Pinned暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 1【おしらせ】 ★KADOKAWA様から書籍化します★ 『ねごと、たわごと、えそらごと』 ・Xから厳選した数十篇 ・90篇以上の書き下ろし140字小説 ・ここでしか読めない四つの掌編 全220ページ/2025年7月24日発売 素敵なイラストは わたぬきけい(@__dog__mark__)さん! Amazon https://amazon.co.jp/dp/4048979027133831.4K558K
暇十朗#140字小説@himajuro·May 11「彼氏が温泉旅行にいきたいらしくて」 「いいじゃん。外国人だったよね。ウッディだっけ?」 「アンディね。……いや実はさ、私最近タトゥーを入れちゃったの」 「マジで?」 「マジ。彼氏の名前。バレるかな」 「そりゃバレるでしょ。どこに入れたの」 「足の裏に『ANDY』って」 「ウッディじゃん」847.9K131K10M
暇十朗#140字小説@himajuro·Sep 28, 2024「ねえ店員さん、先月買ったこの本、死ぬほどつまんなくてさ。返すから返金して」 レジに面倒そうな客が現れたのを見て、俺は顔をしかめる。うちでは落丁などの不備以外では返品を認めていない。バイトくんはうまく対処できるだろうか。 「皆さんあちらの方に行かれますね」 ブックオフに誘導するな。2128.6K110K7.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Oct 6, 2024ずっと好きだった年上の女性に告白したところ、おずおずと言葉を返される。 「嬉しいけど、その、私は重いよ?束縛も強めだし、価値観が合わない部分も多いと思う。いいの?」 覚悟の上だ。問題ない。 「返信は三日以内にほしいし、デートも半年に一回はしたいよ?」 長命種の基準だと重いんだ、それ。1366.5K104K7.4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 29, 2024「カービィって可愛いよな」 「ゲームの?そうね」 「俺はディディディ大王が好きだけど」 「なんて?」 「ディディディ大王」 「……デデデ大王のこと?」 「日本だとそう発音するんだね」 「海外なら普通、みたいなノリやめろ」 「そんなおかしい?ディディディ大王」 「まず『おおきみ』と読むな」21211K103K4.4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Oct 7, 2024彼氏のPCをこっそり調べたら、えげつない量のアダルト動画が入っていた。多少は覚悟していたものの、さすがにこの数は想定外だ。風呂から戻ってきた彼に黙って画面を見せると、すぐに察した様子。 「たぶん勘違いしてるな。大丈夫だよ」 勘違いもなにもないでしょ。 「俺はね、ちゃんと全部買ってる」3445.3K87K8.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·May 6「私は無駄が嫌いでね」 「はい」 「浪費癖のある無能は不要。君たちスタッフに求めているのは下品な華美ではなく、突き詰めた機能美だ」 「はい」 「会話とて同じこと。無駄なく有意義な時間にしたい。わかるね?」 「はい」 「よろしい。端的に、結論のみを」 「田中課長が爆散しました」 「過程を」657.5K86K4.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Oct 1, 2024「お前って所作が綺麗だよな」 「育ち is goodだから」 「自ら泥を塗るなよ」 「実は裕福な家の生まれでね」 「初耳だわ」 「ここだけの話、実家には高価な絵画やら芸術品ばかりさ」 「マジか。御両親はなにをされてるの?」 「母は学芸員」 「おお」 「父は怪盗だね」 「マジでここだけの話にしよう」774.3K81K2.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Apr 7「ねえ店員さん、先月買ったこの本、死ぬほどつまんなくてさ。返すから返金して」 レジに面倒そうな客が現れたのを見て、俺は顔をしかめる。うちでは落丁などの不備以外では返品を認めていない。バイトくんはうまく対処できるだろうか。 「皆さんあちらの方に行かれますね」 ブックオフに誘導するな。945.3K82K5.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 18, 2024「学生時代のアダ名?