研究エリアを3倍に拡張!新しくなったカルビーの研究開発拠点とは
※この記事は2025年4月24日に公開した記事の再掲載となります
新商品や新しい取り組みの担当者に、プレスリリースでは書ききれない想いやこだわりを聞く“KEY PERSON”(キーパーソン)。
今回は増築し、新しく生まれ変わったカルビーの研究開発拠点「R&Dセンター 研究棟」について、そのねらいをCTOの中野さんに伺いました。
中野 真衣(なかの まさえ)
カルビー株式会社 常務執行役員 兼 CTO
1993年入社。南関東支店にて営業、研究部門にてフライ油やじゃがいも、フィルム等の研究に従事。その後開発部門にてポテトチップスの開発、本社品質保証部門などを経て、2016年に品質保証本部 本部長、2022年に研究開発本部 本部長。2025年4月より現職。
R&Dセンター 研究棟
2004年7月に稼働した栃木県宇都宮市にあるカルビーの研究開発拠点。
研究部門と開発部門が所属しています。
研究部門では、革新的な商品につながる自然素材の機能研究、商品の安全・安心に配慮した品質研究等に、開発部門では、ポテトチップス・じゃがりこなどカルビーを代表する商品の開発・品質向上や、外部環境の変化を先取りした新商品開発等に日夜取り組んでいます。
このたび実験研究棟を約2倍に、研究エリアを約3倍に拡張し、ワークスペースを作るなどして新しく生まれ変わりました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
https://www.calbee.co.jp/newsrelease/250424.php
新しい商品やサービスの種を探るために増築
―新しく生まれ変わった研究棟について教えてください。
中野:研究エリアが今までの約3倍に広がりました。実験室が増え、研究開発により力を入れることが可能になりました。
また、研究エリアと開発エリアの中心に吹き抜けで開放的なワークスペースができました。これまでは研究部門と開発部門の執務エリアが分かれていて、チーム単位で個室を利用していたため、他のチームとの自然な交流が発生し難い環境でした。ワークスペースができたことでコミュニケーションが活発になることを期待しています。
さらに、ワークスペースの内装に栃木県産の木材と大谷石を活用しています。自然や地域の魅力を感じられるようなデザインが特徴です。
屋上にはインスタントハウス※を設置し、今後研究を進めていく予定です。
※わずか数時間で建てることのできる簡易住宅。自然災害が起きた被災地等で活用されています。
―研究棟を増築した理由は?
中野:社長の江原が常々話している、カルビーが100年を超えてもなお成長していく企業へとなっていくためには、研究分野の強化が必要不可欠だと考えています。強化することで「PoteCera(ポテセラ)」のように新しい商品やサービスの種をどんどん見つけていきたいと思っています。
また、カルビーが新規領域として定めている「アグリビジネス」や「食と健康」のビジネスを展開していくためには、エビデンスをしっかりと出していく必要があります。自社での研究をこれまで以上に進めていかなければならないと考えています。
カルビーの研究とは
―研究力強化のための増築なんですね。そもそもカルビーではこれまでどのような研究に取り組んできたのでしょうか。
中野:カルビーの研究は商品の品質や安全性を担保するための研究から始まっています。商品の品質を守るための検査法の研究や、アクリルアミドを代表するリスクを低減するための研究、フライ油の劣化やフィルムの改善など品質改善のための研究を進めてきました。
現在では、ポテトチップスやグラノーラ等、商品の有効性や機能性を調べる研究や、機能性表示食品の開発支援やエビデンスの取得、カルビーの創業の精神である「未利用資源の有効活用」を念頭に置いた素材(じゃがいもやさつまいも、豆、とうもろこし、オーツ麦等)にどのような機能性成分が含まれているのかを調べる研究も進めています。
―「未利用資源の有効活用」を念頭に置いた研究というのは、カルビーらしいテーマだなと感じました。今後はどういった研究に注力していく予定でしょうか。
中野:原材料の素材に関する基礎研究や製品に関するおいしさや機能の研究を通して、世界中でより豊かで健康的な食生活に貢献できるよう研究を進めていきます。
まずは「アグリビジネス」や「食と健康」分野の拡大のため、研究もそれらに注力していく予定です。
グローバルで研究開発を進めていくために
―最後に今後の展望や将来の目指す姿について教えてください。特にグローバルな研究開発の連携について何かあればお伺いさせてください。
中野:研究に関しては、今回の研究棟の増築を機に、まずはしっかり日本での研究体制を強化していきたいと考えています。海外のニーズを探りつつ、当面は日本での研究を進め、海外展開は状況を見ながら検討していきます。
開発に関しては、海外のグループ会社の開発部門との人財交流から始めています。
海外のグループ会社のうち、タイや香港には開発の拠点があり、アメリカにも2025年1月に新しく開発の拠点となるR&Dセンターができました。
アメリカやタイから社員を受け入れて研修を行ったり、日本からはタイやアメリカ、香港へ年単位で赴任したり。R&Dセンターでは社員受け入れのための教育プログラムもきちんと作っています。グローバル化を進めていくためには人財交流が必要不可欠だと考えています。
カルビーグループとしてグローバルな開発体制をどのように構築していくかは検討の段階です。現状海外の各拠点では、国によって味の好みや、商品化するための原材料等が異なるため、独自に商品開発を進めています。
将来的には、本社部門が守るべき商品品質基準を設定し、それをベースに各国がローカライズを行うことが理想だと考えています。ただし、各国の裁量を認めることが大切です。日本の基準をそのまま押し付けるのではなく、各国の事情に合わせた柔軟な対応が求められるでしょう。
文・写真:増田亮子


