実は未だに最強メンタルを保っている死刑囚・木嶋佳苗の近況
木嶋佳苗。かの有名な「首都圏連続殺人事件」、婚活詐欺殺人とも呼ばれるやつを起こした伝説の死刑囚である。
本人は「詐欺については認める、殺人については徹底否認」という態度をずっと貫いているが……まあ刑事裁判では認定されている事実上の凶悪殺人犯なのだ。
しかし木嶋佳苗、凶悪殺人犯であることを差し引いても……パーソナリティと数々の謎の行動力がすごすぎる。私は「殺人犯・木嶋佳苗」というよりも、「人間・木嶋佳苗」のガチウォッチャーなのである。
令和の世のネットでは奇妙すぎる現象が起こっている。なぜか一部の風俗系・ホス狂い系・裏引き系アカウントが木嶋佳苗のことを「姐さん」とか「天才」と言って崇めているのだ。まあ、本人の容姿に対して数々の被害者から引き出した額がデカすぎるのも要因だろう。
最近では「頂き女子りりちゃん」と比較・参照されることもよくある。平成の木嶋佳苗、令和のりりちゃんといったところだ。
実は木嶋佳苗、ネットでよく比較されてることを知ってるのか知らないのかは謎だが2025年9月7日にブログ記事「『渇愛』の真実」でりりちゃんに言及している。宇都宮直子の書いたりりちゃん取材本・「渇愛」を読んだらしい。
まあ、この記事にもツッコミどころは多々あるがな。「私がりりちゃんの本名を知らなかったのは、昔からホストや夜の街、店舗型風俗店に興味や関心がないからです」と綴っているものの、木嶋佳苗の書いた私小説「礼讃」には「性のテクニックを学ぶために池袋のファッションヘルスで修行した」というわりと意味不明なエピソードがあるのだ。後述の「力士工」によると吉原のソープ勤務だったという説もある。
りりちゃんのことを「動画クリエイター向きの女性」と評しているが、2009年に逮捕されてる木嶋佳苗、YouTube見たことあるのか?
それはさておき、令和のネット民、しばしば木嶋佳苗情報を間違えている。北原みのり、佐野眞一、高橋ユキなどによって書かれた関連本が存在するので読んでいれば当たり前に頭に入っていることを知らないのだ。
例えば「木嶋佳苗→プロモデラーをターゲットにしたせいで交友関係から怪しまれて逮捕され死刑 りりちゃん→無趣味な男をターゲットにしたおかげで懲役9年で済む」とTwitterで比較していた人がいた。「プロモデラー」というのは被害者の一人・大出嘉之さんのこと。彼はその筋では有名なプラモ好きで「トーマシールド」というハンドルネームでブログを書いていた。
しかし木嶋佳苗の逮捕のきっかけになったのは大出さんを薬で眠らせ、練炭で殺そうとした際に本人が太っていたため大出さんを動かす際に車のシートを倒さざるを得なくなり、これによって警察に怪しまれた故だ。私に言わせれば"木嶋佳苗基礎知識"。知らずに比較するとは笑止である。
現在アカウントが凍結されているが、「パパ活系ツイッタラー」であった一部には有名な「おめぐ‼️強く生きる‼️」なるアカウントが木嶋佳苗のことを「姐さん」と呼んでおり、「料理学校を卒業しているので料理の腕もプロ級」と書いていたことがある。
しかし木嶋佳苗が通ってちゃんと卒業したのはル・コルドン・ブルーの製菓コースであり、料理の専門教育は卒業していない。2009年7月にフランスパンのクラスにも入学しているが、9月25日に逮捕されているため恐らく退学している。これも"常識"である。
……この旨を指摘したらなぜかブロックされてしまった。謎である。「姐さん」と崇めるなら関連本くらい読んでおけ。
まあ、正直関連本の中でも内容に相違があったりする。どちらが真実なのか分からないものもあるのだ。
例えば、さいたま地裁での裁判中・千代田区神田在住だった大出嘉之さん殺害事件に関する審理の場面。北原みのりは「毒婦。」でこう書いている。
「これはあの子(大出さん)が言ってたから言うんですけどね」と母親が前置きしながら、ブス、デブという言葉を使っても眉一つ動かさずにゆったりと構えていた。その佳苗が一度だけ感情を露にした。大出さんの兄が証言した時だ。
「(私たちは)生まれも育ちも千代田区神田です。区内の人間が練炭で何かをする、という発想はないです。それは、北の国の人の発想ではないか」
この瞬間、佳苗は思いきり首を傾げ、口角を下げ、「はあ?」とバカにした笑みを一瞬浮かべ、突如凄い勢いでメモをとり始めた。あまりの豹変に驚いた。初めてみた佳苗の生々しい表情だった。
しかし一方で佐野眞一は全く同じ場面についてこう書いているのだ。
「千代田区の神田で生まれ、ずっと千代田区で育ちました。二十三区の人間が練炭を使うという発想はなかなかないと思います。その発想は北の方の人が考えることかなと」
「北の方の人」という表現が、暗に木嶋を指していることは明らかだった。だが、木嶋はまったく意に介さない様子だった。
……どっちが本当なの?