デネブだったけど」 夫の口から飛び出した単語が予想外で、思わず茶を吹き出す。で、デネブ?名前に掠ってもいないじゃん。 「窓際の席でいつも寝たふりをしてたんだけど、同じことをしてたやつが前列と廊下側にもいてさ」 夫が空に三角を描く。 「俺がデネブ。アルタイル、ベガ」3179.5K79K5.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 24「カービィって可愛いよな」 「ゲームの?そうね」 「俺はディディディ大王が好きだけど」 「なんて?」 「ディディディ大王」 「……デデデ大王のこと?」 「日本だとそう発音するんだね」 「海外なら普通、みたいなノリやめろ」 「そんなおかしい?ディディディ大王」 「まず『おおきみ』と読むな」645.8K78K3.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 22「あなた、彼じゃないでしょ。ドッペルゲンガーってやつ?」私の指摘に、彼と同じ姿をしたナニカはぐにゃりと笑った。「恋人ってのは恐ろしいね。家族でさえ気づけない俺の入れ替わりを、まさか見抜くとは。容姿に差異はないはずだが」 「本物の彼は山奥に埋めたもの」 「本物の彼は山奥に埋めたの?」936.5K78K5.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Oct 28, 2024「──あなた、18歳なのね。生きていれば私の娘も同い年だったわ」 偶然知り合ったおばさまは、遠い目でそう話す。悲しい話だ。ただ私は霊感が強いので、おばさまの隣で『だからタメ口でいいよー』と笑う少女がずっと見えている。 「こら。お姉さんに失礼でしょ」 あ、おばさまも見えていらっしゃる。763.5K75K4.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·May 15, 2024コンビニでバイト中、着物にちょんまげの男がすごい勢いで詰め寄ってきた。 「つ、つかぬことをお聞きする!今はいったい何年でござるか!?」 なんだこいつ。なにかの罰ゲームか。 「2024年ですが」 それを聞いた男は崩れ落ちる。迫真だけど、まさか本物の侍? 「に、二百年前だと……」 未来人……?1276.6K74K4.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 5, 2024「私は先日あなたに助けられた鶴です」 そう名乗る美しい娘は、呆気に取られる俺を無視して家に上がると、 「布を織ります。覗くのはNGで」 一方的に告げて部屋の戸を閉めた。しかし数秒後、そっと戸が開く。 「私、さっき鶴って名乗りました?」 じゃあいいや、と戸を開け放したまま作業を始める鶴。1327.9K75K4.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 14, 2024「あなた、彼じゃないでしょ。ドッペルゲンガーってやつ?」私の指摘に、彼と同じ姿をしたナニカはぐにゃりと笑った。「恋人ってのは恐ろしいね。家族でさえ気づけない俺の入れ替わりを、まさか見抜くとは。容姿に差異はないはずだが」 「本物の彼は山奥に埋めたもの」 「本物の彼は山奥に埋めたの?」1617.7K68K3.4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 18, 2024「たまに『おもしれー女』みたいな表現を見るけどさ。いくら相手が超絶イケメンでも、おもしれーとか言われたら嫌じゃない?女の子ってああいうの本当に嬉しいのかね」 「わからん。でも『つまらない男……』って超絶美人の年上お姉さんに言われたら俺はとてもとても嬉しい」 「それはめっちゃ嬉しい」716.1K68K3M
暇十朗#140字小説@himajuro·Apr 11あろうことか愛娘に彼氏ができたらしい。既に会ったという妻に詰め寄るが、「素敵な方よ」とめんどくさそうに返される。「糸目で関西弁の好青年だったわ。社交的で物腰も柔らかかったし」いや絶対に裏切る輩だろ。騙されるんじゃない。「みんなからカビゴンと呼ばれてるって」頼れる男なのはわかった。343.3K67K3.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·Oct 29, 2024「オデ、オマエ、キニイッタ。タスケル!」怪物はにっこり笑うと、俺に大きな手を差し出してくる。荒事ならすぐにでも頼りたいけど、残念ながら今回は人間関係の問題。