日を期しますが、再審無罪事件などの「冤罪(えん罪)」に関しては、もちろん、第一次的には検察、警察や裁判所の責任ですが、副次的にはマスコミの事件報道における犯人の決めつけや捜査機関から提供される情報への無批判な追随などの影響も関連性があるのではないか、具体的に検証する必要があると考えています。 2.独禁法違反報道の誤情報性 (1)はじめに 私は、公取の旧ジャニーズ事務所に対する本調査の件を同事務所から受任していたので、まず、私自身が経験した体験的事実として、上記で述べたように「公取の調査でも、旧ジャニーズ事務所がテレビ局に圧力をかけたとの事実やその疑いは認定されておらず、独禁法違反やその疑いがあったとはされなかったこと、ただ、将来における独禁法違反リスクがあるから注意せよとの注意を受けたこと」が真実であるということができますが、本稿では、この点をひとまず措いて、旧ジャニーズ事務所に関する独禁法違反報道について、公取実務の運用という客観的な論拠に基づいて誤情報性を示すことにします。 (2)公取実務における行政処分、警告、注意の区別 公取が、独禁法違反の疑いで調査した場合、事件の最終的な処理は、主に行政処分(排除措置命令・課徴金納付命令)、警告、注意※7の3種類があります。公取は、この3種類を意図的に使い分けています。 ※7 このほかに、確約手続もあります。 具体的には次のとおりです。 公取が企業等を調査して独禁法違反を認定する場合、公取は、排除措置命令や課徴金納付命令といった行政処分を行います※8。また、独禁法違反事実が疑われるが、認定するまでの証拠が足りない場合等には、公取は、企業等に対して独禁法違反の疑いがある旨等の「警告」を行います。行政処分も警告も、独禁法違反の事実があった場合(いわばクロの場合)や独禁法違反が疑われる場合(いわばグレーの場合)であることから、公取は、事件について行政処分や警告を行ったことをホームページで公表します。調査対象となった企業側の意向にかかわりなく、行政処分や警告の場合には、公取は事件を公表します。 ※8 なお、刑事事件相当の場合、公取は、行政処分だけでなく、検察に刑事告発を行います。本稿では、「行政処分」という用語に刑事告発を含めて用いています。 他方、公取が調査を行ったが、独禁法違反事実やその疑いを認定できない場合(いわばシロの場合)、公取は調査を打ち切り、事案によって将来の独禁法違反リスクがあると考える場合には、将来における独禁法違反の発生を未然防止するために、調査対象となった企業等に対して注意を行うことがあります。この注意は、独禁法違反があった場合(クロ)や独禁法違反が疑われる場合(グレー)ではないことから、原則として公取はホームページで事件を公表しません※9。 ※9 例外的に、注意であっても、「競争政策の観点から公表することが望ましい事案において関係事業者から了解が得られた場合や、違反被疑行為者が公表を望んだ場合に、公表される。その数は、全体の注意件数のなかでは、ごくわずかである」とされています(白石忠志著『独占禁止法』(有斐閣、第4版、2023年) 667頁)。 以上で述べた、公取における行政処分・警告や注意に関する使い分けは、独禁法案件や公取実務に関わる弁護士や報道機関などには周知のことであって、常識といっても過言ではありません。 例えば、多田敏明「最近の公正取引委員会のエンフォースメントの検討」公正取引893号(2025年) 8頁以下は、次のように述べています※10。 「警告は・・・(中略)『違反のおそれがある行為』等に対する法定外処理であるが、このことは『排除措置命令を行うに足る証拠が得られなかった場合』を意味する。」 「注意は、『違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られなかった』場合に、違反の未然防止を図る観点から行われるが、口頭によるものが多く、予防のための指導という性格と比例原則との関係から、非公表とするのが一般的であったといえる。」 ※10 そのほか、例えば、 公取サイト「よくある質問コーナー(独占禁止法)」Q30 、白石忠志著『独占禁止法』(有斐閣、第4版、2023年)665頁以下も参照。 (3)本件への当てはめ 旧ジャニーズ事務所の案件は、公取から行政処分や警告を受けたものではなく、注意にとどまっています。そのため、公取も、そのホームページで、旧ジャニーズ事務所に対する注意の件は公表していません※11。