といった感じでよくわからないこともあるのだ。まあ、個人的にはどちらかといえば「北原説」を支持している。北原みのり、裁判中にTwitterで「傍聴中、佐野眞一さんが大きな声でアクビしたり、ケータイいじったりで、裁判官が怒ってた。落ち着きのないオジサマである。」(2012/02/06)とか、「午前中、佐野眞一氏が佳苗の目の前で寝てるー! と心の中で騒いでた」(2012/01/17)と佐野眞一の傍聴態度がテキトーなことをしれっと暴露しているためである。
ちなみに木嶋佳苗本人は当然北原みのりのことも佐野眞一のこともdisっている。北原みのりについては度々ブログでも貶しているが、令和の今になっても未だにキレている。
有料noteの中で「木嶋佳苗や事件について発行された書籍は多くあるようですが、いずれもゴシップ本の域を出ない内容です。(中略)佐野眞一を除き、無名の経験と実力が低いライターによって書かれていたからです。」と暗に北原みのりや高橋ユキを貶し、佐野眞一には「晩節を汚し消えていった」という強烈なパンチラインを放っているのだ。
木嶋佳苗をモデルにしたと広告で明言されている小説がある。柚木麻子著・「BUTTER」だ。発売時に木嶋佳苗がブログで「フィクションの小説でも、名誉毀損は成立します。民法第709条の不法行為を構成する記述の数々。」と殺人犯が自ら法律を持ち出してブチギレたことでもお馴染みである(木嶋佳苗の拘置所日記・2017/05/11「バターって何やねん」参照)。
「BUTTER」、私は一応読んでいる。が……木嶋佳苗ガチ勢としてはあまり面白くない。これ、女性記者と"木嶋佳苗っぽい殺人犯"の心の交流の話なのだが……木嶋佳苗本人は「女性」自体がそもそも好きではないのだ。
現在削除済みだが、木嶋佳苗から届いた手紙をTwitterに載せていた女性支援者がいた。本人が自分で「女性で私のことを好きと言う方は稀」と書いていたのだ。
木嶋佳苗は一審判決後に朝日新聞に12000字に及ぶ手記を寄稿しているのだが、この中でも女性について「陰で悪口を言い合い、嫉妬を原動力に大袈裟に褒め合い、他人をけなす、さもしい根性、女子特有のいやらしさに、私は馴染めません」とも書いている。
「女性嫌い」についてはもっと細かく解説している人がいる。私が勝手に「この世で最も面白い木嶋佳苗に関する読み物」として認定しているコンテンツ、作家・平山亜佐子氏がブログで連載していた「力士工」シリーズである。こちらに詳述されている。ちなみに平山氏とは奇妙な縁が存在している。平山氏は元BELLRING少女ハート・カイちゃんのファンなのだ。柳沢あやののオタクであった私……この世に「木嶋佳苗とベルハーが好きな文章書きの人間」、実は私を含めて2人存在しているのだ。
さて、最近の木嶋佳苗が何をしているかというと……石井妙子とアツいバトルを繰り広げている。
石井妙子とは何者なのか。ノンフィクション作家だ。2020年5月、都知事選直前に「女帝 小池百合子」なる、要約すると小池百合子の自称する経歴は色々と嘘であるという内容のほぼ暴露本を出版し話題になったことでご記憶の方もいるだろう。その作者が石井妙子。まあ、「妙子砲」が炸裂したにも関わらず小池百合子は当選したのだが。
石井妙子は2024年から週刊文春で「ウェンカムイ 死刑囚・木嶋佳苗の生痕」というノンフィクション連載を書いていた。完結済みではあるが単行本化はまだされていないので細かい引用は差し控えるものの(文春電子版に課金すると読める)、なんと木嶋佳苗……恐らくこれを獄中で全部読んでおり、そしてブログでレスバの如き反論をしまくっているのだ。
しかも反論に真剣すぎる。石井妙子が書いていることを嘘であると主張するため、わざわざ中標津町(※木嶋佳苗は北海道別海町出身である)の弁護士と契約し、釧路地方法務局中標津出張所から登記簿を取り寄せている。すごいぞ、執念が。