その気持ちだけで充分さ。「オデ、ベンゴシ。ミンジ、トクイ。バッジ、ミルカ?」早急にご相談したいんですが、印鑑とか必要ですか?616.5K66K2.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Feb 12, 2024「たまに『おもしれー女』みたいな表現を見るけどさ。いくら相手が超絶イケメンでも、おもしれーとか言われたら嫌じゃない?女の子ってああいうの本当に嬉しいのかね」 「わからん。でも『つまらない男……』って超絶美人の年上お姉さんに言われたら俺はとてもとても嬉しい」 「それはめっちゃ嬉しい」1248.7K63K3.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 19, 2024「私は無駄が嫌いでね」 「はい」 「浪費癖のある無能は不要。君たちスタッフに求めているのは下品な華美ではなく、突き詰めた機能美だ」 「はい」 「会話とて同じこと。無駄なく有意義な時間にしたい。わかるね?」 「はい」 「よろしい。端的に、結論のみを」 「田中課長が爆散しました」 「過程を」998K62K4.3M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 22, 2024「さっきタンスの角に小指をぶつけちゃったんだけどさ」 「痛そう」 「タンス側の代理人から連絡きて」 「ほう」 「要するに『被害者ぶるな』と。『微動だにしていないタンスにぶつかってきたのはお前だろう』と」 「正論ではある」 「10対0で過失はこちらにあるらしい」 「相手は止まってたからなあ」969.5K61K3.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Nov 28, 2024うちの生徒会長は学校では品行方正を擬人化したような才媛なのに、プライベートだとゴリゴリのパンクファッションで口も悪い。 「どっちが素なんですか?」 生徒会室で訊ねると、「君はどっちの私が好きなの?」と微笑まれた。 「清楚モード中に口汚く罵られたいです」 「そこまでは聞いてねえよタコ」524.1K60K2.6M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 16, 2024ギャンブルが趣味の彼氏に「これまで一番大勝ちした勝負ってなんなの?」と聞いてみたところ、なぜかちょっとだけ恥ずかしそうに「一昨年のクリスマス」と返された。ああ、なるほど。昔の私ならわからなかっただろうが、今はピンとくる。 「有馬記念ってやつだ」 「競馬場で告白した覚えはないよ……」3516.8K59K8.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·May 1「お前って所作が綺麗だよな」 「育ち is goodだから」 「自ら泥を塗るなよ」 「実は裕福な家の生まれでね」 「初耳だわ」 「ここだけの話、実家には高価な絵画やら芸術品ばかりさ」 「マジか。御両親はなにをされてるの?」 「母は学芸員」 「おお」 「父は怪盗だね」 「マジでここだけの話にしよう」183K60K1.7M
暇十朗#140字小説@himajuro·Nov 29, 2024『私はロボットではありません』の欄にチェックをつけるアンドロイドを見て「嘘つくなよ」とからかったら、「嘘はいいですね。人の作ったものの中で私の次に便利です」なんてしれっと返されたのが先週のこと。今は遊園地のチケット売場で「嘘じゃないのに!四歳なのに!」と製造年数を泣き喚いている。377.3K59K6.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 9, 2024「お前って理想の死に方はある?」 なんだその質問。考えたこともないわ。まあ、家族に囲まれて大往生とか? 「俺は敵が放った極太ビームみたいな攻撃から味方を守る盾となって死にたい。衝撃で地面が抉れるんだけど、背後にいる味方のところだけ無事なやつ」 オーケー全て把握した。夜通し話そうか。1725.1K57K5.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 5, 2024「私は先日あなたに助けられた鶴です」 そう名乗る美しい娘は、呆気に取られる俺を無視して家に上がると、 「布を織ります。覗くのはNGで」 一方的に告げて部屋の戸を閉めた。しかし数秒後、そっと戸が開く。 「私、さっき鶴って名乗りました?」 じゃあいいや、と戸を開け放したまま作業を始める鶴。