こうした公取の対応から裏付けられるように、当時の公取の調査結果は、旧ジャニーズ事務所がテレビ局に圧力をかけたとの事実やその疑いを認定するものではなく、独禁法違反やその疑いがあったとするものではありませんでした。ただ、テレビ局との力関係の強弱等から、将来の独禁法違反につながるおそれがあるとして旧ジャニーズ事務所に対して注意を行ったにとどまっていました。 ※11 公取による旧ジャニーズ事務所に対する注意がなされた当時、私は公取のホームページでこの件が公表されていないことを確認しています。本稿執筆時点(2025年9月2日及び同月25日)、公取のホームページのサイト内検索で「ジャニーズ」と入力したところ、やはり、公取における事件の公表資料はヒットしません。なお、「令和元年7月31日付 事務総長定例会見記録」がヒットし、記者からの質問の中に旧ジャニーズ事務所に対する注意の件への言及がありますが、これは、公取による事件の公表ではなく、2019年7月17日にNHKが報道を行った後のことであり、そのために質問をした記者も事件のことを知って定例会見での質問にて言及したものと考えられます。 先ほどの多田先生の解説に当てはめて説明すれば、次のとおりです。この公取の注意は、旧ジャニーズ事務所がテレビ局に圧力をかけたとの「違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られなかった場合」に、「違反の未然防止を図る観点から」行われたものです。それゆえに、公取もこの件を「公表しませんでした」。 なお、以上の点は、後述する、当時の朝日新聞の報道内容や、当時公取委員長だった杉本氏の日経新聞でのインタビューからも裏付けられます※12。 ※12 なお、当時、テレビ局等との力関係等とは別に、旧ジャニーズ事務所側において、将来の独禁法違反につながるおそれのある行為があったわけではないので、私としては、公取が、(テレビ局側に対して、ではなく)旧ジャニーズ事務所に注意を行う必要があったかどうかには議論の余地があると考えております。 3.独禁法違反報道の作出と伝播 (1)2019年7月17日のNHK報道と民放・新聞の後追い報道 それでは、なぜ、注意に過ぎず、公取が自ら公表もしていないのに、この件が世の中に知られるように至ったのでしょうか。 公取が公表していないにもかかわらず本件が公に認識されることになったのは、2019年7月17日夕方ないし夜のNHKの報道とその後のテレビ・新聞の後追い報道のためです。 以下で述べるとおり、このNHKの報道が不正確・ミスリーディングなものであったため、「旧ジャニーズ事務所が『SMAPの元メンバーを起用しないようにテレビ局に圧力をかけたことにより、独占禁止法に違反した(その疑いがある)』」との誤解が生じることになったと考えられます。 2019年7月17日に、NHKのニュースサイトに活字で掲載された記事は、「“元SMAP3人の出演に圧力”公取委がジャニーズ事務所を注意」という見出しの下、「ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに対し、事務所から独立した3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあることが、関係者への取材で分かりました。」「公正取引委員会は、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして、きょうまでにジャニーズ事務所を注意しました。」と報じています※13。 ※13 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190717/k10011996241000.html なお、これは2019年7月17日時点のNHK報道のリンクであり、私の手元の記録に基づきます。本稿執筆時点では、このリンクをクリックしても、問題のNHK記事を閲覧することができなくなっています。 下記のWEBアーカイブを見ると、このNHK報道は、2019年7月17日の20時59分に配信ないし掲載されたと思われます。なお、このアーカイブでは、見出しの中に「元SMAP3人の出演に圧力か」と記載され、「か」が付されていますが、中身はやはり「事務所から独立した3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあることが関係者への取材で分かりました」と不正確・ミスリーディングなものとなっています。 