ワクワクする倉庫から「ポテトチップス」を運ぶ カルロジの物流最前線
約3年前にカルビーの物流を担うグループ会社「カルビーロジスティクス株式会社(以下、カルロジ)」についての記事を書きました。
今回は、もう少し具体的にどんな取り組みを行っているのかをお伝えしたいと思います。普段あまりかかわることのない物流の話かもしれませんが、ぜひご覧ください。
2025年2月から稼働したカルロジ最大級倉庫「宇都宮DC※」のセンター長である高田さんにお話をうかがいました。
※DC(Distribution Center):工場隣接の在庫型物流センターで、拠点間輸送や取引先へ配送する
高田 諭(たかだ さとる)
カルビーロジスティクス株式会社 パートナー推進担当 部長 兼 宇都宮センター センター長
2008年スナックフード・サービス株式会社(現カルロジ)入社以来、物流業務全般に携わり、新倉庫の立ち上げは「宇都宮DC」で3回目。現在はセンター長と兼任で4回目の新倉庫立ち上げに挑戦している。
物流の最適化に向けた革新
―「宇都宮DC」には、どのような役割があるのですか? また、新たな取り組みなどがあれば教えてください。
高田:「宇都宮DC」のコンセプトは、「働きやすいワクワクする倉庫を実現」です 。新しい物流の未来を目指して、従業員やドライバーの働き方改革を行い、ホワイト物流を推進するという役割があります。今年の 2月17日から本格稼働しました。
カルロジの物流倉庫の中で最大級となる12,870坪を有します。カルロジ本社に併設されている元「宇都宮DC」(現在は平出原材料倉庫)はバース数※が13に対して、現「宇都宮DC」は40あります。この数字だけでも規模感の違いを想像いただけると思います。
※バース:トラックが接車し、荷物の積み下ろしに利用するスペース
私自身は3回目の新倉庫立ち上げとなりますが、この規模を設計するのは本当に大変でした。ただ、関係者の皆さんが働きやすい現場になるように考えることは、とても楽しかったです。
バース数の増加によってドライバーさんたちの待機がほぼなくなり、拘束時間が短くなっています。また、トラックアンローダーというトラックから倉庫まで自動で商品を運ぶ機械を3基、垂直搬送機という1階から2階に商品を運ぶ機械を4基導入し、さらにドライバーさんたちの拘束時間短縮につながっています。
例えば、ドライバーさんの荷降し時間は平均30分かかっていますが、宇都宮DCでは10分以内で降ろせるようになりました。
元「宇都宮DC」は3,000坪でスペースが足りず、宇都宮にあるカルビーの工場で生産された総在庫を保管するために外部倉庫を借りていました。この場合、外部倉庫から出荷倉庫への商品移動(=横持ち)が必要でした。今回、倉庫が1カ所に集約されたことにより、横持ちが不要となり、ドライバー不足への対応が可能となりました。加えて、倉庫管理の効率化を実現しました。
このようにカルロジでは、物流の最適化を目指し、自動化やAIの活用を通じて効率的なオペレーションを実現することに注力しています。これにより、物流業界の課題となっている人手不足やコスト削減に対応し、より良いサービスの提供や持続可能なサプライチェーンマネジメント(SCM)を実現できると考えています。
まだまだ課題は山積みですが、宇都宮DCで働く皆さんの笑顔を見て癒されています。
環境に配慮した持続可能な物流
―先ほど「効率的なオペレーションを実現することに注力している」とありましたが、他にも実施していることがあるのでしょうか?
高田:はい、カルロジは「ムリ・ムダ・ムラ」を排除するために、カルビーと共同でパレットサイズに合わせた段ボール設計を行っています。2022年6月から一部の商品の段ボール高さを230mmから215mmへ変更していただきました。
大型トラックの荷室は、パレット2段積みで2,600㎜以下にする必要があります。カルビーグループでは2,500㎜以下を標準としています。
段ボールサイズの変更前と変更後の分かりやすい写真がありますので、ご覧ください。
無駄なスペースを削減し、段ボールサイズを変更した後は、商品の輸送効率が135%に改善されました。この取り組みは、鉄道コンテナや海上コンテナにも応用されていて、列車や船で輸送する際にも、より多くの商品を効率的に運ぶことが可能となりました。
「効率的なオペレーション」の実践は、働く人の負担を減らすだけでなく環境負荷の軽減にもつながっています。多くの商品を一度で運ぶことができれば、CO₂排出量の削減になりますからね。
未来を見据えた新たなスタンダード
―今後はどのような展開を考えていますか?
高田:カルビーの工場に併設されている倉庫の自動化を進めています。「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」など、時間当たりの生産量が多いラインを持つ工場では、出荷口まで自動で商品が運ばれます。栃木県にある新宇都宮工場からスタートしたので「新宇都宮モデル」と呼んでいます。今年の1月にカルビーが約19年ぶりに新設したせとうち広島工場でもこのモデルが採用されました。
「じゃがりこ」「堅あげポテト」「フルグラ®」など、時間当たりの生産量が少ないラインの工場では、自動運転するフォークリフトが商品を運びます。こちらは京都工場からスタートしたので「京都モデル」と呼んでいます。滋賀県にある関西びわこ工場のじゃがりこ棟でも採用されています。
このようなハード面での改革に加えて、輸配送ルートの見直しも行いました。11時間を超える運行ルートをなくすために、物流拠点であるDCの再構築とSS※での展開を広げました。
※SS (Service Station):消費地隣接の在庫型配送センターで、SSより取引先へ配送する。
さまざまなカイゼンによって、ドライバーさんからは「荷降し時間が早くなり、拘束時間が緩和されて助かります」などのお声をいただいています。また、従業員からも「作業効率が上がりました」「環境が整った現場で働けてうれしいです」など、喜びの声を聞くようになりました。
カルロジの取り組みが新たなスタンダードとなるよう、これからも自動化とAI活用によるSCM改革を進めます。カルビーグループの持続可能な物流の未来のために、カイゼン活動は続きます。
文・写真:間瀬 理恵
宇都宮DC写真:ニッコンホールディングス株式会社