748.4K57K3.3M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 16, 2024「10月は神無月とも呼ばれていてね。全国の神が出雲大社に集まって会議をするから、出雲以外には神がいなくなる──ゆえに神無月なんだとか。ま、俗説らしいけど」 「10月はクレーマーを殴っても可?」 「『神なら出雲にいるはずだからお前はお客様ではない!』ってことかい?なるほどね。絶対やめて」639.6K56K1.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 15, 2024『開けて。お母さんだよ。開けて』 お堂の外から聞こえる声に俺は震える。確かに声こそ母さんだが、これは隠れた俺を誘い出そうとする化物の罠だ。絶対に開けない。返事もしない。 『え!米津がアイドルをカバー!?』 声を出したくなる揺さぶりはやめろ。 『……無敵の笑顔で──』 能力を活かすな。1846.6K54K4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Sep 17, 2024かませキャラのマッチョに『おいおい、俺様の相手はこんなチビかよ』と言わせかけて、少し筆を止める。最近の風潮を考えると、容姿を揶揄する台詞は危ないかも。そうなると会話の流れも修正して……『おや、私の相手はあなたですか』まずい、マッチョが冷静になってしまった。主人公に勝ち目がないぞ。1536.2K53K4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Sep 10, 2024「お金を貸して、って……そんな、この前も貸したばかりじゃない。嫌よ。──倍にして返すから?あなた、またギャンブルに使うんでしょ。やめてって言ってるのに……ああもう、わかったわ。でも今回で最後。次は絶対にないからね」 後日、いつものごとく倍になって返ってくるお金。複雑な気分である。1403.6K50K2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 30, 2024砂浜でいじめられていた亀を助けたところ、お礼がしたいので海底に来ませんかと誘われた。これは竜宮城コースかなと期待したのだが、「あなたが私の立場ならお礼で皇居を案内するんですか?」と亀にドン引きされたので違うらしい。結局は竜宮城下町の居酒屋で酒と飯を奢ってもらった。いい休日だった。585.1K49K2.2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 17, 2024「王は俺たちを餓死させる気か!」「今日食べるパンもない!」「パンもないんだぞ!」窓を叩く怒号に堪えきれず王妃は叫び返す。「あのね、パンがなければお菓子を食べればいいでしょ!」一瞬の沈黙のあと、再び市民が騒ぎ出す。「天才!」「お菓子は山ほどある!」「お米もあるぞ!」陽気な国である。854.5K48K2.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 4『開けて。お母さんだよ。開けて』 お堂の外から聞こえる声に俺は震える。確かに声こそ母さんだが、これは隠れた俺を誘い出そうとする化物の罠だ。絶対に開けない。返事もしない。 『え!米津がアイドルをカバー!?』 声を出したくなる揺さぶりはやめろ。 『……無敵の笑顔で──』 能力を活かすな。464.3K48K2.7M
暇十朗#140字小説@himajuro·Aug 19, 2024「私は無駄が嫌いでね」 「はい」 「浪費癖のある無能は不要。君たちスタッフに求めているのは下品な華美ではなく、突き詰めた機能美だ」 「はい」 「会話とて同じこと。無駄なく有意義な時間にしたい。わかるね?」 「はい」 「よろしい。端的に、結論のみを」 「田中課長が爆散しました」 「過程を」754.9K46K1.4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Aug 3コンビニでバイト中、着物にちょんまげの男がすごい勢いで詰め寄ってきた。 「つ、つかぬことをお聞きする!今はいったい何年でござるか!?」 なんだこいつ。なにかの罰ゲームか。 「2025年ですが」 それを聞いた男は崩れ落ちる。迫真だけど、まさか本物の侍? 「に、二百年前だと……」 未来人……?752.6K48K1.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 17, 2024知人のお嬢様が「スマホ?