https://web.archive.org/web/20190717120352/https:/www3.nhk.or.jp/news/html/20190717/k10011996241000.html 見出しの「“元SMAP3人の出演に圧力”」を見れば、視聴者・読者は、旧ジャニーズ事務所が圧力をかけた事実があったと誤解すると思います。 また、このNHKの記事の本文中の「ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに対し、事務所から独立した3人を出演させないよう圧力をかけていた疑いがあることが、関係者への取材で分かりました。」について、「圧力をかけていた疑いがある」との点も不正確でした。この疑いが公取の調査開始や調査中に存在していたという趣旨であれば誤りとまではいえませんが、この疑いが「ある」等と現在形で表現しながら、公取の調査によって、その疑いが解消されたことを報じていない点で、視聴者・読者を誤解させるものでした※14。 ※14 これは、景品表示法違反でよく問題になる、強調表示と打消し表示の関係と同じ問題です。商品・サービスの内容や取引条件等を実態よりも著しく優良・有利に表示することは景品表示法違反(優良誤認、有利誤認)とされています。例えば、ダイエット商品について、体験談として「毎日たった2錠飲むだけ。忙しくても続けられるから助かります。」の広告宣伝を行い(強調表示)、「※個人の感想です。効果には個人差があります。」や「※食事制限と併用しています」といった注意書き(打消し表示)は表示しないか、表示しても、強調表示から離れた箇所に小さい文字で消費者に気付かれないように表示することで、毎日2錠の服用で誰でもダイエット効果を容易に得られるかのように消費者を誤解させる広告宣伝があります。ここでは、独禁法違反の疑いの存在が強調表示に相当し、公取調査ではその疑いが解消されたことが打消し表示に相当し、打消し表示に言及しないことで、独禁法違反の疑いという強調表示の効果がそのまま残り、視聴者・読者を誤解させるもの(誤情報)となっています。 前述したように、本件は警告ではありません。独禁法違反に関しては、疑いがある場合になされるのは警告であって、注意ではありません。注意は「違反行為の存在を疑うに足る証拠が得られなかった」場合(前述多田論文参照)、つまり疑いがあるといえない場合になされるものです。 「公正取引委員会は、独占禁止法違反につながるおそれがあるとして・・・」は、このフレーズだけを切り取ってみるのであれば、完全には間違いとはいえません。しかし、注意は、将来の違反を未然防止するためになされるものであり、あくまで将来の違反のおそれについて注意するものです。 しかし、この記載は、「“元SMAP3人の出演に圧力”」との見出しや「圧力をかけていた疑いがあることが、関係者への取材で分かりました」との記載と相まって、視聴者・読者は、公取から注意を受けたのだから、旧ジャニーズ事務所は現実に圧力をかけたという独禁法違反行為を行った(あるいは、その疑いがある)と読むことになると思われます。つまり、視聴者・読者をして、「いまいま、この時点で」、旧ジャニーズが独禁法違反のおそれのある行為を「現に行った」(疑いがある)のだ、「だから公取から注意された」のだと誤解させるものであった(誤情報)と思われます。 さらに、NHKは、同じ2019年7月17日付けで「“元SMAP3人の出演に圧力”公取委「注意」の経緯(記者解説)」と題する解説を掲載し、「今回、公正取引委員会が関係者から事情を聴くなどして調査をしたところ、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに対して、独立した3人をテレビ番組などに出演させないよう圧力をかけていた疑いがあることが分かったということなんです。」などと書いて、やはり不正確でミスリーディングな誤情報を反復して発出しています※15。 ※15 脚注13と同様に、この記事も本稿執筆時点ではNHKのサイトでは閲覧できなくなっています。 (2)後追い報道の内容 民放・新聞の後追い報道も、朝日新聞を除いて、NHK記事をなぞったような、不正確で視聴者・読者をして誤解させるものになりました※16。 ※16 2019年7月17日当時のNHKのテレビ報道の内容やその後の後追い報道については、2019年7月19日14時56分付け、てれびのスキマ「テレビ各局は「ジャニーズ事務所を公取委が注意」をどう報じたか」を参照。 