岩手県出身者が漫画「雨夜の月」の舞台を紹介(特定)していく
○初めに
個人的に今最も熱い百合漫画「雨夜の月」。
私はこの漫画が本当に大好きで、好きなところを書いていけばそれだけで一つの記事を書けそうなくらいなんですが、
私の個人的感想なんて誰も興味ないと思います。
しかし、実は私はこの漫画の主人公の奏音と咲希と同じ岩手県(盛岡近郊)出身で、
著者のくずしろ先生が描いた風景がところどころ自分の記憶とリンクします。
そこで雨夜の月の舞台となっている盛岡という街を紹介するのであれば、
私同様この作品を愛している人々に喜んでもらえるのではと思い筆を取った次第です。
ただ、後半はちょっとネットストーキングじみてきまして、
咲希と奏音が通う学校や、おそらく住んでいる地域まで特定していきますよ!w
○くずしろ先生と「雨夜の月」の概要
岩手県出身のくずしろ先生が雨夜の月の作者です。
現在、同時連載中の「永世乙女の戦い方」(女流棋士の話)、「笑顔のたえない職場内です。」(漫画家の話)も私が好きな作品です。
ちなみに「笑顔のたえない~」の主人公も岩手県出身です(話の舞台は出版社のある東京)。
雨夜の月のあらすじは以下になります。
金田一咲希は高校入学直前のある日、ピアノレッスンに向かう途中で見知らぬ同世代の少女とぶつかり手を擦りむくが、相手から無言で落とした楽譜を丁寧に拾われ絆創膏をもらう。咲希は印象的だったその少女とクラスメイトとして再会し、名前が及川奏音、そして耳が不自由だと知る。学校では障害を理由に周囲と距離を置く奏音に、淋しさを覚えた咲希はどうにか分かり合おうとし、そんな彼女の姿に奏音の態度も次第に変わっていき…。
連載中ですが、個人的には7巻で前半が終わったと感じており(既刊9巻)、
7巻までが聴覚障害を抱えた奏音が咲希と出会うことで閉ざしていた心を開き自立していく話で、
8巻以降が性的マイノリティである咲希のひた隠しにしていた内面や過去がひもとかれていき、その結果二人が結ばれていく話だと思っています(もちろん結ばれるよなあ!!!!)。
○雨夜の月と振り返る盛岡という街
ここからは雨夜の月の実際のシーンが盛岡のどこを描いているか説明していきます。
・咲希と奏音の初のお出かけ
二人が初めて休日に外で遊んだシーンです。
奏音が欲しかった本を買いに訪れた書店のあるショッピングセンターはこちら。
盛岡の大通り商店街からちょっとだけずれたところにあるmossビルですね。
スーパーマーケットやジュンク堂書店、映画館などが入っているショッピングセンターで、
「笑顔のたえない~」で奏音が双見先生のサイン会に終了ぎりぎりで参加したのもmossビルのジュンク堂ですね。
比較的新しい建物で、私が盛岡近郊で暮らしていたころにはなかったので、個人的な思い入れはありませんw
写真は今年の正月に帰郷した際に撮りました。
ちなみに片耳が聴こえなくなった富田さんと街で遭遇し、
その後カラオケに向かうこのシーンのアーケードはめちゃくちゃ盛岡の大通り。
盛岡駅から大通りを歩いて行くと右手にmossビルが見えます。
・咲希と奏音が家を飛び出した凛音を探すシーン
咲希の存在がきっかけで奏音と妹の凛音がけんかをして家を飛び出し、
二人が凛音を探しに近所を歩き回るシーンです。
この3コマから盛岡要素を感じられた方はきっと北東北在住ですね。
青森・岩手・秋田の北東北を中心に展開するスーパーマーケット、ユニバースです。
ていうか、漫画のコマ内に思いっきりuniverseって書いてあるわww
ちなみに盛岡でよく見るスーパーはユニバース、ビッグハウス、ジョイス、マイヤです(私は盛岡西部がテリトリーなので、他のエリアの人なら違うかも)。
私の家はあまりユニバースを使わないので馴染みがないのですが、雨夜の月で出てくるユニバースは画像であげたサンタウン松園店だと思っています(理由は後述)。
このスーパーって、この後咲希と綾乃が出会う場所にもなるんでストーリー的にも重要ですよね。
※ちなみにこの後の第8話「不平等」で二人が映画を見に行ったのは映画館通りっぽいんだけど、確たる証拠はなかったので今回は割愛。
・盛岡駅
岩手県は空港が花巻にあり(宮沢賢治とメジャーリーガー二人の母校で有名なあの花巻)、
盛岡に他県から訪れるとなると手段はだいたい新幹線です。
そんな盛岡の玄関口となる盛岡駅は当然雨夜の月でも何度か出てきます。
指揮者である奏音パパの初登場シーンです。
海外飛び回ってそうな職業なのに新幹線で盛岡に帰ってきます。
田辺さんと文化祭の衣裳探しに来たときの待ち合わせも盛岡駅です。
ここは東口のバスロータリーです。
西口に再開発されたビルやマンションがあって、東口の方に昔ながらの盛岡の街並みが広がっています。
ちなみに盛岡駅から東に1kmほど歩くとバスセンターもあります(前述の大通りの東側出口すぐ)。
バスセンターで降りていないので買い物をしたのは駅の近くなんだろうと予想がつきます(ただ店は特定できず)。
・ピアノ演奏会の会場
咲希がピアノ演奏会をする会場は作中でも県民会館と明言されています。