持っていませんわよ」なんて言うので驚いた。「連絡も情報も爺やで事足りますもの」あー、なるほど。箱入り娘ってやつだ。「爺やは本当に優秀でしてよ。爺やがいなければ、私は地球が平面であることも月面着陸が嘘だということも知りませんでした」爺やのスマホも取り上げろ。674K46K1.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Apr 10「……あなたは大きなミスを犯しました。私は『被害者は大きな刃物で刺殺された』としか言っていません。皆さんの前で凶器の正体には言及していないんですよ。それにもかかわらず、あなたは『凶器のジャマダハル』と断言しましたね。驚きましたよ。スマホで調べたらインドのエグい武器が出てきたんで」754.7K47K3M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 9ひょんなことから能力バトルものの世界に転生したのだが、名前を聞くと能力が推察できるので助かっている。たとえば燃山ホノオくんは炎を操り、霧島かすみちゃんは霧を発生させる、という感じだ。名前と能力が一致していることにはなぜかみんな無頓着らしい。無敵ヶ原虐殺丸さんとは距離を置いている。1044.5K47K4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 15「オデ、オマエ、キニイッタ。タスケル!」怪物はにっこり笑うと、俺に大きな手を差し出してくる。荒事ならすぐにでも頼りたいけど、残念ながら今回は人間関係の問題。その気持ちだけで充分さ。「オデ、ベンゴシ。ミンジ、トクイ。バッジ、ミルカ?」早急にご相談したいんですが、印鑑とか必要ですか?424.2K46K1.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 3, 2024「違うんです探偵さん!兄は天然というかアホでして、行動に意味なんかないんですよ!コーヒーを飲むのにカップを二つ使ったのも鞄にダンベルが入っていたのも豪雨の中で散歩したのも全部なんとなく!アホに緻密な犯行とか無理ですから!ほら、兄貴も否定しろ──なぜこの状況下でスクワットを……?」895.5K45K4M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 7, 2024「あ、貴方の前世は恐竜です……」 占い師の老婆が告げた言葉に、友人たちが噴き出した。まあ笑うよな。みんなは江戸の商人や武士だったのに、俺だけ人間ですらないんだもの。困った顔で水晶玉を覗き直す老婆に、俺はそっと近づいて囁く。 「いい腕だ、お嬢さん」 こんな形で不老がバレかけるとはね。462.6K45K2.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Aug 21, 2024「学生時代のアダ名?デネブだったけど」 夫の口から飛び出した単語が予想外で、思わず茶を吹き出す。で、デネブ?名前に掠ってもいないじゃん。 「窓際の席でいつも寝たふりをしてたんだけど、同じことをしてたやつが前列と廊下側にもいてさ」 夫が空に三角を描く。 「俺がデネブ。アルタイル、ベガ」663.3K43K1.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 21, 2024「今の若い子たちはゲーム実況なんて見て面白いのか?お父さんは好きだけども」寝耳に水すぎてむせた。聞き間違いだよな。「親父、ゲーム実況が好きなの?」「は?昔から見てるだろ」親父は不思議そうな顔でテレビのチャンネルを変えた。『──先手、7六歩。堅実な立ち上がりです』将棋中継が映った。1647.3K43K3.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 15, 2024「いやあ、死ぬかと思った」 先ほど銃撃された先輩が起き上がったので、俺は絶句する。なぜ生きてる。 「愛の力さ」 先輩が服を捲ると、胸元の白い機械が弾丸を防いでいた。なんすかそれ。 「彼女に埋め込まれた発信器だね」 ……すげぇスマホ鳴ってますけど。 「僕の位置情報が途絶えたからだろうね」423.4K43K1.9M