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9e45dd9d2b9b2272a81c1acc4e60b898853aed42 例えば、NHK報道後である2019年7月17日21時40分付けの日本経済新聞電子版当時では「ジャニーズ事務所を注意 元SMAPメンバーの起用妨害か」との見出しで、「ジャニーズ事務所(東京・港)がテレビ局に対し、同事務所を退所した元SMAPの3人を出演させないよう働きかけた疑いがあるとして、公正取引委員会が同事務所に対し、注意していたことが17日、関係者への取材で分かった」と報じられていました。NHK報道について述べたとおり、「働きかけた疑いがあるとして」は、不正確・ミスリーディングな報道であり、旧ジャニーズが独禁法違反のおそれのある行為を現に行ったのだとの誤解を生む内容でした※17。 ※17 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47457310X10C19A7CR8000/ 本文中の記載は、2019年7月17日21時40分付けの日経新聞電子版の報道内容です。なお、本稿執筆時点で、このHPを確認したところ、同日「22時57分更新」として、問題の記載部分が「・・・出演させないよう働きかけた場合、独占禁止法違反につながる恐れがあるとして」に修正されていることを発見しました。2019年7月17日及び18日当時、私は報道をこまめにチェックしていたはずですが、日経新聞電子版のこうした修正を認識していません。この当時、ほぼ正確に報道していたのは主要なテレビ局・新聞社の中では朝日新聞だけだったというのが私の手元の記録です。ちなみに、2019年7月18日付け日経新聞朝刊の紙面(当該記事自体は12版と思われます)では、訂正前の21時40分付けの日本経済新聞電子版と同様に、「・・・元SMAPの3人を出演させないよう働きかけた疑いがあるとして、公正取引委員会が同事務所に対し、注意していた」と記載されています。そうすると、論理的には、同月17日22時57分の更新後の正確な情報について、翌18日午前1時頃が最終的な締切りのはずの翌18日の日経新聞朝刊の紙面では、電子版記事は修正していながら、紙面の記事は修正されず不正確なままで配布された、ということなのか、あるいは、17日22時57分という修正日時が事実でなく、少なくとも18日の朝刊の印刷・配布以降に修正されたものであって、17日22時57分更新という記載はバックデイト(日時を遡らせたもの)に過ぎない、ということなのか、そのいずれかではないかと思われるところです。 NHK報道や後追い報道等の問題点は、当時の朝日新聞の記事と対比すると、はっきりします。2019年7月17日21時43分付け朝日新聞電子版※18は「ジャニーズに公取委が注意 元SMAPテレビ出演めぐり」との見出しの下、「アイドルグループ「SMAP」の元メンバーをテレビ番組に出演させないよう圧力をかけた場合は独占禁止法に触れるおそれがあるとして、公正取引委員会が元メンバーが所属していたジャニーズ事務所(東京都)に対して注意していたことがわかった。」「・・・同事務所が圧力をかけているとの情報があり、公取委が聞き取り調査などを実施。その結果、違反行為は認定できなかったという。」と報道しています。朝日新聞は、「圧力をかけた場合は」独占禁止法に触れるおそれがある、「違反行為は認定できなかった」と、NHKや日経新聞等とは異なり、ほぼ正確に報道しています※19。 ※18 朝日新聞デジタル版の掲載期間は原則5年間分とのことで、この記事の掲載は終了しているようです。 ※19 なお、当時、NHK等の独禁法違反報道の直後に、旧ジャニーズ事務所が公取の注意について正確な内容をプレスリリースしていますが、不正確・ミスリーディングな報道をした報道機関の中で、このプレスリリースを受けて報道内容を是正した報道機関もなかったように思います。なお、この点、日経新聞の電子版のみの訂正については前掲注17参照。 (3)最近の報道 最近の報道にも同様の問題があると思います。 例えば、当時の公取委員長であった杉本和行氏は、2024年11月28日付け日本経済新聞・夕刊「リーダーは桃太郎であれ私のリーダー論(上)」と題するインタビュー記事で、「在任中に反響が大きかったのが旧ジャニーズ事務所(東京・港)の問題でした。