石井妙子が木嶋佳苗の親族関係について色々と書いているため、総計3万円かけて親族の戸籍謄本と住民票を入手、20名以上の親族との外部交通権を許可された……らしい。本人曰く。
「身長が156cmで止まった」と石井妙子が書いているのに対し、反論するべく東京拘置所の健康診断結果まで大発表している。
一番すごいのは……証拠となる実家の戸籍謄本、祖父母の戸籍などの画像をnoteで2〜3万円で売っているのだ。堂々と。健康診断結果は3000円だ。安めのnoteは買ってるが、さすがにこれらは高すぎて買ってないので本当に載ってるのかはわからない。
一部の人には有名人であろう「Z李」氏、逮捕された時にnoteを凍結されて売り上げとデータを全没収されたらしく「やつらの弁護士からパクられたらBANのルールとか言われたが、四人殺した木嶋佳苗も元気に連載中だ」と怒ってたがそりゃそうである。木嶋佳苗の高額マル秘情報が野放しでZ李は全没収……noteの判定基準が謎だ。そんな私もnoteにこの記事を書いているのだが。
ついでになぜか何の因縁もないはずの河井案里にまで突如喧嘩を吹っかけている。公職選挙法違反で逮捕された河井案里、「天国と地獄」という本を書き東京拘置所での日々について綴っているらしいのだが(こちらは特に興味がないので私は読んでない)、「東京拘置所ガチ勢」と化した木嶋佳苗が、例えば河井案里が「起床時間の前に起き上がることは許されない」と書いていることを嘘だと指摘したり、河井案里が「麦飯がまずい」と書けばわざわざうるち米と麦の納品書を添付して反論したり、味噌汁の味の話では使われている煮干し粉に対していちいち給食管理委員会の議事録を公開したり、コッペパンのサイズに河井案里が言及すればコッペパンの納品書を添付して反論、東京拘置所の「計量給与実施概要」なる謎の書類まで大発表している。なんか……ちり紙の種類についてもアツく語っている。
そう、木嶋佳苗……獄中でも"食"ガチ勢を続けているのだ。逮捕されてから16年経っても。
色々と死刑囚関連の本を読むのが好きな私。拘禁症状で病んでしまう人も数多くいるのだという。しかし木嶋佳苗は明日死ぬかもしれないというのに有料noteで東京拘置所の食事事情について熱弁している。鋼のメンタルである。もはや尊敬する。
「殺人犯にお金を払いたくない」という人もいるだろう。私はあくまでも「人間・木嶋佳苗の観察」として買ってるが。権利を侵害しない範囲で木嶋佳苗が一体何を書いているのかをざっくりご紹介する。
まず……あんこについて真剣に語っているのだ。木嶋佳苗と小豆には非常に長い因縁の歴史がある。詳しくは先述した「力士工」をお読みいただきたいのだが、料理界の有名人と「赤飯に入れる豆は小豆かささげか」という議題でレスバした末にヲチスレまで立てられたという伝説を木嶋佳苗は持っているのだ。木嶋佳苗は「小豆厨」であり、なんと2024年になっても小豆に執着している。ここまで来ると感心するしかない。あんこの献立カードを入手するのに800円かけているらしい。
自称するに30kg痩せているらしいが、確かめる術はないので不明である。なんでも坐骨神経痛になったらしく……ダイエットとストレッチのメソッドを長々とご説明してくれるのだ。「拘置所でいかにしてたんぱく質を1日80g摂取するか」という技を細かく解説してくれるのだが、後ろめたいことはしておらずそれを実践する予定は今のところないので特に役には立たない。
異常に詳しくストレッチの方法が解説されており、家族が動画のスクリーンショットを印刷してくれてそれを忠実に再現している……らしい。
「東京拘置所給食アンケート」とか「死刑確定者への処遇環境に関するアンケート調査」とか「人気ラジオ放送アンケート」とかも盛大に発表している。
木嶋佳苗……メンタル強すぎるぞ! 勝手に「史上最強メンタルの死刑囚」と認定しよう。



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