これは一目瞭然ですね。
残念なのはほぼ間違いなく私はここに行ったことがあるのに、記憶に残っていないんですよね。
学生時代の芸術鑑賞で絶対行っているはずなんですよ。
だって盛岡なんて他に行くところないからw
○咲希と奏音が通う高校
これについては連載当初から予想はしていました。
まず盛岡に女子高はそんなに多くないのです。
二高(盛岡第二)、岩女(岩手女子)、盛女(盛岡女子)、白百合(盛岡白百合学園)ぐらいですね。
二高は我が姉の母校で雰囲気知っているのですぐ違うとわかりましたw
奏音が音楽一家のお嬢であることと、制服がセーラーであることで白百合の可能性もあるかなと思っていました。
しかし、これについては確定できる情報が出てきているんですよね。
奏音が咲希に演奏会に行きたいというシーンですが、
二人は学校近くの池に行きます。
盛岡に池なんてものは高松の池しかないんですよ(だって他は湖とかダムなんだから)。
で、高松の池近くの女子高ということで、二人の通う学校は旧盛岡女子に確定しました。
ちなみに盛岡女子は校名変更して、今は盛岡誠桜高校といい共学化しています。
二人の通う学校がそのままの形で残っていないのは少しもったいないですね。
ちなみに画像出してみるとめちゃくちゃそっくりなんですね。
アーチ状の屋根に特徴があるので、最速なら第1話で気づくことができますw
私の母校は盛岡女子に激近なんです。
冬、雪に閉ざされてグラウンドが使えない間、高松の池の周りをぐるぐると走った記憶があります。
やはり盛岡といったら冬ですし、私の記憶に強く残る高松の池の冬景色を作中でも描いてくれたら間違いなく感激するでしょう。
○咲希と奏音の住む地域
さて、最後にネットストーキングタイムです。
予想自体は最初からしていました。
私は盛岡近郊の西側から高松の池付近の高校にチャリで通っていたので、
市内の西側にはくわしい自信があるんです。
でも、二人が暮らしていそうな静かな住宅街に見覚えがありませんでした。
だから私がよく知っている市内西部の住宅街、みたけ・青山・厨川あたりのエリアはなさそうだなと思っていました。
で、なんとなくだけど市内南部とも思えない。
そうなると残る住宅街って松園かなってなったんですよね。
結論から言うと松園で正解でした。
今からその根拠を挙げていきます。
1巻の単行本書き下ろしイラストにこういうセリフがあります。
奏音「そういや南中だっけ。帰りほぼ一緒じゃん。私北中」
盛岡市内に南中と北中できっちり対称になっている中学はないのですが、
候補になりそうな組み合わせは以下になります。
・見前中と見前南中
・仙北中と河南中
・北松園中と松園中
咲希の家から花火大会が見えることから、南よりの前二組もありうるのかなと思ったのです(盛岡の大きな花火大会は南端の都南エリア実施)。
しかし、作中で引っかかるカットがあったのです。
かなり序盤から出ているこの公園、凛音と千山さんも訪れていて物語で繰り返し出てきています。
咲希と奏音は学校帰りにこの学校にいるので、二人の家の中間点の可能性があります。
そしてこの特徴のある時計。
こんなに特徴があるのに私には見覚えがないのです。
盛岡市内で有名な公園といえば岩手公園とか運動公園がありますが、
その二つで見たことがない。
この公園どこだろう…と悩んでいたのですが、あっさりその悩みは解けました。
「盛岡 公園 時計」でググって出てきたこの公園は、松園東近隣公園と言います。
ということで二人は市内北部の松園ニュータウンに住んでいるのですね。
松園は岩手最大のニュータウンで、私の子どものころから静かな住宅街という印象が強いです。
でついでに二人の出身中学もほぼ確定です。
奏音(と凛音)が北松園中で、咲希が松園中になります。
いっしょやないか!!
ちなみに北松園中学の卒業生には元鹿島アントラーズの山本脩斗がいて、奏音は脩斗くんの後輩だったりします。
松園ニュータウンの地図に今まで紹介した場所を示しています。
ユニバースも近くにありますね。
ていうか奏音(凛音)と綾乃はめちゃくちゃエンカウントするやろww
○最後に
ということで雨夜の月に出てくる盛岡の街並みを紹介してみました。
正直、私は地元が好きになれなくて今は遠く離れた地で暮らしています。
でも、この漫画を読んでいると自然と盛岡が懐かしくなりますし、
自分の中の記憶と作品がリンクしていくことを好ましく感じています。
純粋な一作品としても雨夜の月は大好きなんですが(わがまま姫な奏音の成長とか、咲希の激重百合とか。あと、凛音のきつい性格だけど味方にはめちゃくちゃ優しくて気づかいできるところ好き)、
地元である盛岡をこの歳になって少しだけ好きにさせてくれたという意味でも私にとってこの作品は特別です。
※作品と盛岡の紹介で画像を使わせていただきました。
くずしろ先生、画像を拾わせてもらった方に感謝申し上げます。


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