退所したSMAP元メンバー3人の番組起用を妨げるような働きかけがあった場合、独禁法違反につながる恐れがあるとして、19年に公取委が同事務所を注意したと報じられました。」と述べています(下線は筆者による)。この下線部分の記載は、上記の朝日新聞の報道と同様に、正確な記載です。 ただ、残念ながら、上記発言の直後の杉本氏の発言が「芸能の世界でも、個人のやる気が起きる環境を阻害すれば、排除は当然です」となっています。この発言自体は、一般論としての発言だったのだと想像しますが、紙面上は、一般論であることが明示されず、旧ジャニーズ事務所についての上記発言の後にそのまま続いて記載された発言のため、これらの発言を併せて読むと、排除措置命令などの行政処分の対象となる独禁法違反が現に行われたかのような言い振りになっています。加えて、当時、公取自身が、「番組起用を妨げるような働きかけがあった」とまでは認定していないことに言及していないため、一般の読者に対して、NHK報道などと同様に、旧ジャニーズ事務所が独禁法違反行為ないしその疑いのある行為を現に行ったとの誤った印象を与えかねないものとなっています。 (4)独禁法違反報道の発生・伝播の原因 NHKにせよ、NHKと同様の不正確な報道を行った報道機関にせよ、なぜ、このような不正確・ミスリーディングな報道を行ったのでしょうか。 この点、NHKの2019年7月17日付け「“元SMAP3人の出演に圧力”公取委「注意」の経緯(記者解説)」では、後半部分で、芸能人と所属事務所の関係を問題にし、公取の2018年2月15日付け「人材と競争政策に関する検討会報告書」に言及しています。NHKとしては、芸能人と所属事務所との間の公正な取引関係の構築という課題を世論に訴えるために、公取すらも公表していない、旧ジャニーズ事務所に対する注意を、何らかのリーク情報に基づいて報道したのかもしれません。 しかし、その場合であっても、リーク元が公取であれば※20、前述した日経新聞のインタビュー記事における杉本氏の説明のように、公取は正確にNHKに説明したはずだと思います。現に、朝日新聞は、取材源が公取かどうかは分かりませんが、報道内容としては、当時、正確に報道していました。当時、NHKと朝日新聞との間で取材力や公取実務の理解力にそれほど大きな差異があったとは思われません。そうすると、NHKは、記事のインパクトの観点から、「独禁法違反行為やその疑いがあるとされたわけではないが、今後、仮に圧力をかけたら独禁法違反になる」という、正確だが、分かりにくい内容よりも、「圧力をかけて独禁法違反を行った疑いがある」という、誤情報だが、単純で分かりやすい内容にして報道してしまったのではないかと疑われます。 ※20 なお、私自身は、当局による報道機関に対するリークには有用性が認められる場合もあると思っていますが、リーク報道による弊害も検討の必要があるので、公取に限りませんが、当局のリークやリーク報道の在り方については、報道機関側も当局側もその正当性や限界について考え方を整理する必要があると思っています(なお、報道機関の取材活動の限界や倫理性について、一例として、外務省機密漏えい事件(最高裁昭和53年5月31日決定 刑集第32巻3号457頁)参照)。 4.NHKによるNGリスト報道との類似性 (1)NGリスト問題の事実関係 こうしたNHKの不正確・ミスリーディングな報道は、この公取による注意の件の他、旧ジャニーズ事務所の2023年10月2日の記者会見における、いわゆるNGリスト問題についてのNHK報道でもあったように考えています※21。 ※21 私は、この記者会見での登壇者の一人です。また、NGリスト問題に関する報道等の問題点については、拙稿「NGリスト問題を理由とする記者会見の失敗論について」弊事務所・ 本ニューズレター2024年8月28日号 、拙稿「NGリスト問題と株主総会」 同2024年8月30日号 参照。 このNGリスト問題の事実関係の概要は、別稿で述べているように次のとおりです。 1.NGリストは、旧ジャニーズ事務所の指示で作成されたものではなく、記者会見を受託していた危機管理広報業者(その業務委託者を含め、以下単に「ベンダー」ということがある)の担当者が独断で、記者会見開始直前に会場で作成して、司会者やベンダーの業務委託先であったイベント運営会社の担当者等だけに共有したものであった。 2.