【不用品再生販売】いわき方式に注目(10月30日)
いわき市は不用となった自転車や木製家具を市民から回収し、修理してフリーマーケットアプリ「メルカリ」で販売する県内初の事業に乗り出した。今月1日の開始以降、出品した自転車は完売するなど好評を得ているという。市民への浸透や回収・修理体制の充実に努めるとともに、他事業と連動させて先駆的な循環型社会を築いてほしい。 市民のリサイクル意識を高め、粗大ごみを削減する目的で始めた。市リサイクルプラザ「クリンピーの家」の職員が市民から不用品の連絡を受け、再生可能と判断すれば無償で引き取る。修理やクリーニングをした上で「いわき市メルカリShops(ショップス)」で公開し、自転車は3千~1万円、家具は千~7千円で販売している。 29日までに19点を出品して12点が売れ、このうち自転車(7点)と学習机(3点)は完売した。回収の相談も相次いでいる。市は予想を上回る滑り出しとみて、いわきFCの試合会場や大型商業施設などで一層のPRを図る。
市などによると、全国約20の自治体がメルカリで家具などを販売しているが、回収や修理の手間などを理由に中断した事例もある。いわき市では以前から不用品を修理して年6回、抽選販売しており、基盤となるノウハウを持つのは強みだ。ただ着実に成果を上げるには、シルバー人材センターの会員2人に委ねている修理人材の確保、再生可能かどうかを見極める回収体制の充実などが欠かせない。 市民からの申し出だけでななく、処分施設に集められた不用品の中から再生販売に回す仕組みは検討に値する。処分費用を抑えるとともに、販売収益で市の一般財源を補う経済的な観点からも取り組みの充実を探ってもらいたい。 市は今年7月、賞味期限が近いなどの理由で事業者が出品した食品を安く購入できるサービス「タベスケ」を始めた。稲わらやもみ殻を燃料にしたバイオマスボイラーをトマト栽培に導入するなど、循環型社会につながる民間の取り組みも進んでいる。こうした官民の動きを網羅的に分かりやすくまとめ、職場や学校などを通じて周知してはどうか。持続可能な郷土づくりに向け、一人一人が「自分にできること」を考えるきっかけにもなる。(渡部育夫)