「あ行」で名前始まる人は出世しやすい? 山村教授が2千人を調査
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「あ行」の文字で始まる名字の人は、出世しやすい。あいうえお順の名簿で上のほうに載せられて、目に留まりやすいからだという。「青木さん」や「井上さん」たちについ嫉妬したくなる論文が、日本経済学会の会誌に掲載された。 西南学院大(福岡市)の山村英司教授(行動経済学)によると、アルファベットで最初のほうにある文字で始まる名字の人が何かと有利になることは、欧米の研究で示されてきた。 日本でも同じなのか。山村さんらは、戦後のさまざまな業界でトップにのぼりつめた「エリート」の名前を集めた。 ノーベル賞の受賞者や歴代の首相に都道府県知事。最高裁判事、経団連や経済同友会の幹部ら。結婚で名字が変わることの少ない男性にしぼっても、リストは約2千人に及んだ。 「あ行」で始まる名字の人は日本人全体だと22%程度だが、エリート集団では約27%を占めていて、統計的に明らかに多かった。 「あ行」の名字の人は学校で教師がだれかを指名するときなどに、優先されやすい。さまざまな経験を積む機会に恵まれることが、その後の社会的な成功につながる――名字にはそんな効果もあるのだろうと、山村さんは推測する。 「最初に何かをやる人は模倣する相手がいないので、創造性が養われるのではないか。教育機会の偏りをなくすには、名前とは無関係にランダムに当てる仕組みにするべきだ」と山村さんは言う。 「私は『や行』の名前なので、小学校で当てられるのはいつも最後のほう。ずっと気になっていたんです」(小宮山亮磨)
朝日新聞社
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