ベンダーの担当者としては、NGリストの作成理由について、司会に特定の記者を指名させないという意図ではなく、この日の会見のテーマに関係する質問から先に受け付ける趣旨で作成・共有したものであって、旧ジャニーズ事務所からの指示に反しているという意識がなく、「氏名NG」(ママ)という文言は安易に本来の意図とは異なって解されてしまう用語を用いたものであると説明している。 3.実際の記者会見においては、録画結果からも明らかなとおり、司会者は、「氏名NG記者」とされている記者にも指名して発言させており、「氏名候補記者」及び「氏名NG記者」のいずれについても、約5割を指名した。不規則発言を伴う質問を含め、「氏名NG記者」からの質問数(合計8問)及び質疑のために対応した時間(合計14.5分)は、「氏名候補記者」とされている記者からの質問数(合計5問)及び質疑への対応時間(合計11.5分)を上回っていた。また、「氏名NG記者」のうち1名による質問に関しては、登壇者(旧ジャニーズ事務所社長と私です)の判断で、司会者に対して2問目の質問にも回答する旨を告げて、旧ジャニーズ事務所において指名して質問に回答している。 (2)NGリスト問題に関するNHK報道 要するに、事実関係は、NGリストなど旧ジャニーズ事務所側は作っておらず、その作成に関与もしておらず、まして、いわんや、記者のNG扱いなどしておらず、記者会見の録画を見ても一目瞭然のとおり、客観的事実として、記者会見の多くの時間をNGとされた記者との質疑に費やしている(登壇者の方でも、NGとされた記者を指名して応答している)、ということです。 NGリスト問題についても最初に報道したのはNHKであり、10月2日(月)の記者会見の2日後である10月4日(水)の午後7時のNHKニュースでした。この放送があった当日の早朝、NHKから質問があり、私も非常に驚いて、問合せをしてきたNHK記者に対し、問題のNGリストについて「見たこともない。もちろん作ったこともない。これは本物なのか。ねつ造ではないのか。ともあれ事実関係を調べてみる。」旨を回答しました。旧ジャニーズ事務所も私の回答とおおむね同旨の回答を行っていると思います。 しかし、NHKは、その当日午後7時頃には、あたかも旧ジャニーズ事務所側がNGリストを作成して、記者会見当日、一部の記者の質問を受け付けないとの「NG扱い」を現に行ったかのような、視聴者に誤った印象を与える報道を行いました※22。 ※22 NHKの性急な報道の背景には、旧ジャニーズ事務所を叩くネタを探している中で、「NGリスト」という持ち込まれた題材が面白かったこと、情報提供者が他社にも同じネタを持ち込んでおり、他社より先に報道したかったこと等があったのではないでしょうか。 このNHKの報道は、旧ジャニーズ事務所が否定している中で、旧ジャニーズ事務所自身がNGリストを作成したりその作成に関与した事実があるのかどうか、十分に調べていない上に、NHKに情報を持ち込んだ情報提供者の事実に反する証言を映像で紹介し、上記3の客観的事実(記者会見会場ではNG扱いなど行われていないこと)に言及しないものでした。そのために、旧ジャニーズ事務所がNGリストを作成して、記者会見で実際に一部の記者のNG扱いをしたかのような誤った印象を与える報道になりました※23 ※24。 ※23 この場合も、先ほど、景品表示法違反との比較で述べたとおり、NGリストに関する氏名不詳者の供述が強調表示であり、他方、実際の会見会場でNG扱いなどなかったことが打消し表示に相当するところ、この場合のNHK報道も、景品表示法違反と同様に、強調表示を報道しながら、打消し表示を報道しないことで、視聴者を誤解させる誤情報の発信になっています。 ※24 独禁法違反報道にせよ、NGリスト報道にせよ、旧ジャニーズ事務所を非難することを主目的とした報道であること等からすると、NHK等が情報提供者の誤情報を十分に検証しないまま、それに引きずられて報道した可能性もあると思われます。 このNHK報道を契機に、主に民放各社による、NHKの誤報を後追いする報道が続き、ワイドショーやSNS等でもNG扱いが現にあったとするかのような取り上げ方が続き、NHK報道の約1週間後、2023年10月10日付けで、旧ジャニーズ事務所が「 NGリストの外部流出事案に関する事実調査について 」を公表して、NGリスト報道は収束しました。 しかし、NHKにせよ民放各社にせよ(新聞もそうですが)、旧ジャニーズ事務所がNGリスト作成を否定しているという点を報道するにとどまり、当時、テレビ朝日を除いて、上記3の客観的事実(記者会見の多くの時間をNGとされた記者との質疑に費やしており、登壇者の方でも、NGとされた記者を指名して応答していること等)には報道で言及していないことから、NHKや民放各社の報道によって視聴者が抱くことになった誤った印象や認識は十分に是正されていないように思います。