暇十朗#140字小説@himajuro·Apr 10, 2024「オデ、オマエ、キニイッタ。タスケル!」怪物はにっこり笑うと、俺に大きな手を差し出してくる。荒事ならすぐにでも頼りたいけど、残念ながら今回は人間関係の問題。その気持ちだけで充分さ。「オデ、ベンゴシ。ミンジ、トクイ。バッジ、ミルカ?」早急にご相談したいんですが、印鑑とか必要ですか?316.5K43K1.7M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 25, 2024砂浜でいじめられていた亀を助けたところ、お礼がしたいので海底に来ませんかと誘われた。これは竜宮城コースかなと期待したのだが、「あなたが私の立場ならお礼で皇居を案内するんですか?」と亀にドン引きされたので違うらしい。結局は竜宮城下町の居酒屋で酒と飯を奢ってもらった。いい休日だった。523.3K43K1.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jun 8, 2024「あ、貴方の前世は恐竜です……」 占い師の老婆が告げた言葉に、友人たちが噴き出した。まあ笑うよな。みんなは江戸の商人や武士だったのに、俺だけ人間ですらないんだもの。困った顔で水晶玉を覗き直す老婆に、俺はそっと近づいて囁く。 「いい腕だ、お嬢さん」 こんな形で不老がバレかけるとはね。403.5K42K2.8M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 9, 2023「あなた、彼じゃないでしょ。ドッペルゲンガーってやつ?」私の指摘に、彼と同じ姿をしたナニカはぐにゃりと笑った。「恋人ってのは恐ろしいね。家族でさえ気づけない俺の入れ替わりを、まさか見抜くとは。容姿に差異はないはずだが」 「本物の彼は山奥に埋めたもの」 「本物の彼は山奥に埋めたの?」1836.4K41K4.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jul 30死んで天国にいくと、盛大な拍手で出迎えられた。神様とおぼしき老人が口を開く。 「いやはやお疲れ様。君の人生をみんなで鑑賞していたんだ。実に愉快だった」 ……俺の人生はアニメかなにかか?人をナメやがって。絶対に許さねえぞ。 「モーツァルトが主題歌を作ったんだよ」 一旦許すから聴かせて。453.2K43K1.6M
暇十朗#140字小説@himajuro·Feb 6「えー、ボブさんの回答。『てめぇみてえなクソ野郎は脳天に鉛をぶちこんで、スコップで地面に穴掘って埋めてやる』と。これだと少し冗長かもしれません。ここは短く『モグラとのシェアハウスを楽しみな』程度に済ませた方が軽快ですかね」 添削を聞いたマフィアたちは、頷きながらメモを取っていく。545.2K42K2M
暇十朗#140字小説@himajuro·Apr 7「パパが元特殊部隊のお偉いさんだったってホントなの!?」 俺は頷く。そういえば、娘は俺が料理人をやっている姿しか知らないらしい。 「じゃあもし私が悪い組織に誘拐されたらさ、一人で立ち向かってくれる?」 そんな、映画じゃあるまいし。普通に今のパパより強い現役の部下たちを向かわせるよ。832.7K42K2.6M
暇十朗#140字小説@himajuro·Dec 17, 2024「王は俺たちを餓死させる気か!」「今日食べるパンもない!」「パンもないんだぞ!」窓を叩く怒号に堪えきれず王妃は叫び返す。「あのね、パンがなければお菓子を食べればいいでしょ!」一瞬の沈黙のあと、再び市民が騒ぎ出す。「天才!」「お菓子は山ほどある!」「お米もあるぞ!」陽気な国である。942.5K41K2.1M
暇十朗#140字小説@himajuro·Aug 22, 2022「いろんなイケメンに主人公が惚れられる、女性用のゲームってあるだろ?」乙女ゲーのことか。「うん。で、いろんな美少女に主人公が惚れられる、男性用のゲームもあるじゃん」ギャルゲーな。「そう。そのキャラたちで合コンする、スマブラみたいなゲームを作ろうと思う」なんでそんな酷いことするの。577.5K39K
暇十朗#140字小説@himajuro·May 11, 2024「お前って理想の死に方はある?」 なんだその質問。考えたこともないわ。まあ、家族に囲まれて大往生とか? 「俺は敵が放った極太ビームみたいな攻撃から味方を守る盾となって死にたい。衝撃で地面が抉れるんだけど、背後にいる味方のところだけ無事なやつ」 オーケー全て把握した。夜通し話そうか。744.6K38K2.5M
暇十朗#140字小説@himajuro·Jan 21「お前、結婚して弱くなったな」 牙の抜けた好敵手に哀れみの目を向けると、やつは見るからに動揺している。かつて赤鬼と恐れられた男がこのザマか。 「……それは夫への悪口ですか?」 「あ、いえ、違うんですよ奥さん。これは男同士の軽口で、だから武器を置いてください」 俺も弱くなった気がする。523.8K39K1.8M