むしろ、その後のNHKや民放各社はNGリスト問題や自らの報道内容にはほとんど言及しなくなっていると思います。 5.マスコミ報道によって生み出される誤情報に対する対応 (1)十分な取材と客観的な報道の必要性 報道機関の責務や社会的影響云々の大前提として、報道機関は、十分に取材して、正確に報道するべきです。 独禁法違反報道については、 1.行政処分・警告と注意の区別という、独禁法や公取実務の基本的な事柄の理解が足りず、公取や事件関係者からの取材も不十分だったのではないか、 2.記事のインパクトを高めるために、「圧力をかけて独禁法違反を行った疑いがある」という単純で分かりやすい内容にして報道したのではないか、 NGリスト報道については、 1.旧ジャニーズ事務所側が否定しており、実際の記者会見ではNG扱いはなかったのに、情報提供内容を時間をかけて十分に検証しないまま報道したのではないか、 2.旧ジャニーズ事務所がNGリストを作ったというストーリーに固執して、実際の記者会見でNG扱いがなかったこと等の客観的事実から目をそらして報道したのではないか 等といった問題があったと、私は考えております。 独禁法違反報道とNGリスト報道について、いずれも、景品表示法違反(優良誤認、有利誤認)における、強調表示と打消し表示の関係と同様の構造であることについて、先ほど脚注で簡潔に説明しました。強調表示に相当する情報を発信しながら、打消し表示に相当する情報に沈黙したり過少な扱いとすることで、情報操作が可能になります。社会的責任のある報道機関が、景品表示法違反と同じ構造の情報を発信することの適否については、きちんとした検証を行う必要があると考えます※25。 ※25 冤罪(えん罪)の問題にも共通する面がありますが、報道機関としては、企業不祥事の場合、攻撃対象を設定してそれを叩くことが「正義」であるという意識が働きがちなのかもしれません。しかし、「正義」も事実や証拠(及び適正手続)に基づいて行うことが大前提であり、不都合な情報(打消し表示に相当する情報)を直視しない報道は誤情報を生み出すばかりです。歴史上、「正義」という言葉は、シュメル文明のグデア王の碑文(紀元前22世紀頃)が初出で、その後の王たちも法典に正義を掲げたそうですが、「この言葉ぐらい為政者にとって使い勝手のよい言葉はなく…(中略)『正義』をかかげて戦争ははじめられる」(小林登志子『文明の誕生』(中央公論新社、2015年)ⅲ頁)とは至言だと思います。 (2)NHKの信用力と民営化の検討の必要性 NHKの信用力も問題です。社会一般は、NHKの報道内容は正確であり、加えて、公正中立だと信じています。私自身も独禁法違反報道の前まではそう信じており、NGリスト報道の前も、まだ多少はNHKの報道に対する信頼が残っていました。 こうしたNHKの信用力があるため、独禁法違反報道にせよ、NGリスト報道にせよ、民放各社や新聞等が、たとえ不正確な報道内容や視聴者・読者を誤解させる報道内容であったとしても、NHKの報道に引きずられて報道した面もあったように思います※26。また、NHKの信用力があるだけに、誤った報道内容の事後的な是正も特に困難になります。こうしたNHKの報道内容の正確性や公正中立性に対する社会の信用がどこから発生するかと考えれば、もちろん個々の記者による過去の適切な報道実績の積み重ねによるものと思いますが、制度的に見て最大の要因は、NHKの公共性の外観や受信料に支えられた安定的な経営体制にあると思われます。 ※26 NHKの場合には、報道に従事する記者の人数や体制が民放各社や一部の大手新聞社よりも厚くなっていると聞きます。そのために、一般論としては、NHKであれば、信頼性のある取材源から情報を得やすく、裏付け等の検証も適切になされていると思われがちであることも、NHK報道への追随が発生し易い理由の一つであると思われます。 SNS等を通じた誤情報の拡散や情報操作だけでなく、価値観が多様になっている現代社会における様々な問題に対処するためにも、公共的な放送機関の一社独占体制よりは、複数の報道機関相互の間で、対等な土俵における対等な競争関係を通じて、報道の質や内容の向上・多様化を図る方が望ましいように思われます。その意味でも、NHKの完全民営化について、そろそろ真剣に考えるべき時期なのではないかと思います。 (3)誤報発生の不可避性を踏まえた事後的是正と報道機関の責任感 報道には、正確性だけでなく、タイムリーさ、即時性も必要だと思います。また、取材の限界もあります。そのため、どれほど誠実かつ真摯な報道姿勢であったとしても、ときに、不正確な報道やミスリーディングな報道などといった誤報が生じることは、完全には未然防止できないと思います。 誤報発生を完全に未然防止できないことを前提とすれば、報道機関としては、自らの報道内容を事後的にも検証して、追加的に判明した新事情や従前の報道で見落としていた事情に照らして、従前の報道内容を明確に是正・補正していき、誤情報や誤報状態を解消していくことが必要であり、それこそが報道機関の責任であると思います。 いつの間にか、社会や視聴者・読者が知らないうちに、記事を消したり、修正するといった「ステルス修正」や、誤情報で一方的に叩いていながら、その誤情報を是正もしないで沈黙するといった「叩き逃げ」が、現実の報道機関の行動として見られるようでは、報道機関を信頼できません。 最近、読売新聞が自らの誤報を大きく報じて謝罪した上で、誤報された関係者について、インターネットやSNS等でデマや誤情報、誹謗中傷の書き込みがないかについて監視を続け、名誉回復に向けた取り組みを進めていく旨を宣明しています。誤報はもちろん許されることではありませんが、こうした読売新聞の事後的姿勢は他の報道機関も見習ってもよいように思います※27。 ※27 私なども、NGリスト報道によって、特定の人物から、ここぞとばかりに事実無根の誹謗中傷を受け、誹謗中傷や誤情報が一部テレビ報道やインターネット記事、SNS等でも広がりましたが、報道各社は、旧ジャニーズ事務所によるプレスリリース後も、この点につき特段の是正対応をしていません。こうした報道の例としては、例えば、私が記者会見会場で拍手したこと等に関して、会社法や株主総会についての知識の欠如に基づくもの(上記拙稿「 NGリスト問題と株主総会 」参照)、危機管理広報と称する業者が、当日の記者会見で私ども登壇者が記者を指名して質問させたことがあるのを見落としていたもの等がありました。 (4)企業側の危機管理の観点からの対応 企業側の危機管理の観点からの対応としては、迅速な事実調査、適時の充実した内容のプレスリリース、記者会見や記者レク、場合によっては仮処分の申立てや不法行為訴訟の提起といった法的措置等によって、誤情報を伝える報道の未然防止や事後的是正を目指していく、というのが、いわば教科書的・技術的な話になります。 しかし、旧ジャニーズ事務所の独禁法違反報道やNGリスト報道でも現実にそうだったのですが、重大事案の場合など、報道機関がネタとして面白いと思って走り出してしまうと、いくらプレスリリースをしたり、記者に個別に時間をかけて丁寧に説明しても、誤情報をまき散らすような報道を未然防止することは困難です。この点は、私の検事や弁護士としての経験上も、旧ジャニーズ事務所の案件に限ったことではありません。 こうした報道機関ないし報道の特性を踏まえれば、企業側としては、事案の内容によっては、バッシング報道や批判・非難を避けることができず、むしろ「いったんは叩かれておかないと先に進めない」というケースもあると腹決めして、報道というもののリアリティを見据えながら、「正しいことをする」というのが最も大事だと思います※28 ※29。 ※28 拙稿「危機管理及びコンプライアンスにおける本質は『正しいことをしよう』にあり」弊事務所・ 本ニューズレター2024年4月30日号 における、「4. 記者会見における『正しいことをしよう』」参照。 ※29 記者会見における「失言」報道が報道機関の創作による面があること等について、拙稿「企業不祥事の記者会見等における危機管理」NBL1280号52頁(2024年)参照。 【本文中に記載した文献のほか、本稿に直接関係するものではありませんが、以下の文献が特に勉強になりました。発行年順に掲記しています。】 ・川上和久『情報操作のトリックその歴史と方法』(講談社、1994年) ・井上安正『検証!事件報道』(宝島社、2000年) ・西成活裕『誤解学』(新潮社、2014年) ・高田博行『ヒトラー演説』(中央公論新社、2014年) ・藤原明『日本の偽書』(河出書房新社、2019年) ・真山仁『“正しい”を疑え!』(岩波書店、2022年) ・秦正樹『陰謀論』(中央公論新社、2022年) 以上